八重桜とさくら餅と私
久しぶりに電車に乗って都心へ。通勤時間を過ぎていたこともあるが、電車はシートに1人の割り当て?と思うほどに空いていた。窓も適度に開けてあり換気にも気を配ってある。昨日まで大荒れだった東京。今日は肌寒く、上部15センチほど開いた向かいの窓からは冷たい風が吹き込む。冷蔵庫電車。
普段は人でいっぱいの駅がガランとしている。お店もあまりやっていない。何か手土産をと思ったが、手土産を買うお店もやっていない。行きつけのカフェもやっていない。人はなんとはなく人との距離を保って歩いている、その感じが影絵のような感じが一瞬して、ちょっと息を飲む。
東京のこの変な静けさに慣れない。これも一つの「沈黙の春」みたい。
そんな東京。駅からの階段を降り、前を見ると八重桜がボテボテに咲いていた。「可愛い!可愛すぎる!」 嬉々とした気持ちが止まらない。なんて可愛いんだろう。実は(と大げさにいうことでもないけれど)八重桜ファン。ボテボテした感じが愛おしい。立ち止まってしばらく花見。
桜と空は、思い切りの春。このうるさいまでの咲きっぷりの春が好き。
可愛くって「つんつん」ってしたくなるところが、本当に赤ちゃんと同じ。花も蕾も咲きかけも花の終わりも木の幹もどこもかしこも「生きている」。
葉っぱが増えてきた感じは「さくら餅」にしか見えない。食べたくてたまらなくなる、それしか考えられなくなる、嗚呼恋しい恋しいさくら餅。さっきまで可愛い赤ちゃんだったのに、もう本当にあなたって罪な桜ね。
こちらの空は、藤棚。そうこちらは準備開始。寒くてゆっくりしているように感じる。隣の桜並木はもうすっかり葉桜になっているから、本番前の支度部屋に入った舞台女優の雰囲気。ここから一気に変身する。
雑多に群れる春も好き。和気藹々といこうではないか。ごちゃごちゃしたって仲良くできるのだ。互いが引き立つ。なんて思っていたら、会った人からも言われた。「みんなが得しないとね」って。お互い様だものね。
春の私。ここのタイルで撮るのが好き。元気にこの春を生きてます。手土産を持たなかったのに、帰りはしっかりさくら餅。三色団子もついてきたわ。もう本当にあなたって罪な桜ね!
【text by REIKO from Japan】
佐藤礼子 山間地の昔ながらの暮らしが残る環境で高校までを過ごす。高校時代の愛読書は『留学ジャーナル』と『Hi-Fashion』。短大で村田しのぶと出会い、物心両面で彼女と彼女の家族に支えられる。「ここなら合うと思う」と村田が持ってきた会社案内で就職先を決める。そこで宮本ちか子と出会う。彼女はネパールへ。私も結婚・出産を経てフリーランスライターに。タマラと出会い、ライター業と兼務で創始者秘書に。タマラが縁でハワイ島で成田水奈と出会う。その後、宮本ちか子もタマラに参加。そして、約20年ぶりに村田しのぶと再会し、2018年「Beautiful planet」を立ち上げる。