新しい風景
新学期が始まって3週間が経ちました。いつものこと、年度始めの1ヶ月はとても長く感じます。中学生になって初めて使う学校のロッカーの鍵が開かない、中学校では生徒が教室を科目ごとに移動するので、次のクラスがどこか分からない、誰か助けてと、泣きそうな新入生。
新学期なので、上級生もクラスのルーティンに慣れてもらうこととかたくさんあって、授業の流れができるまで少し時間がかかります。
学校にはスクールバスがあります。学校の数が少ないのか、かなり距離があるので、日本の様に徒歩で登校できません。なんと今年は、ドライバー不足とソーシャルディスタンス確保の影響で、バスに乗れる生徒の人数が制限されてしまい、かなりの数の生徒がバスに乗れていません。保護者も大変です。毎日送り迎えしなくてはいけないんですからね。保護者が送り迎えできればまだいい方で、私の受け持ちの生徒(マーシャル諸島やメキシコ、ホンジュラス出身)の保護者はそれもままなりません。大家族で1台しか車が無かったり、親が朝早くから仕事に行かなくてはいけなかったり。子供達はバスに乗れなかったら、学校に行く術がないんです。
とにかく学校に来られる様にしなくてはと、各家庭に子供の送迎が可能か確認して、どうしても送迎が必要な生徒を同僚と毎日自分たちの車で送り迎えしています。乗せていく生徒達は私の通勤途中のアパートに住んでいる子達です。
「坂の下で待っててよー」といったら毎朝きちんと待っててくれます。私が近づいて行くと「ミス、ナリター!」と車に寄ってきます。朝から元気にしてくれます!
子供を送る自家用車が増えたので、道路の少ないコナでは朝から大渋滞です。なので、今まで通勤では使っていなかったバイパスを使う様になりました。ちょっと遠回りだけど、少し早く学校まで着けます。そして、そのおかげでいつもと違う風景に出会えました。
日本でしか見たことなかった電線の鳩、朝日に照らされた海、美しいマウナロアの裾野、(ちょっと見にくいけど)海から上がる虹。
朝から笑わせてくれる子供っち。
「学校まで何分で着くかゲーム」をしながら今日も一日を元気に過ごせてます。
【text&photo by Mina from Hawaii Big Island 】
成田水奈 愛知県出身。27歳の時に米国アイオワ州に留学。小学校教員免許を取得後公立小学校で教える。結婚を機に全く興味のなかったハワイ島コナに移住。しかしコナでフラダンスと出会いフラを通してハワイの歴史や文化、自然との関わり方や生き方を学びながら、日系人協会に所属し日系人移民の歴史、功績も学ぶ。離婚後もハワイ島が気に入り引き続き公立中学校で日本語とEL (English Learners)クラスを教える。通訳をきっかけにタマラエネルギーと出会う。自分らしく生きるサポートエネルギーを広めるためアクティベーターとなる。