靭帯損傷した話

昨年(2021年)の5月後半、足を捻挫した。

連休後、重度知的障害のある二男の睡眠リズムが崩れてしまい、私自身も睡眠不足が続いていた。その結果、貧血おこして、なんてことない段差を踏み外してしまったのだ。

最初はただの捻挫だと、湿布で冷やしたり、サポーターしたりと、自宅で対応していたけれど、痛みがなかなかおさまらないので、諦めて整形外科を受診した。

 診断結果は、左足関節靭帯損傷。
しかも、外側、内側のどちらも傷めている。「かなり痛かったでしょう?しばらく、ギプスして松葉杖で生活してください。」
と言われ、私は思わず天を仰いだ。

障害児と2人きりで生活してるのに、松葉杖生活って、どうしよう…。頼れる親族もいない、一人暮らしの長男は大学、夫は単身赴任中。いつもなら使えるはずの二男の短期入所(福祉施設にお泊り。いわゆるレスパイトケア)も、コロナの影響で全く使えない状態だった。いわゆる「詰み」の状態になった。

 思えば2020年末もそうだった。
二男がコロナの濃厚接触者となったため、2週間二人きりでの自宅待機。夫と長男を巻き込むわけにはいかないと、腹を括った。
 あの時の私は、精神状態も相当やばかった。しかし、身体は健康だったので何とかなった。

 今回は違う。

 食事、入浴、排泄、生活全般の介助を必要とする二男と、松葉杖の私。50歳手前の女が松葉杖を20年ぶりに使うと、こんなにもしんどいのかと驚愕した。(前回使用時はアキレス腱断裂)

マジでやばいことになった。

 冷や汗をかきながらギプスをしてもらい、松葉杖の使い方をレクチャー後、帰宅したのは昼過ぎだった。その後は、家族にとりあえず連絡。夫の赴任先は同じ県域なので、週末に帰ってきてくれることになった。

 その当時の夫は
「まあ、駅までなら車で迎えには来てもらえるっしょ!」
(ちなみに駅までは車で一時間かかる)
と思ってたし、私もそう思ってた。負傷したのは左足。車はAT。だから、大丈夫…これが大間違いだった。
 運転中、左足はずっと下を向いてるため、浮腫んでしまい、腫れが酷くなるのだ。結果、痛みが悪化してしまう。リハビリの先生も、送迎はやめたほうがいいと苦言を呈した。そら、そうだ。当たり前だ。

 私は、そのことを何度か夫に訴えたが、あまり伝わらなかったようで、そもそもぼんやりしてる私がケガをしたのが悪い、とまで言われた。忙しいなか、帰ってきてイライラしてたのだろう。
 しかし、だ。一人で休む間もなく二男の世話をし、誰にも頼れず一人きりで悩みながら、睡眠不足になりながら、頑張ってたのに…と思うと怒りが込み上げてきた。
もし、私が元気だったら、間違いなく夫のことをぶん殴っていたと思う。(今まで人を殴ったことはないけれど)

 夫は、わりと健康な人で、大きなケガや病気をしたことがない。そして、強運の持ち主だ。そこそこ、大きな事故に巻き込まれたときも、無傷で済んだ、そんな男だ。だから、ケガした私の気持ちなんかわかんないんだろうな…と涙した。
 
 数日後、夫が赴任先に戻り、また二男との生活が始まった。療養?なにそれ?おいしいの?という状態。松葉杖つきながら二男の介助をしつつ、午前中は病院、午後は家事…という生活を続けた。

 結果、私が普通の生活を取り戻すまで、半年以上かかり、この時の無理な生活が後に腰椎椎間板ヘルニアを引き起こすのであった。





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