ぐるっと日本を旅してみた Vol.18(後半)
2023年7月9日(日) 18日目(後半)
朝からゆっくりと回り稚内を堪能してきた。
いよいよ南下していくのだが、この後トラブルとまでいかないがドキドキしながら進むことになる。
しかし、この時はまだ知るよしも無かった。
日本海オロロンライン
稚内までは、オホーツク海の海岸線を北上してきた。
ここからは日本海側を南下していく。
日本海オロロンラインを走るのだ。
稚内市から石狩市まで続く道道106号線と国道231号線、232号線を結ぶ道路の名称である。
稚内市街地を抜けると低い草原のようなところをまっすぐに走っていく。
左手に緩やかな丘陵地、右手に日本海その奥に礼文島、利尻島が見えてくる。
後から思えば、離島へ行ってみるのも面白かったかもしれないが、その時はそこまでは考えずに車を走らせていた。
何もない、家一つ、人影一つ見えない。
時々対向車がすれ違うだけだ。
しばらく走ってふと気づいた。
「ガソリン入れてこなかった!」
稚内市内で給油して来るつもりだったのだが、ノシャップ岬からここまでガソリンスタンドを見ていない。
残量は 1メモリちょっと、パネルに表示される航続距離はおそらく余裕だろうと思うが。
こんなところで立ち往生したらどうして良いかわからないし。
地図上では左手の丘陵地方向の町へ向かう交差点がまもなくある。
そこに集落くらいあるだろう、ガソリンスタンドもあればなぁ。
そう思ってはみたが、実際に行ってみると何もない野っ原に T字路があるだけ。
曲がるか、戻るか、悩みながら進む。
「ガンダムマンホールは後2箇所、豊幌町と天塩町にあるんだよ」
ミィが吞気に言う。
「ここで曲がると豊幌だけど、寄らないよ」
「えぇ!」
「それ目的じゃ無いんだから。天塩はこの先だから寄れるけど。」
寄り道するガソリンが無いのだ。
しばらく走ると真っ直ぐな道路にドンネルが現れた。
山があったり、障害物があったりするわけでも無い、真っ平らな原野にあるトンネル。
何だ?と思って近づくとそこは道路の両側が駐車スペースになっている。
吹雪などから避難する為の物だろうか?
そのトンネルを通り過ぎしばらく走ると、今度は巨大な風力発電所と、駐車スペースが見えてくる。
ちょっと期待をしたが、ここにはトイレがあるくらいで何も無い。
「天塩まで行かないとスタンドは無いな」
天塩の町に着くとまずガソリンを入れた。
稚内から70km位、この間何も無かった。
ホント、北海道は燃料を気にしながら走らなければいけないところだなと痛感したオロロンラインでした。
ガンダムマンホール 天塩町
日曜日とあって道の駅てしお は混んでいた。
ここには、ガンダムマンホールがある。
ドムがデザインされている。
その写真を撮るとお昼をどうするかなと、思った。
混んでいるし、これと言って今、食べたいものも無かった。
天塩にはもう一つマンホールがあるのでそれを探しに行く事にした。
道の駅から5分程のところに てしお温泉夕映 がありそこにもマンホールがある。
こちらはガンダムがデザインされていた。
2箇所のマンホールを写真に収め満足したので、天塩町役場へ向かう。
日曜日で庁舎は閉まっていたが、建物の脇にある守衛所へ向かった。
そこでガンダムのマンホールカードが貰えるのである。
守衛所で簡単な手続きをするとカードを貰った。
天塩町でのミッションは終わった。
僕らはお昼も取らずに天塩町を後にした。
日本最北の水田 遠別町
オロロンラインは少し内陸よりを走るようになった。
相変わらず何も無い牧草地の様なところのの真ん中を走っていた。
ふと Google Map を見ると左折するつもりの交差点は通り過ぎていた。
えっ?交差点なんてあった?
元来た道を戻ってみると確かに平野の真ん中に T字路があった。
目的地と違う地名が記載されていたので見過ごしたようだ。
単調な道を走っていると気付かないものだ。
100km近く走ってきたオロロンラインと別れて、T字路を曲がり丘陵地へと向かう。
途中道路脇に「日本最北の水田」という文字を見つけた。
こんな北のはての寒さ厳しいところに水田があるのか。
そんなことに驚いていた。
その後ふと思った事があった。
「なんか、風景が変わったね。 本州の風景みたい。」
それまでは、牧草地や背の低い木々、草原が広がっていたのだが、日本最北の水田を過ぎてからは少しずつ田んぼが現れてきた。
田んぼが現れるとどこか見慣れた風景に思えた。
まだ道北に居るのに本州に戻ったような気分にもなった。
田んぼひとつでこんなにも風景が変わる物か。
と、思った。
音威子府蕎麦 音威子府村
鉄道マニアの間で有名な駅蕎麦に音威子府蕎麦というのがある。
麺は真っ黒な蕎麦だそうだ。
しかし、2022年8月に閉店して今は無いのだが、国道沿いにある蕎麦屋で食べられるとか? その店も閉店したとか?
