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大人に知って欲しいベイビーシアターの見方-「What is Like」公演に寄せて

ベイビーシアター『What is Like?』が2021年12月、東京(12/11-)京都(12/17-)にて上演されます。この作品は、2016年のBEBERICA立ち上げ当時に、初めて作った作品をリクリエーションして生まれました。
コロナ禍を経て、東京ではおよそ3年ぶりの公演です。
公演に先駆けて、読みもの連載の第2回目です。(前回の記事はコチラから。)
今回は、「大人に知って欲しいベイビーシアターの見方」についてお話します。
語り:BEBERRICA代表 弓井茉那

【ポイント1】大人が見つけられないけど、赤ちゃんが見つけられるもの

普段はお世話する存在の赤ちゃんですが、実は非常に高い能力があります。
赤ちゃんが物語を理解するのか? 演劇なんて見るのだろうか?
疑問に思うかもしれませんが、乳幼児期は人生の中でシナプスが最も多い時期です。捉えたことを感覚や行為と繋げる能力がとても早く、周りをよく観察し、吸収する能力があります。

素晴らしい感性を持つ赤ちゃんだからこその物語理解があり、必然として、大人が見つけられないけれど、赤ちゃんだけが見つけられるものがあります。

そうして赤ちゃんが全方位的に演劇の中で見つけて出てきた反応を、公演の中でパフォーマーが拾い、発展して赤ちゃんに返し、赤ちゃんがまた反応して「何か」をまた返す。
BEBERICAのベイビーシアターでは「赤ちゃんは最高の共演者」と呼びますが、この赤ちゃんとの双方向のやりとりによって、その日の演劇が生まれ、その日だけのベイビーシアターが出来上がるのです。

ベイビーシアターに来られたら、ぜひ赤ちゃんが反応する様子をじっくりと見てください。そして、「赤ちゃんになったように五感を開いて作品を見る」というとこを、大人の方には試してみて欲しいのです。

何を発見したかな、どんな感じで五感を開いているのかな。

経験ある大人は、赤ちゃんのように反応することは難しく、「自由になること」そのものが難しいように思います。私もですが、物事の見方が固定されているところがあります。
ベイビーシアターは、大人にとっては世界と出会い直す場です。いつだって、目に見えてる物事も目に見えてない物事も、新しく出会い直せるはずなのです。
 

【ポイント2】赤ちゃんの感性が、学びや気付きをもたらす

赤ちゃんは本当に素早く反応します。子育ての中でも、レスポンスの速さを感じることがしばしばです。

先日、うちの子ども(2歳)と一緒に、タカミナオミさんが代表をされるみつあみの『TON-Ton-ton』というベイビーシアターを観ました。

内容は「三匹のこぶた」です。
高い音が出るホースのような楽器をヒュンヒュン鳴らし、照明変化をチカチカと合わせて、音と光で「狼」を表現していました。
これに狼と気付けず、夫と私がぽかんとしていると、子どもが真っ先に「こわい!」と反応しました。
彼女は、三匹のこぶたを物語としては認識していないはず・・・
でも狼のシーンでホースがヒュンヒュン鳴って、それに合わせて照明がチカチカして… 物語を知る私たちよりも、何倍も早く「こわい!」と反応したのです。

乳幼児の集中は全方位に向くので、大人の視野の何倍もの広さで捉えます。その上、感情と結びつける速度がとても速い。その結果が、瞬時に出た「こわい!」でした。
乳幼児である彼らは、既成概念なく狼が表現する「何か」と出会っていると思いましたし、大人である私は、「狼といえばこういうもの」と思い込んでいたと感じました。
(そして何かを見逃していたかもしれないとも…)

思い込みの狼?

このベイビーシアターで、私は狼を考え直しました。
「そっか、狼って何かよくわからない存在だから怖いんだ」
「自分より大きいから怖いんだ」
「3匹の子豚にとっては脅かす存在だけど、脅かすだけじゃなくてともに生きている存在なんだな」などなど。

私自身が出会い直したのです。

今の社会の中で、蓋をしたり溝を作るほど、赤ちゃんは遠くはない生きものだと思います。彼らの感性が、学びや気付きをもたらしてくれることがすごくあるので、ベイビーシアターがそれらを繋ぐ機会になれば良いなと思いますね。

【ポイント3】「光る5分」があれば充分です

さて、ベイビーシアターで立ち現れる赤ちゃんとのコミュニケーションは、日常の中ではちょっと味わえない類の、すごく濃い関係性ができると感じています。
言葉では説明しきれないし、そんな体験をシアター以外で経験したことがありません。
みなさんには、騙されたと思ってぜひ一度来場して欲しいです。(笑)

そうは言っても、来場するまで色々と大変だと思います。ベビーカーで来たり、子連れでオンタイムに来るのは本当に大変で…
「赤ちゃんに何か体験させたい」それももちろんできますが、お母さんや大人自身がリセットしたり、自分の日常や、生きている世界ともう一回出会い直したり、リフレッシュできる機会としてベイビーシアターを体験して貰いたいと思います。

公演中に、演劇への反応で赤ちゃんが泣いたり、声を出したりする分には本当にご心配なくです。私たちは全く迷惑ではないし、反応があった方が嬉しく、それを作品にできます。
赤ちゃんがパフォーマーの方を見ていなくても、それは公演の中で、自分だけが見つけた「何か」を探求している状態です。
赤ちゃんの集中は、演劇の中心から外れていないんですね。必ず然るべきタイミングで中心に帰ってきます。

役者を見ていなくても、それは自分の探求中。

公演の間ずっと集中できなくても、私たちは「光る5分」があれば充分と考えています。
赤ちゃんは5分でも、いつもの何倍も何倍も集中して濃い体験をするので、大人が感じる密度とは全然違うんですね。時間ではなく質が大切。
30分を理想的に見て欲しい親心はわかりつつ、でも赤ちゃんはキラキラした時間を過ごすので、赤ちゃんを信用して、一緒になって体験して貰いたいと思います。

楽しみにしていてください。みなさまのご来場をお待ちしています。
 
 

あかちゃんとおとなのための演劇 ベイビーシアター『What is Like?』

東京公演 12/11(土)-12(日)  @いろむすびcafe
京都公演 12/17(金)-18(土)  @QUESTION(京都信用金庫)
🎫親子セット(保護者1名+子ども1名)3,000 円 ※追加1名1,500 円
🎫おとな一般(枚数限定)1,500 円

公演の詳細はこちら▼


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