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薫と明彦、エピソード Ⅰ

薫と明彦、エピソード Ⅰ

A piece of rum raisin - 単品集 目次

アイーシャとアキヒコ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18848792
メグミとアキヒコ、エピソード Ⅰ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18849084
メグミとアキヒコ、エピソード Ⅱ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18849084#2
メグミとアキヒコ、エピソード Ⅲ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18849084#3
恭子と明彦、エピソード Ⅰ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18928268
恭子と明彦、エピソード Ⅱ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18928268#2
薫と明彦、エピソード Ⅰ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18935781

薫と明彦、エピソード Ⅰ

●性行為した相手を好きになるのは自然なこと?

【今回のお悩み】
「女性です。性行為をした相手を好きになってしまいます。これは自然なことなのでしょうか?」(Hさん)

【回答】
 性行為には、恥じらいや羞恥心が伴うこともあるので「こんなに恥ずかしいことを全部さらけ出した」「二人で秘密を共有した」という部分から、親密になりやすい傾向があります。

 自分を全部見せたことに対して「承認してほしい」「受け入れてほしい」「好意を抱いてほしい」という気持ちがあるからこそ、それが相手への好意につながると考えられます。

「あるがままの自分を受け入れてほしい」という承認欲求は、誰しもが根本的に持っているもの。「全部さらけ出した自分はどうですか?」ということに対して、やっぱり「好きだよ」と言ってほしいですよね。

 それに加えて、この相談者の方は「受け身なのかな」という印象もあります。性行為を誘われた =「自分のことが好きなのかも」という入口があって、体の関係を持ったことで自分も「好き」だと思う。でも、性行為をする、しないを判断する段階で自分の気持ちは相手に向いているのではないでしょうか。嫌いな人や生理的に合わない人と性行為をしようとは思わないですから。

 ある程度の好意がある状態で性行為をしているなら、その相手をさらに好きになってしまうのは自然なことだと思います。でも、そこに少しでも疑問があるなら、いったん立ち止まって自分の気持ちを見つめ直すことをおすすめします。

 その人の性行為が好きなのか、性行為も含めた全体が好きで交際を進めていきたいのか。「自分はどうしたいのか」を指針にすれば、おのずと答えは出てくるはずです。

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●1984年3月16日(金)

 久しぶりの土日の連休がとれた。

 会社のある神田を出て、さて、どうしようか?と思った。同僚は飲もうぜ、と言ってくれたが、どうにも東京で飲む気はしない。ぼくの帰る場所は横浜だ、東京ではない。

 6時45分に神田駅の京浜東北線に乗った。7時18分には降りるはずの鶴見駅に停車した。でも、降りる気はしない。電車は、そのまま新子安、東神奈川、横浜と走っていった。それでも降りる気はしない。桜木町、関内。降りなかった。石川町、石川町。

 いいじゃないか。時間は7時半。そろそろとバーが活気が出る時間だ。

 鶴見で降りようと思っていたから先頭車両に乗ってしまった。それでは元町口だ。プラットホームを京浜東北線10輌分鶴見方向に戻って、中華街口へ歩いた。

 石川町の駅を出て、さて、どこに行こうかと思った。

 ホリデイインか?コペンハーゲンか?

 今日は、どちらも行く気がしない。どうせ知り合いが誰かいる。

 ケーブルカーだ。ぼくはすたすたと中華街に入って、警察署のある右に折れた。

 金曜日の夜にも関わらず、店はすいていた。もちろん、まだ8時半。みな食事の後に来るのだから、後1時間は暇なんだろう。景気も悪いことだし。

 カウンターに座る。

 ぼくから4席右手において、ぼくと同年配らしい女性が一人で飲んでいる。大きめのタンブラーにカクテルか何か、with iceで飲んでいる。ま、ぼくには関係のない話。

 バーテンが来た。「明彦ぅ~、一人かよ?」となじみのバーテンが言う。ちょっとカマっぽい言葉遣いで、優男に見えるが、ジムに通ってボクシングをやっている。ブルースリーみたいな体のヤツだ。喧嘩の時は無茶苦茶活躍する。

「おい、ピート、ちょっとはぼくに殴らせたって良いだろ?」
「明彦、こういうチンピラどもを片付けるのはおまえじゃねえよ。会社勤めの人間を加賀警察署にしょっ引かせるわけにはいかないぜ」
「おまえなあ、そんなこと言って、女の前で格好良くしたいだけじゃないか?」