あやふやな情報だけ頭に置いて音威子府駅まで来てみた。
時刻は既に午後2時近い、天塩でお昼を食べれば良かったのにここまで来てしまった。
が、当然駅蕎麦はやっていない。
食事ができそうな気配も全く無かった。
道の駅おといねっぷ へも行ってみたが時間切れでこの日は終了。
「生そばあるよ」の文字を尻目に近くの別の蕎麦屋へ向かってみた。
車を止めて、店内へ入る。
「2人なんですけど」
「ごめんなさい。もう終わったんですよ。またお願いします。」
申し訳なさそうに店員さんが言う。
午後2時を回っていた。
休憩時間に入ったのだろう、店員さんは忙しそうに後片付けをしていた。
音威子府蕎麦は幻のまま姿を消してしまった。
「お昼どうしようか?」
こういう旅を続けていると食事の時間はいい加減になる。
特に北海道では食事のできる場所が点々としていて時間を合わせて移動する方が難しいかもしれない。
売店も、コンビニも見当たらない国道を僕らは進んでいた。
チョウザメ 道の駅 びふか
道の駅びふか に着いたのは午後3時位だった。
もうお昼はどうでも良くなっていたので軽食でお腹を満たす事にする。
「北海道名物あげいもを食べていない」とミィが言うのであげいもをテイクアウトしてくる。
他にコロッケやウインナーを買ってきてベンチで食べる。
シープミルク、つまりヤギのミルクを売っていたのでせっかくだからと買ってみた。
クセは無く飲みやすいミルクだった。
あげいもは、結構ずっしりときてこれだけでお腹がいっぱいになってしまう。
なんともジャンキーな昼食だった。
道の駅びふかは、森林公園びふかアイランドの中にある。
道の駅から橋を渡ると温泉やキャンプ場がある。
キャンプ場には大型のテントがたくさん立っていて長期旅行者が多いように見えた。
そしてもう一つチョウザメ館がある。
昔は北海道の天塩川、石狩川にもチョウザメは遡上していたらしかった。
近年でも北海道沿岸で取れる事があるようです。
美深町では試験飼育が行われていて、温泉に泊まると食べる事もできるらしい。
もちろんキャビアもである。
そのチョウザメを見る事ができるのがチョウザメ館だ。
大きな円形の水槽に大型で黒いチョウザメが何匹も泳いでいた。
餌をやる事もできるので早速買ってみた。
ミィは手に持った餌を水槽の上からパラパラと落としてみる。
すると黒い魚影が近づき餌を食べていく。
水槽がいくつかに別れているので少し落として、様子を見ると次の水槽へと移りまたパラパラと落としてみる。
小型の子供のチョウザメが泳ぎがまだうまくいかないのかフラフラと泳いでいる。
その何倍もの大きさの大人のチョウザメは水槽を悠々と泳ぎ回っている。
頭が尖っていて髭のあるチョウザメは見ていて楽しかった。
ただ、キャビアを食べる事はできなかったのが残念だ。
あっち。こっち。 剣淵町
キャンプ場へ行く前に剣淵町の町内に面白い標識がるということで寄ってみた。
そこは三叉路になっていて剣淵町の町内を背にして二股になったところにその標識はあった。
それは道路標識で旭川と士別の方向を示しているのだが、
「旭川 あっち」
「士別 こっち」
と書かれてある。
旭川方面はカラス、士別方面はヒツジが描かれていてなんともユニークな標識になっている。
遊び心があって良いなぁ、と思う。
けんぶち絵本の里家族旅行村キャンプ場
けんぶち絵本の里家族旅行村のキャンプサイトは、斜面に段々畑のようになっていて下がフリーサイト、上の方がカーサイトとなっていた。
僕らは炊事場から一段下がったフリーサイトにテントを張り旅行村のホテル、剣淵温泉レークサイド桜岡でお風呂に浸かった。
キャンプサイトの下段にはサイクリストのテントが2つ。
上段のカーサイトには一組泊まっている。
僕らのいる中段のサイトは誰も居なくて貸切状態だった。
夕飯を食べ終えてノンビリしていると突然、
「こんばんは」と、声がした。
ビックリしていると、暗がりの中から真っ黒に日焼けした顔の女の子が自転車を引いて現れた。
「大阪から来たんですけど、この手前のキャンプ場がやっていなくて、やっと剣淵まで来たんです。
キャンプできますかね?」
大学の休みに自転車で旅しているというその女の子は疲れた感じでそう言った。
「たぶん、大丈夫だと思うけどあそこの明るい建物が受付だから聞いてみると良いんじゃないかな?」
「ありがとうございます!」女の子はそう言うと笑顔を見せて自転車を引きホテルへ向かっていった。
後から考えると炊事場の脇に「遅く着いた場合は、翌朝フロントへ来て下さい」と書いてあった気がする。
それを教えてあげれば良かったなぁ。
こういうことに気付くのはいつも遅くて、後悔する。
結局、その女の子が泊まれたかどうかは分からなかった。
下段のサイトはここからは見えないので、女の子がそっちのサイトで夜を過ごせた事を願っていた。
18日目のDATA
2023/07/09(日)
天候:晴れ 最低 19.6℃/最高 24.9℃
北海道稚内市〜北海道上川郡剣淵町
走行距離:242.3km
総走行距離:3256.9km