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ぐるっと日本を旅してみた Vol.41

2023年8月4日(金) 41日目

長野県から富山県へ抜けたかった。
しかし、一筆書きで日本を回るには難しかった。
北アルプスが立ちはだかっているのだ。
方法は3つ。
1つ目は、東側を迂回して松本市から岐阜県へ入り、上高地を通って富山へ抜ける方法。
岐阜県へ入ったら岐阜県庁へ行くことになるが岐阜市まで南下して、戻ってくる必要がある。
2つ目は、中央突破。
黒部アルペンルートを通る方法。
これなら直接富山県へ入れるが車は使えない。
トロリーバス、ケーブルカー等を使っての山越えで見応えはある。
車は回送サービスを使って富山県側の立山まで運んでもらうことができる。
ただし、それなりにお金がかかる。
3つ目は、西回り。
一旦、新潟県へ戻り日本海沿いを富山へ向かう。
一番無難な方法だが、新潟県へ入ることにちょっと躊躇してしまう。
しかし、どう考えてもこれしか無かった。
結局、国道148号線で新潟県へ向かった。


断層露頭 フォッサマグナパーク

姫川沿いの山間の道を下っていく。
やがて新潟県に入り徐々に集落が増えてくる。
1時間ほど走って車を停めた。
「フォサマグナパーク」
糸魚川ー静岡構造線の断層露頭を見に行く事にしたのだ。
駐車場から10分ほど遊歩道を歩き階段を降りた所にその場所はある。
観光地として整備されているので行きやすい。
がけを見ると明らかに色の違う断面が垂直に走っていた。
ユーラシアプレートと、太平洋プレートがぶつかる場所。
凄い物を見た気がする。
凄い物を見ているのだが、
その足元の側溝に沢ガニが居たり、JR大糸線の列車の方に気を取られがちの僕らだった。
踏切の音が聞こえる。
「来た!」
遊歩道を走って跨線橋の上に出る。
ゆっくりとディーゼル列車がこちらに向かって来るのが見えた。

西:ユーラシアプレート と 東:大平洋プレート
JR 大糸線

翡翠の原石 道の駅 親不知ピアパーク

久しぶりに日本海を見た。
北海道の日本海オロロンラインで見て以来だろうか?
道の駅 親不知ピアパーク
大きなウミガメの像がどーんといる。
何か歴史的な物かどうか良く分からない。
この辺の海岸はヒスイ海岸と呼ばれていて古代から翡翠が取れる場所として知られている。
「翡翠ふるさと館」という翡翠の資料館があった。
中に入ると巨大な翡翠の原石がある。
他にも翡翠にまつわる歴史や資料が展示されていて、じっくり見ることができた。
海岸に出ると砂浜が広がっている。
翡翠が落ちていないかな?と見るが特にそれらしい物は見つからない。
波は穏やかで天下の険と言われた親不知の厳しい面は見えなかった。
富山へ向けて国道を進むと、狭くて、カーブの多いトンネルの連続になっている。
ここだけが親不知の厳しい面を見せてくれていた。

ウミガメの像
ぐんまちゃん
日本海

たら汁 栄食堂

富山県の名物というと、ブラックラーメン、ホタルイカ、白エビ、寒ブリ、鱒の押し寿司などが有名だ。。
しかし、真っ先に頭に浮かんだのは「たら汁」だった。
新潟県境の朝日町の名物で国道沿いに何軒か「たら汁」のノボリが立っている。
その中で栄食堂に入ることにする。
広い駐車場で、昔のドライブインのような雰囲気。
大きなガラスの冷蔵庫に数々のおかずが入った小鉢が並んでいる。
小上がりに案内されたがどう頼んで良いのかが分からず、結局立ち上がって注文に行く。
たら汁と、ライスを頼む。
運ばれてきたのは鍋いっぱいのたら汁。
ビックリしたが2人でそれぞれ丼によそいながら食べていく。
味噌仕立ての汁は、ぶつ切りのタラとネギががたっぷり入っていてホッとする美味しさ。
おかずの頼み方が分からずご飯とたら汁だけだったが、充分お腹がいっぱいになった。
シンプルで美味しいたら汁でした。
ごちそうさまでした。

栄食堂
鍋いっぱいの たら汁
美味しいヤツ!

下山芸術の森 発電所美術館

富山ののどかな田園地帯で車を進める。
田んぼの中を一直線に伸びる新幹線の高架が最近の北陸地方の風景だ。
そこから山寄りに進めて現れるのは発電所。
この発電所が「下山芸術の森 発電所美術館」だ。
レンガ造りの建物と奥に導水管が見えて発電所そのものだが、送電線はどこにも見えず不思議な光景になっている。
建物に入り受付で入場料を払おうとすると、
「こちらの美術館に展示されているのは、1作品だけですがよろしいですか?」
と、聞かれた。
かなり特殊な美術館らしい。
展示ホールは一つ、展示されている作品も一つ。
まるで大地の芸術祭の1作品を見に来たような気になった。
僕らは、その注意に了承して入場料を払い中に入った。
発電機器を取り外された室内が巨大な展示ホールとなっている。
その真ん中に木の骨組みで組み上げられた巨大なクレーンのような作品が展示されている。
作者らしい人がいて簡単に説明をしてくれる。
「あの上に乗ってペダルを漕ぐと動くんですよ」
ミィが作品に乗って、ペダルを漕いでみた。
ペダルに乗せた足に力を入れると、ゆっくりその巨大な作品が回り始める。
動き始めると徐々にペダルに勢いがついて作品も回転が早くなる。
実際にペダルを漕ぐのは大変なのだろう、はぁはぁ言いながら降りてきた。
作品の周りにはかつての発電所の名残もあり、同水管の穴が空いていたり、電気を制御、監視するパネルがあったり作品以外にも楽しむことができた。
とはいえ、不思議な美術館だった。

