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SOUP

季節は巡り温かさを求める季節へと移り変わり始める
コトコトと音を立てキッチンで煮込まれてるスープ
美味しそうな匂いが部屋を包み込む
テーブルの上には仲良く並んで収まる2本のスプーン
キッチンには幸せそうに鼻歌を歌う女の子
あくびをしながら男の子が起きてくる
「おはよう♪」と声をかける女の子
「おあよ」
「もうすぐ出来るからね」
顔を洗い終わり席に着く彼
「お待たせ〜」と言いながらテーブルの上に温かいスープが出てきた。

「頂います!フーフー」と息を吹きかけ冷ましながらひとくち飲んだ
「美味い!」
「よかった♪」
「さっき何の曲歌ってたの?」
「うんとね〜内緒♪」
「えー」
と少し不満げな声を出しながらスープを飲みつずける彼

「年を取っても皺になっても2人で「恋のスープ」を2人で味わいつくしましょう」

「ねぇあなたと私それぞれの「当たり前」を」
「ねぇ「恋と言う名の1つのお鍋」に詰め込んで煮込んだらどうなるの?」

時に甘えてみたり時に拗ねてみたり
時間をかけて旨味(思い出)に変わってく
「複雑で摩訶不思議です」

「でも、それがまた癖になっちゃう」
「もう止まらない恋のSOUPを」
辛抱強くじっくりじっくり煮込もう

美味しそうにスープを食べる彼見ながらふと今までの事を思い返す彼女の顔は幸せそうだった

「俺は嫌い」 「私は好き」
バラバラの好き嫌い
別々の趣味嗜好も
「人生」と言う名の1艘の小舟に
積み込んで一緒に旅立つ
その海は…

波があったり
雨が降ってたり
晴れ渡ったり
嵐が来たり
それこそが「一緒の生活」ですね
腹が立って喧嘩したり
「もうー最低!」
とか思ったり
「正直に言えば…たまに嫌いになってます」
「…」
「ごめんなさい!」

「でも…手間暇かかった分それだけ美味しくなるのかもSOUPも恋する人生も」

ほんのちょっと嫉妬したり
ほんのちょっとの秘密があったり
逆にそれも2人にはスパイス

スープを頬張る彼の顔を見ながら手応えを感じる彼女
「年を取っておじいちゃんおばあちゃんになっても一緒に居て」
「恋と言うSOUPを2人でじっくり味わいつくしましょうね💕」

「では本日のSOUPを」

「美味い!おかわり!」
と出された空のスープ皿を嬉しそうに受けとる彼女の心は彼の優しさで暖かくなっていた

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