
複数OTA併用で収益拡大~Booking.com導入と手数料対策の視点から考える~
近年、民泊業界ではAirbnbなどのOTA(オンライン旅行代理店)を利用する中で、各プラットフォームごとの手数料や管理負担の増加が課題となっています。
特に、Beds24のnote記事「Airbnb手数料増加≠売上低減」では、Airbnbのホストサービス料が3%から15%に上昇したとしても、販売価格に適切な上乗せ(例:現状の価格×1.142)により売上低下は回避できると解説されています。
今回は、Airbnb単独で月30万円の売上を上げている民泊物件が、Booking.comにも掲載された場合にどのような収益変動が期待できるのか。
またサイトコントローラー導入による手数料対策の考え方とあわせて解説します。
1. AirbnbとBooking.comの売上比率から見る収益拡大の可能性
Beds24の18000部屋の物件のデータ(2025年1月27日~31日の実績)では、
Airbnbの全予約の売上が約3.8億円
Booking.comの全予約の売上が約5.17億円
となっており、売上比率は概ね4:6です。この比率を民泊物件に当てはめると、Airbnb単独で月30万円の売上を上げている場合、Booking.comからは約40~45万円程度の売上が期待でき、合計すると70~75万円程度に拡大する可能性があります。
つまり、適切な運用ができれば理論上で売上が約2.3~2.5倍にまで伸びる余地があるということです。
2. 予約数・稼働率の向上による効果
データ上、Airbnbの予約数は約4,180件に対して、Booking.comは約8,570件と、Booking.comの集客力は高い傾向にあります。
また、現状Airbnb単独運用で仮に稼働率が50~60%程度であれば、Booking.comを併用することで70~90%程度まで稼働率を向上させることが可能です。
これにより、空室日程の充足や宿泊日数の増加が見込まれ、全体の売上拡大に直結する効果が期待できます。
3. 競争環境と手数料・価格設定の調整
競合環境の影響
Booking.comでは、民泊だけでなく多様な宿泊施設が競合するため、価格や条件の競争は激しくなります。
そのため、各プラットフォームでの価格設定やプロモーション戦略は非常に重要です。
手数料上昇への対策
Beds24の既出のnote記事でも解説されているように、
Airbnbのホストサービス料が3%から15%に上昇する一方で、ゲストサービス料は14.2%から0%に減少するという変化があります。
この差分をカバーするため、現状の販売価格に約1.142倍の上乗せを行うことで、サービス料増加分を補うことが可能です。
たとえば、10,000円の宿泊料金の場合、11,420円に上乗せしても、ゲストへの負担は実質変わらず、むしろ売上面では若干のプラス効果が期待できるとされています。
サイトコントローラーの活用
複数のOTAを一元管理できるサイトコントローラー(Beds24など)の導入は、
在庫管理や予約調整の効率化
ダブルブッキングの防止
手数料差異に応じた価格調整の一元管理
といった面で、業務負担の軽減と収益最適化に大いに役立ちます。
4. 予想される売上増減幅と実際の運用シナリオ
以上の要因を総合すると、Booking.comを追加導入した場合の売上変動は、物件の現状の稼働率や需要、競合環境、さらに手数料対策(上乗せ価格)の実施状況により大きく変動します。
保守的なシナリオ: 売上が約20%増(30万円→36万円程度)
中程度のシナリオ: 売上が約50%増(30万円→45万円程度)
好条件な場合: 売上が80~100%増(30万円→54~60万円以上)
実際には、適切な価格設定とサイトコントローラーによる運用最適化が実施されれば、売上低下リスクは非常に低く、むしろ全体の収益拡大が期待できるでしょう。
サイトコントローラーの値段は、1部屋4000円ほどなので、サイトコントローラーのコストは売上の上昇分でカバー可能です。
5. まとめ:複数チャネル活用と価格戦略の重要性
民泊運用において、単一チャネルに依存するリスクを低減し、収益の最大化を目指すためには以下のポイントが重要です。
複数OTAの併用: AirbnbとBooking.comなど異なる顧客層にアプローチすることで、稼働率と予約数を向上。
手数料増加への対策: サービス料増加分を販売価格に上乗せすることで、実質的な売上低下を防止(例:現状価格×1.142)。
サイトコントローラーの活用: 在庫管理や価格調整を一元化し、業務効率と顧客対応の質を向上。
定期的な運用見直し: 各プラットフォームごとの実績をモニタリングし、PDCAサイクルを回すことで、常に最適な運用を維持する。
もしもの時のための対策:Airbnbでアカウントを停止された際に、Booking,comでも集客を継続できる。
結論
Airbnb単独で月30万円の売上を上げている民泊物件が、Booking.comにも掲載され、さらに手数料上昇分を販売価格に適切に上乗せする戦略を取れば、全体の売上は理論上で最大2倍近くまで拡大する可能性があります。
競争環境や価格戦略の調整は必要不可欠ですが、複数チャネルの活用と管理効率の向上(サイトコントローラーの導入)により、収益拡大とリスク低減が同時に実現できるでしょう。
多角的なOTA戦略を取り入れ、現状の運用方法を見直す絶好の機会として、ぜひ今後の運用改善の参考にしていただければと思います。
【参考】
Beds24のnote記事「Airbnb手数料増加≠売上低減」では、手数料上昇に伴う価格上乗せの具体例とサイトコントローラー導入のメリットが詳しく解説されています。
以上、複数OTA併用による収益拡大のシナリオと、手数料対策を含めた運用戦略についての考察でした。皆さまの民泊運用の参考になれば幸いです。