「あ!明彦、わかったぁ~?」と彼は相手の胸ぐらを掴んで、目立つ顔じゃなく、ボディーにずしんずしんと重いパンチをくりだすんだ。ありゃあ、きく。ぼくも食らったことがある。肝臓と腎臓と下からたたき込むように打つんだ。可哀想に。チンピラは2日は寝るのも立つのも右脇腹を押さえて、うなるんだろうなあ。マッポも顔が傷ついてないとあまり傷害のポイントをつけないからねえ。

 ピートがカウンターから乗り出して、小声で囁いた。

「明彦ぉ~、お隣さん、わけありみたいだぜぇ~」
「ピート、ぼくは酒を飲みに来たんだよ」
「俺は忙しいからな、金曜日の夜だしよ。だから、おまえに譲ってやるよ」
「そういう話ではなくて、ぼくは女は最近こりごりなんだよ」
「明彦ぉ~、なんかわけありらしいぜ、酒でも奢ってやって、話を聞いてやれよ」
「面倒くさいなあ・・・」

 ぼくの返事も聞かずに、ピートは彼女にお代わりをぼくのおごりということで(いや、金を払うのはぼくだ)作った。

 彼女がこっちを向いてグラスをかかげて「サンキュー」と言った。「いや別に」とぼくが言う。

 彼女がぼくをみて言った。「でもね、『いや別に』って、何か底意がなくってお酒を奢ってくれる人はいないわよ?」と眉根にしわを寄せて言う。

「なに、金曜日の夜だし、それにしては客はぼくらだけ。底意がなくって、たった一杯の酒を女性に差し上げても許されると思うよ、ぼくは」とぼくはボソリと言った。
「酒できっかけをつかもうなんて、安上がりすぎるよ、楽しく飲んでいただければ幸いだよ、たまさか、土日休みでハッピーなんだよ、ぼくは。だから酒の一杯くらいは奢りますよ」
「ふ~ん、気前が良いのね?」
「席4つ離れて、眉間に眉寄せて飲んでいれば楽しそうじゃなさそうだからな、だから、ま、楽しく飲めよ」とぼくは言った。

 彼女が顔をしかめて「あのさ、キミ、私が楽しい、楽しくない、そんなことは関係ないじゃないの?」と言う。
「でも、気になる・・・」
「理屈っぽい男ね、アンタ」
「ぼくはアンタじゃないよ、宮部明彦って名前があるよ」
「・・・私、安西薫。どっちを呼べばいいのよ?」
「どっちってのは?」
「明彦か?宮部か?どっちなの?」
「ああ、明彦でよろしい」
「じゃあ、私もカオルと呼んでね」

 彼女はバーのカウンターのハイチェアから降りて、席4つ歩いてきて、ぼくの横に座った。

「変なヤツ」と彼女が言った。
「誰が?」
「明彦が・・・」
「なんで?」
「ふつう、女の子に酒を奢ったら、アリクイみたいに『横の席に座ってもいいですか?』なんてきくけど、明彦は動かないわよ」
「だって、面倒くさいじゃないか?」
「わけ、わかんない・・・」

 ま、そういうわけで、何かわけありの安西カオルと飲む羽目になった。ピートがニタニタしてグラスを磨いている。

 カオルは関内の企業に勤めるOL。男性関係が錯綜していて、悩んでいるとか言っている。

「ピート、お代わりだよ、お代わり。ぼくには17年、彼女は・・・ああ、マンハッタンね」
「ラジャー!」

「明彦は女性問題はなさそうねえ・・・」とカオルが言う。
「おいおい、ぼくはホモではないですから、女性と付き合いますし、付き合うと女性独特の、問題がないのに問題を創出するなんてことで、一杯抱えてましたよ」
「あれ?それって、過去形?」
「面倒くさくなっちゃってさ」
「いいなあ、それで解決できるんだ・・・」

 結構酔っぱらったカオルがボソボソと自分の事情を話し出した。

 彼女は、酔ってしまうと、相手を選ばずに退社後、ホテルに行ってしまうようなんだ。今年26歳になるが、10代でも通用する愛らしいルックスの彼女は、これまで霞ヶ関、有楽町、渋谷の会社を転々としてきた。

