日程終了(追悼公演編)
コチラは追悼公演編のレポート。
撮影会を終了して軽く挨拶などを済ませてから私は爆速で帰宅して、すぐに都内に移動した。
翌日に4月に亡くなった某氏の追悼公演があり日程が被ってしまったんだよね、でも無理ではないからどうしても行きたくて両方を同時進行することにしたんだけど。
ちなみに今日は彼の四十九日法要です。
なんかもう撮影会との気分の温度差よぉ…
気晴らしに都内を散策したりもしてきたけど、緊張しまくってたから上の空で徘徊しました。
今回の公演ではキツい入場制限がかかっていて本人確認をする必要があったから、書類持ってかなり早い時間に1回会場に入ったんだけど。
会場が遠くに見えてきたときに(こんなに楽しみだと思えない公演って今まで無いよな)と既に泣きそうになった、今までは会場が見えてくると「いよいよ」な現実味が増してワクワク感に火がついてハシャいでたのに。
本人確認を終えてパスを受け取り、一旦は会場を離れたんだけど自分がそんな思いを抱えつつ何をして過ごしてたのか記憶が曖昧。
いよいよ開演が近付いて改めて入場したけど、なんかもう緊張しすぎてて吐きそうだったな。
亡くなってから1ヶ月も準備期間が無くてね、私達もどんな構成になるのかとか全然わかっていなくて主催から「彼のためにやりたい」て話を聞いているだけだったんだよ。
それと「これからどうしていくのかをその場で話をしたい」て聞いてて、そういうことならば私も故人の好きだった景色を作るため手助けをしたいって気持ちで参列を決めたんだけど。
これが…あまりにも酷な構成になっていて…
居ないんだよ、彼は、もうそこには居ない。
でも「彼は今でも此処に居る」て体裁の構成で。
つまりどういうことかというと、これまでに彼が立っていたはずにスポットライトが落ちる。
そこに向かって私はまるで彼が今もそこに居るかのようにコール&レスポンスを繰り返すの。
返ってこない返事が辛くて苦しくて。
(なんてことを私にさせるのさ?バカなの?)
て思った。
でも、確かにコレは私にしか出来なかった。
覚えている、彼がステージに立ったときの癖を私はよく覚えていて必ず彼がコチラを指さしてくるから私も指をさしかえして笑いあったり。
彼の見せ場があってね、そのときには必ず彼が前列に躍り出るから私はガヤに徹したっけな。
「君は光」て歌うところがあるんだけどね、そのとき必ず彼はコチラに手を差し出してくるから私も手を伸ばして一生懸命に掴もうとするの。
曲自体はあまり明るいものではないんだけど、そのときだけはお互いにお互いに向かって手を伸ばしあいながら笑顔を向け合ったりしたな。
変わらない。
何も変わらず、あなたは今も私の光。
居ない、いつも立ってた場所に彼は居ない。
手を伸ばした先に広がる誰も居ない空間、私がどれだけ彼の名前を呼ぼうとも照れ臭そうでも満足そうでもある彼の姿はそこには無くてさ。
泣かないって決めてたんだよ。
彼が大好きだったのは楽しそうな姿、全力で彼に応えようとする私の姿を彼は喜んでくれてて「俺の自慢」と言ってくれていたから今この瞬間だけは「彼のために変わらない私」で居たくて。
でも痛くて痛くて痛くて。
でも「彼は此処に今も居て今も立っているんだ」て前提での公演だったから、締め付けられる喉で擦り切れるほどに彼の名前を叫んでみせた。
「オンベース!」
居ない彼のために道をあけ、彼を招き入れ。
賞賛を込めて彼の名前を叫び、華を添えて。
そうするたびに「居ない」てことを噛み締め。
ポッカリと空いた空間に向かって、何も変わりないかのように振る舞い続けようとする狂気。
そこに彼の姿を見ていなければいけない空間。
流石に無理で泣いて泣いて泣いてタオルに顔を何度も埋めた、それでも私は此処に彼の望んだ景色を作るために来たんだから最後まで此処に居るであろう彼の魂に応えなければ。
なんて酷なことを私にやらせる。
呼吸が上手くできないなかで、それでも最高の景色を此処で彼に見せたいと踏ん張り前を向き身体に酸素が回らなくて頭痛で意識が遠のく。
気持ち悪い…吐き気がする…
終わった後にね、話をされたんだ。
「これからも彼は此処に居るんだ、ずっと一緒」
「今回の公演はお別れ会じゃない」
素直な感想として(狂ってる)と思った。
確かに彼の代わりに他の誰かがそこに立つことは私も受け入れ難かったの、彼の後任が立てば彼は「過去の人」になり薄れていってしまう。
そうなったときに彼を慕って付いてきた私は、きっと彼を想い続けることを許されなくなっていってしまうのかもしれないと不安になった。
そうならなかったのは、よかったんだけど。
でも、このカタチはあまりにも私には酷。
覚えてるんだよ、これまでの彼とのやりとり。
でもそれは全て「彼に向けたもの」だったから。
彼と私の間にある掛け合い。
これからも「何も変わらずに彼は此処に居る」という体裁で公演を続けていくなら、私はずっと返事の無い虚空に彼の名前を叫び続けるのか?
