だから国際交流はやめられない〜嫌われ者編〜
イギリスではじめてできた息子の友達は、いわゆるクラスの嫌われ者でした。誰もが嫌い、親たちからも「あの子とは遊ばない方がいい」と言われるような子でした。その子の名前はマーカス。
次にできた友達も、クラスではういてる変わり者くん。名前はジャック。ちなみにイギリス3年間の滞在でできた息子の友達でジャックという名前は8人いました笑。なのでこの子のことをジャックその2君と呼んでいました笑
ちなみにジャックその1君もいます。初めて出会ったジャック。その子はいわゆる「キラキラ男子」。友達のたくさんいる人気者。息子のような英語話せない日本人には程遠い存在でした。
そうなんです。英語話せない、訳のわからない日本人の転校生に初めはみんな興味を持ってきてくれますが、すぐに飽きられ、構ってくるのはみんなに嫌われてる子たちのみ。
英語はわからなくても、雰囲気で息子もわかったそうですが、まあ害がないのでそのまま一緒にいたそうです。
ただ、その子のいたずら度合いが半端ない。。。先生や友達に暴言を吐くのはもちろん、制汗スプレーをむやみやたらとかけまくる。それをトイレに投げつけファイアアラームを発動させ、全校生徒が屋外へ避難する始末。また毎日のようにランチタイムにピザハットに電話をかけ注文をして学校へ宅配させて無視するなどなど。。。
いつもいつも先生に怒られるマーカス。でも全くもって反省しない。いつも一緒にいる息子も一応呼び出されますが、先生も息子は何もしていないしマーカスを止められないと知ってていつも無罪放免。ジャックその2君もただ笑って見てるだけ。
話を聞くたびにハラハラしてましたが、でもマーカス。実はめちゃめちゃいい子だったのです。少なくとも息子にとっては。。。
頭の良かったマーカス。いつも息子に英語や勉強を教えてくれました。そんなに悪い子だから、嘘や悪いことを教えるんじゃないかとちょっとドキドキしていましたが、悪いことといえば言葉使いぐらい。でもイギリスは言葉使いにとても厳しく躾をします。学校でFワード(Fu◯k くそ!とかいう悪い言葉。)をいうとかなり怒られていました。居残りや保護者に連絡まで。(大人も乱用してるのにな〜と思いましたが笑。)
差別用語なんかも息子に教え、「いい言葉だから、あいつに言ってこい」なんて息子に言って、息子はそれに従ってみんなに笑われたり。。。ただそこもあるある。訳のわかってない英語話せない転校生が言ったところで誰も怒りません。みんな優しく”Keep away from Marcus. マーカスには近づくな。"と助言をしてくれたそうです。
でも、よくも悪くも、息子が英語や生活に慣れていけたのは、他の誰でもないマーカスのおかげでした。
マーカスは本当に頭がよく、日本語をすぐに覚えていきました。
”What do you say “I hate you.” in Japanese?”
「日本語で”お前が嫌いだ”ってなんていう?」
と聞かれ「私はあなたが大好き!」というと嘘を教えたそうです笑
一度マーカスに仕返しができたと息子が話していました。(その後、勘の良いマーカスにバレて蹴られたそうですが笑)
他の保護者は相変わらずマーカスのことを悪く言っていました。マーカスの保護者のこともあまり良い噂は聞きませんでした。でも私としてはマーカスこそ、息子の命の恩人だと思っています(大袈裟ですが笑)
だって全く英語が話せなかった13歳の息子が、右も左もわからないイギリスの中学校で毎日毎日立派に過ごせたのです。
なので1年ほど経ったある日、マーカスが転校すると聞いた時は息子と二人でかなり落ち込みました。
イギリスでは、より良い学校へ転校することはよくあることです。なぜ転校するのか聞くと「家から近いから」と言っていましたが、私は今の学校がマーカスには合わなかったんだろうなと思いました。確かにかなり悪い生徒でしたが、大人がみんなマーカスにレッテルを貼ったにすぎないと。。。
英語の話せない、わけのわからない転校生だからこそ、気づけたことかもしれませんが。。。
マーカスの学校最後の日。マーカスが好きな日本のハイチュウ(イギリス人みんな大好き笑)をあげてお別れをしました。
家に帰ったマーカスからメールが届きました。
ハイチュウの写メと一緒に「ありがとう」と日本語で書いてました。
息子と私、大号泣。。。
息子のイギリスでのはじめての友達マーカス、元気かな〜。
息子の夢はラグビー日本代表になって、遠く離れたイギリスのみんなにもわかるように活躍したいと。。。
はじめはホームシックで知恵熱まで出していた息子ですが、マーカスをはじめ、イギリスで出会ったみんなのおかげで、こんなに立派な夢まで持てるようになりました。
子どもだからこその辛さももちろんあったと思います。イギリスに赴任が決まった時、家族全員で行くかめちゃくちゃ悩みましたが、家族をつれて渡英して本当によかったなとしみじみ思う今日この頃です。
旦那さんの海外赴任が決まって、躊躇する方がたくさんいます。私が行くと決めた時も友達ほとんどに「家族みんなで行く必要が??」と言われました。子どもたちのことを考えるととても難しい決断ですが、もし、どうしてもいけない事情などがないのであれば、ぜひご家族で行かれることをお勧めします!「かわいい子には旅をさせよ。」です!国際交流が子どもたちを本当に大きく立派にしてくれますよ。