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カイゴはツライ?第13話~ごはんを炊くのはいいけれど…

ユニットケアは、少人数ならではのよさもあるが、少人数ゆえの大変さ不便さもある。これは当然のことだ。だがユニットケアしか知らないユリにとっては、当たり前のそんな事実も、従来型の集団ケアを経験している職員にとっては違っていた。ユニット型は画期的なすばらしいケア方法であり、少々の不都合に文句を言うのはおかしい、家庭的なケアで正しいのだといった正論がまかりとおっていた。ユリのユニットのリーダーである松岡さんもそんな職員のひとりであった。あるとき、突然松岡さんが「ごはんを炊かないのは、ユニットケアではない。今のように厨房で炊いたごはんを、職員が茶碗によそうだけなのはおかしい。本当なら食事をユニットで作るべきだ。キッチンがついているのだからできるはずだ。だが、まずはごはんを炊くことから始める」と各ユニットリーダーに宣言した。皆は騒然とした。今の勤務体制では無理!男性職員にできるのか…朝はどうするんだ!など、反対の声がいっせいにあがった。実は松岡さんは1週間のユニットケア研修に参加した直後だった。ユリたちユニットのメンバーは松岡さんからすでに話を聞いており、賛成の意を表していた。松岡さんの主張にはやや強引なところはあったものの、自分たちのユニットだけの実験的なものと思っていたし、松岡さんはやさしい人ではあるが、自分の思い通りにいかないと不機嫌になってしまうところがあったからだ。各ユニットでごはんを炊くという松岡さんの提案は介護職員のみならず、介護部長や施設長、法人内の他施設長をも巻き込んだ大きな問題に発展していった。

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