「誰でもいいって思ってるわけじゃないんだけど、酔うと、そうなっちゃうみたい。酔っ払うときって、いっぱい飲んでるわけでしょ?そのときは、きっと飲みたい理由がなにかあるんだけど、自分でもよくわからないの」なのだそうだが、会社を移ることになる原因が、この退社後のセックスのため。

「カオルにしてみれば、帰りのタクシー代が浮くからいいや、くらいの軽い気持ちで一緒にホテルに行くのよ。そうだと思う。そういうとき、ほとんど記憶ないから、朝起きるまで、相手が誰かもよくわかってないし」
「おいおい・・・」

 つまり、会社の同僚や上司、隣で飲んでいる見知らぬ他人、誰でも寝てしまうんだそうだ、酔っぱらったら。相手にしてみればラッキーだが、カオルには、色々な意味でかなり危なっかしい話。

 実際、「勘違いした相手が彼氏ヅラしてやたら連絡してきたり、退社後に誘ってきたりするけど、全然そんな気になれないから、断わるでしょ。そうすると『アイツは誰でも寝てる』って噂流されたりして、会社にいるのがウザくなる」ため、別の会社に転々と移っているというわけだそうだ。

「それ、カオル、病気だよ、病気。誰でも彼でも寝てしまってはいけないよ」
「あら、私、まだ酔っぱらってないけど、酔っぱらったら、帰るのが面倒くさいから、私、明彦とでも寝るわよ」
「やれやれ、『明彦とでも』ときたもんだ。あのね、ぼくは誰『とでも』寝ませんよ、いちおう、選択の余地はいつも持ってますよ」

「アラ!じゃあ、明彦はカオルとは寝たくないの?」
「そう言う話ではなくて・・・キミ、酔ってきた?」
「マンハッタン、3杯で?何言ってんのよ。この3倍くらい飲まないと酔わないわよ」
「やれやれ、その3倍飲んだらカオルなんて他人だからな」
「・・・じゃ、そこまで飲まない前に何か言わないの?」
「何を言えば良いんだか・・・」
「明彦、『酔う前にぼくと寝よう』と言えばいいのよ」

「おいおい・・・」
「私が酔っぱらう前に、寝てくれる?私と?」
「まあ、カオルがそう望むんだったら、ぼくもふつうの男だからね・・・」
「!おい!何よ、その言い方!」
「しょうがないだろ、カオルが一緒に寝るのに誰でもいいのか、ぼくじゃなきゃイヤなのか、酔っているのか、いないのか、わからないんだから・・・」

「明彦、女の子の私が、寝てよ、っていっているんだから、さすがの私でも、誰でもいいや、なんて思わないわよ、マンハッタン3杯だけじゃあ・・・」
「やれやれ・・・」
「しよ!寝よぉ~!」
「寝るだけ?」
「バッカ!エッチもよ!カオルは明彦を気に入ったんだから・・・」

「会って、1時間も経ってないのに?」
「時間の問題だと思うの?」
「ま、そうじゃないけどねえ・・・」
「まあ、いいわ、イエスなのね?」
「そう受け取ってくれてもよろしいが・・・」
「まったく、結局、カオル、お酒とエッチが好きなだけなのかもねぇ~」

「お嬢さん、率直なご発言で・・・」
「・・・そういえば、明彦、あなたの言葉遣い、ここいらの学校でも出たの?」
「隣の駅の学校」
「あら?!」
「カトリックの方だよ、国大の附属じゃないよ」
「あら?!」
「ああ、カオル、キミもそっちか?双葉か?共立か?フェリスか?」
「真ん中よ」
「ああ、あっちか。まいったな・・・」
「・・・まさか、明彦、あなた、お兄様の同級生なの?」
「?」

 ぼくはちょっと考えた。同期の人間は200名。でも、安西は1名。彼に妹はいない。

「カオル、ぼくの同期で安西は一人いるけど、妹はいないよ」
「あら、カオルのお兄様と私と名字が違う場合がある、なんて思わないの、明彦?」
「え?」
「妾腹の子供なのよ、私」
「ショウフク?」
「妾(めかけ)の子供!」

「あ、ああ、そうか・・・」
「お兄様と名字が違うし、戸籍にも入っていないってことなのよ」
「だから、カオルの兄貴とは名字が違うのか。なるほど」
「そぉよ、私のお兄様は矢野仁よ」
「え?あの矢野か?」
「そぉよ、銀行家の息子。横浜銀行頭取の矢野が私の父親よ」
「やれやれ・・・」

