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婚外子

地方の歴史的な女子高からは珍しく内地の私立大へ進学。理由;一人暮らしがしたかったから。
時代は就職超氷河期。高卒なら結婚、短卒は堕落、四大なら留学か教職かを付加して免許はミッションで。
思えば就職したくなかった。これがのちに功を奏したのだと気づくまで十数年を要した。こう思うと、途中で死ななくてよかったような気もする。
私たちは決まらずに、あるいは決めずに、なんとなく地元へ戻った。彼女は信金、私は父親の務める会社で事務員のアルバイト。彼女はある程度就活をしていた記憶があるが、私は大学の推薦を得て地銀を受けただけ。役員面接の手前で落っこちたがよかったよ、別にそこで働きたかったわけじゃなかったし。彼女だって信金を目指したわけじゃなかったけど勤めたよ、私たちは別にどこでもよかったんだから。ただどこかへ行っただけ。それが、大学を無事卒業した証拠。中退でも就職はできるか、時代が今ならねクソ。
彼女は信金。二度の産休を挟んで、いまでは管理職。息子は高校と大学のダブル受験生。
私も高校教師が言うほどの無能じゃなかったみたい。大学には受かったわけだし、留年せずに卒業もできました。就活をろくにしなくても職にありついたんだから。父親は高卒の課長どまりだったが、彼の同期や後輩が出世していたおかげで、お嬢さん今年卒業じゃなかった? 決まった? 第二営業部の阿部さんが辞めるんだけど、やってみる?
夢希望があるだろうからと、バイトしながら大会社を目指してもいいですし、なんて地元の基準では高学歴に該当する私を気遣ったのもつかの間、バイトで働き始めてたったの1カ月で、正社員試験の話を持ち出される。この時にもたしか、夢希望があるのなら・・・ってくだりを語られたが、私はその点は決まっていて。そんなものはありません、何なら今この瞬間に死んでもいい人生ですからね。(つづく)

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