下山芸術の森 発電所美術館
発電所跡(こちらは入れません)
作品
発電所の名残
導水管 この先が気になる

海底トンネルと湧水 生地漁港

平日の昼間ということもあり、生地漁港は静まり返っていた。
停泊している漁船には大漁旗がはためき漁業の町を感じさせている。
この漁港周辺には珍しいものが3つあった。
その一つが海底トンネル。
漁港の対岸を結ぶ地下歩道で港の下、海の下を通っていた。
階段を降りるとちょっと気温が下がった気がした。
ライトで照らされたコンクリートの通路を歩くとコツコツと足音が響いた。
思わず「わっ!」と声を出し壁に音が反響するのを楽しんだりする。

生地漁港
海底トンネルの入口
海底トンネル ヒンヤリしてます

階段を登り対岸の外へ出ると暑いくらいの日差しが戻ってくる。
対岸は住宅街になっているのだが、その中を一本の水路が流れている。
その水路のあちこちで湧水が湧き出ていた。
これが2つ目、清水庵の清水(しょうず)だ。
黒部川扇状地の末端にあたり、伏流水があちこちで湧き出している。
家の玄関先で水が湧き出ていて生活用水にも使われているようだ。
その水を手ですくって飲んでみる。
冷たい感触が喉を通り過ぎる。
美味しい水だ。

清水庵の清水 案内図
家の軒先で水が湧いています。
結構な水量 こんなのが町のあちこちに

住宅街を散策しながら漁港へ戻ってくる。
海の見える道路に橋がかかっていてその手前に踏切のような遮断機がついている。
これが3つ目、生池中橋だ。
漁港から海への出口にかかっているこの橋は、旋回式可動橋となっている。
漁船が漁港に出入りする際に橋を旋回して船の通り道を作るそうだ。
橋の両端に弧を描いた接続部があり、ここを回転することが想像できる。
残念ながらこの時間は出入りする船がなく、橋が旋回するのを見ることはできなかった。
ジリジリと太陽が照りつける炎天下。
町には人影もほとんどなく、歩き回っているのは僕らだけだった。
「清水の水を汲んでくれば良かった」
あの冷たい水を飲みたいと思ったが、諦めた。
歩き回るには、気温が高すぎるのだ。

生地中橋
踏切?
ここが回るらしい

砂とカビと英会話 浜黒崎キャンプ場

「Hellow! Where you from ?」
思い切って炊事場にいた外国人女性に聞いてみた。
彼女は、バイクでパートナーと2人で日本を回っているようだった。
「I’m form Uruguay. He’s form Portugal.」
南米のウルグアイとヨーロッパのポルトガルの人が、どう知り合って日本を回っているのか
考えただけでも面白かった。

浜黒崎キャンプ場は、富山の市街地に程近い松林の中、海水浴場に沿うようにサイトがあった。
砂地のサイトは特に区画もなく、松の木を避けるようにテントをたてた。
食事の片付けをしに炊事場へ行って食器を洗っていると、向かいの流しに彼女がやってきて洗い物を始めたのだった。
彼らと同じように日本を回っていること。
北海道、東北と回って西へ向かっていること。
少ない語彙をフル活動してどうにか会話してみた。
彼女は笑いながら話をしてくれた。
翌朝、大型バイクに乗った2人が北へ向かって旅立っていった。

「カビ!」
ここまで天気の良い日が少なくてテントやタープをしっかり乾かす事ができていなかったのだが。
タープの所々に黒いシミのようなものが付いていた。
「カビ!」
ミィが叫ぶ!
「えっ、ほんとだ」
この先、カビだらけのタープを持ち歩くのは考えただけでもウンザリする。
ネットで調べるとアルコールで拭くと良いらしい。
幸い、消毒用のアルコールは持っていた。
ポンプ式だから使い勝手は悪いけど、黒シミを見つけては吹きかけて拭き取っていく。
まだ被害が少ないのが幸いして短時間でカビ対策を終えた。
それでもしばらくはタープを広げて少しでも陽の光に当てておく。
ただ、この後しばらくはテントの中でどこからか出てくる砂に悩まされてしまう。
砂地のサイトなのでテントもタープもテーブルなんかも砂だらけになってしまったのだった。

富山湾に沈む夕日
今宵のお宿
北アルプスから登る朝日
カビの後始末に追われるタープ

41日目のDATA

2023/08/04(金)
天候:晴れ 最低 24.8℃/最高 36.6℃
長野県北安曇郡白馬村〜富山県富山市
走行距離:135.3km
総走行距離:6347.2km

41日目のルート

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