8月19日 #アジアベイビーシアターミーティング レポ3日目【子どもを見世物にしていないかという問い】
3日目。そろそろ城崎での生活のリズムをつかんできたと同時に、蓄積した疲労を感じています。
初日の緊張が解け、メンバー同士も打ち解けてきたので、中盤に差し掛かったなという感じがしました。
自己紹介・実践報告では、3名の方の発表を伺いました。
一人目の方は、保育士としての知見と経験から、赤ちゃんの動きを中心とした作品について話していました。
赤ちゃんが舞台の上で表現することは、なかなかスリリングなテーマだとも思います。なぜなら、子どもを見世物にしていないかという倫理的な問いがあるからです。発表では、赤ちゃんを舞台にあげる際の気配りや、赤ちゃん自身が表現することの意義について議論することができました。
二人目の方は主にコミュニティカフェの実践についてお話しくださいました。高校生を中心とした演劇創作活動は、世代間をシームレスにつなぐ居場所の形成につながっています。
印象的だったのは、ワークショップをするだけではなく、作品を創作することを大事にしているという点でした。単なる居場所づくりであれば演劇である必要はありません。
自分のコミュニティでハイクオリティの作品を見ることができる経験。ここに演劇をする理由があります。
三人目の方は、音楽畑で育ってきて、ベイビーシアターに関してはほとんど知らないという方でした。そのことを生かして、素朴な疑問をいくつか挙げてくださいました。
また、演劇のノリと音楽のノリの違いについて議論となりました。クラシック音楽では、まず作品があり、それをどう弾くかが大事ですが、ベイビーシアターでは、目の前にいる人たちに合わせていくという点で思考の転換が求められます。ほかにも、身体的なふるまいについては演劇の視点が役に立つということでした。
午後のクリエーションでは、まず一時間ほど城崎を散策し、それぞれ感じたことをブレストするところからはじまりました。
散策しながら見聞きしたことだったり、そこから連想された抽象的な概念だったり。ブレストしたあとは、手持ちの楽器や素材をもとに、あれこれと動いてみて、シーンをつくっていきました。1、2時間という短い創作時間で、数分のシーンをつくることができました。
誰か一人がみんなを引っ張るというよりも、それぞれの人が案や意見を言い合いながら、少しずつシーンがアップグレードされていくというふうに進んでいきました。出会ってから時間の経っていない人たちが協力しながら創作をしている様子はとてもワクワクするものでした。
明日にはゲネ、明後日は本番です。どんな作品に進化していくのか楽しみです。
夜には通訳の千代さんのお話を伺いました。城崎でダンストークという団体を運営されています。
城崎で活動するようになった経緯について、千代さんの人生の変遷や、城崎の人たちと関係づくりの際のドラマについて伺いました。個別具体的な話で参加者全員で聞き入っていました。
それだけ熱量のある濃密な内容であるがゆえに、地域でアート活動をすることについて深く考えることができたように思います。
3日目のごはん
8/19 #朝食
#あぶ玉納豆丼
#きゅうりとツナの春雨サラダ
#切干大根煮
#大根と椎茸のみそ汁
アジアベイビーシアターミーティングとは?
アジアの国々で、乳幼児を対象とした舞台芸術(=ベイビーシアター)に関わる人たちの継続的なネットワークづくりを目的として、国を超え、知識・経験を共有し、国内外で作品を製作し発表できる環境づくりを目的として開催。
世界の各地には、ベイビーシアターのネットワーク組織があり、ファンドレイジングをはじめとした相互支援の仕組みがあります。アジアで個々に活動を続ける個人や団体が繋がる場を目指して、今回アジア初の開催をBEBERICAの企画制作で行いました。
期間:2020年8月17(月)〜8月24日(月)
会場:城崎国際アートセンター Kinosaki International Arts Center
http://kiac.jp/jp/
文:仁科 太一