正直でいたい
前職では、同僚・上司はみな中国籍の方で、日本人は私だけだった。
結論から言うと、非常に仕事がし易かった。
日本と中国にそれぞれオフィスがあり、20代〜30代の社員で構成され、
業務連絡はほぼWechat。WechatではExcelファイルなどのデータも送れる為、社内メールなど一切不要。その便利さにとにかく驚いた。全てがスピーディだった。
皆とても勤勉で優秀、特に中国本社のスタッフは休日など関係なく懸命に働いていた。
仕事への熱心さにいつも感心しては、私も頑張らなきゃと、良い刺激をもらう毎日。
そんな中、同僚のTさんという20代の男性と、アルバイトのCさんという30代の女性とウマが合い、プライベートでも連絡する仲になった。
初見はとにかく皆「あなたのことまだ信じていませんよ」と言わんばかりの冷たい態度。それでもヘコたれない私の性格が幸いし、次第に打ち解け、家族のように接してくれるようになった。人付き合いに苦手意識があった私だったが、不思議と彼・彼女たちと過ごす時間はとても楽で「昔から知ってたっけ?」と思うほどだった。
それは何故なのか?
彼、彼女達はいつ何時でも正直だったのだ。
とにかくハッキリとしていて、忖度や建前は無く、ストレート。
仕事の中で意見がぶつかり、散々言い合いした後「はい!もうこの話は終わり!」と言い放ち、すぐに「これ見てー!」と新商品の話題を振ってきたTさんの切り替えの早さに思わず吹き出したこともあった。
Cさんはとにかく責任感が強く仕事に真面目で、独学で日本語を覚える努力の人だった。6歳ほど年下だったが、お姉さんのような包容力があり、仕事中は私に簡単な中国語を教えてくれた。彼女のお陰で在職中にHSK(中国語検定)1、2級に合格することができた。
目まぐるしい早さで過ぎていった約3年間だったが、私は彼・彼女達が大好きになった。
会社が関東に移転する際、独り身であれば迷いなく一緒に行った。
わたしは「お国柄」という言葉があまり好きではない。
「その人」のバックグラウンドや経験から持つ思想、気持ちは
やっぱり向き合ってみないと見えてこない。
文化や環境で影響された部分の奥にあるものを見るべきで、
それはお互いが「正直でいる」ことで初めてピントが合ってくる。
意外にも自分がストレートでハッキリ物を言う人間で
「正直でいたい!」と強く思っていたことに少し驚いた。
そんな気づきと学びをくれた友人に感謝したい。
彼・彼女達が恋しくなり、もっと語学を勉強しようと久しぶりに教材を開いた。
明日は、図書館で募集していた中国語講座の受講申し込みの電話をしよう、そう決めた23時50分。
おやすみなさい。