わからない。
なんにも分からなくなった。
「彼は此処に立つことを本当に楽しみにしてて大好きで生きてる感じがするんだって言ってたから、これからも彼には此処に立ってもらう」
そう言われた。
彼の存在をこれからも大切にしていきたいって気持ちには感謝するんだけど、こんなことを先も続けていけるほど私の頭は狂ってはいない。
でも、そのスタイルでいくのであれば生前の彼をよく知る私は此処に居続けなければいけないということになる。
彼のステージングが身体に染みついてる私が、この場に立たなければ彼に応える人が居ない。
彼を此処に立たせるためには、これまで何度も彼とコール&レスポンスをしてきた私が此処に居続けなければ公演は成り立たなくなる。
私、最初はあまり彼以外は好きじゃなかった。
コダワリが強すぎて面倒臭い性格をしてて喧嘩も絶えなくてね、でも彼はいつもそれを付かず離れずで遠巻きに見ていて(この人が愛想尽かすことが無いなら悪い人達ではないんだろうな)と「彼への信頼感」ゆえに私も愛想尽かさず此処まで一緒にやってこれたという経緯があって。
お陰様で「なんやかんや全員が良い連中だよな」と理解できるまで一緒に過ごしてきた、だから今は彼だけじゃなく他の連中も好きなんだよ。
今は亡き彼に最大限の敬意を持ち、彼のために活動を続けようとしてくれてることについては感謝してるし私も力になりたいんだけど。
この方針は、彼をよく覚えていて彼が大好きな私であるからこそあまりにも苦しすぎていて。
ずっと、此処で、もう更新されることのない彼との楽しかった記憶を反芻し続けろというの。
出来ない。
そうすることに私は耐え切れない。
でも他の選択肢も考えられなくて、公演に参加する前から「もう此処には正解なんて無いこと」は理解しているつもりではあったんだけどさ。
彼を失った以上、もう此処に最適解など無い。
それでも、示された決断に頷けはしなかった。
あまりにも背負わされたものが重すぎて、もう彼のことだけを思うことができなくなってさ。
(これからも彼のためにこんなこと続けていくなんて…なら私の気持ちはどうすればいい…?)ていうのがどうしようもない本音としてあり。
こんなカタチは望んでいなかった。
ならどんなカタチが良かったのか?
わからない。
「次の公演ももう決めてあるんだ、何も変わることはないから心配しないでまた此処に来て」
そう言われたんだけど、それにも頷けなくて。
わかった、けどわからない。
皆のことは好き。
彼が築き上げてきた場所、守りたかった場所を支えていきたいという願いは私も同じだけど。
でもそこに私が立ち続けられるとは思えない。
ボロボロでホテルに戻ってきた私を、参列してはいなかったんだけど会場まで来てくれていた友達が待っていてくれたんだけどさ。
そのとき私が何と言ったのかは覚えてなくて。
ただ、友達に「でも彼のために続けようとする皆を残して此処を去ればそれはそれで自分自身を責めるんでしょう?もう納得できる落とし所が見つかることは無いから延々と抱えたままで行くしかないんだと思う」て言われたことだけはものすごくよく覚えてる。
流石は我が友達、その一言に尽きる。
私は私の保身のために此処を離れられることはきっと無い、そうしたとしたら私は彼のために彼の大好きだった場所を守ろうとする彼らの手を離したことをきっとずっと責め続ける。
もうどうしていいのかわからない。
「それはこれからも続いてくし抱えていくもの」と言われて、それしかないのは分かってるけどそのためにあの場に立つことはあまりに自虐。
私、普段泣くことって全然無いんだけど。
呼吸困難で気絶寸前になるほど泣いたせいか、あれ以降は涙腺がガバガバすぎてヤバいのよ。
思い出すと涙が溢れてくるから、何の前触れもなくいきなり泣きだすヤバい人になっていて。
正直、日常生活にだいぶ支障が出ている状態。
事情を知ってる人は「苦しむのは当然だから」と見守ってくれてるんだけど、泣こうと喚こうと公演をやるのであればあのカタチになることを自分は耐えていくしかないわけで。
狂うしかないのか、彼を反芻しながら。
周りには「考えさせてほしい」ては言ったけど、でもとりあえず次の公演も参加してみるしか先は見えてこないのかなーっては思っていてさ。
今は自分がどうしたいか自分でも自分の感情が見えてこなくて、参加しながら探っていくしかないような感じがしていて。
今回は参列できなかった仲間達もいるからさ、そのへん含めて「これからはこれが普通になる」てことに対して自分がどう受け止めていけるか考えることもできないほど混沌としてるから。
とりあえず今はまだ何も答えを出さないようにしてる、次の公演の話を出されてしまったから遠くなく「どうする?」て聞かれるんだろうけど今は何も考えられない。
考えられない。
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