「だからねぇ、明彦、早くここはお勘定して、私と寝ようよ」
「ぼくは同級生の異父妹とこれから寝るのか?」
「イフマイ?」
「父親の異なる妹」
「そう、それそれ、それと寝るのよ、明彦は、これから」

「わかったよ、わかりました、喜んでカオルと寝ますよ、ぼくは」
「そぉこなくっちゃぁ」
「あっけらかんとしているね、カオルは」
「面倒くさい理屈が男と女の間にいると思う?」
「それにしてはスピードが速すぎるとぼくは思う」

「まぁいいじゃない、これも何かの縁よ」
「縁なのかなあ・・・で、どこでぼくらは寝るんだ?石川町の向こう側のラブホじゃイヤだよ。ニューグランドは歩かないといけないし・・・ホリデイインにしよう」
「あら、ラブホでもいいことよ、私は」
「ラブホ、嫌いなんだよ」
「好きにして良いわ、どこでもいいわよ、明彦と寝られるのなら・・・」
「やれやれ・・・」


恭子と明彦、エピソード Ⅰ

アイーシャとアキヒコ

メグミとアキヒコ


A piece of rum raisin - 単品集


ヰタ・セクスアリス(Ⅰ)雅子 総集編1

ヰタ・セクスアリス(Ⅰ)雅子 総集編2

ヰタ・セクスアリス(Ⅰ)雅子 総集編3

挿入話第7話 絵美と洋子、1983年1月15日/1983年2月12日


登場人物

宮部明彦 :理系大学物理学科の2年生、美術部
小森雅子 :理系大学化学科の3年生、美術部。京都出身、実家は和紙問屋
田中美佐子:外資系サラリーマンの妻。哲学科出身

加藤恵美 :明彦の大学の近くの文系学生、大学2年生、心理学科専攻
杉田真理子:明彦の大学の近くの文系学生、大学2年生、哲学専攻

森絵美  :文系大学心理学科の2年生
島津洋子 :新潟出身の弁護士


シリーズ「A piece of rum raisin - 第1ユニバース」

第1話 メグミの覚醒1、1978年5月4日(火)、飯田橋
第2話 メグミの覚醒2、1978年5月5日(水)
第3話 メグミの覚醒3、1978年5月7日~1978年12月23日
第4話 洋子の不覚醒1、1978年12月24日、25日
第5話 絵美の覚醒1、1979年2月17日(土)
第6話 洋子の覚醒2、1979年6月13日(水)
第7話 スーパー・スターフィッシュ・プライム計画
第8話 第二ユニバース
第9話 絵美の殺害1、第2ユニバース
第10話 絵美の殺害2、第2ユニバース
第11話 絵美の殺害3、第2ユニバース

シリーズ「フランク・ロイドのヰタ・セクスアリス(Ⅱ)-第4ユニバース

第一話 清美 Ⅰ、1978年2月24日(金)
第一話 清美 Ⅱ、"1978年2月24日(金)1978年2月27日(月)
第二話 メグミ Ⅰ、1978年5月4日(火)
第三話 メグミ Ⅱ、1978年10月25日(水)
第四話 メグミ Ⅲ、1978年10月27日(金)
第五話 真理子、1978年12月5日(火)
第六話 洋子 Ⅰ、1978年12月24日(土)

 ●クリスマスイブのホテル・バー
 ●女性弁護士
第七話 絵美 Ⅰ、1979年2月17日(土)
 ●森絵美の家
 ●御茶ノ水、明治大学
 ●明大の講堂
 ●山の上ホテル
第八話 絵美 Ⅱ、1979年2月21日(水)
第九話 絵美 Ⅲ、1979年2月22日(木)
第十話 絵美 Ⅳ、1979年3月19日(月)1979年3月25日(日)
第十一話 洋子 Ⅱ、1979年6月13日(水)

メグミちゃんの「ガンマ線バースト」の解説

マルチバース、記憶転移、陽電子、ガンマ線バースト


シリーズ「雨の日の美術館」


フランク・ロイドのブログ


フランク・ロイド、pixivホーム

シリーズ「アニータ少尉のオキナワ作戦」

シリーズ「エレーナ少佐のサドガシマ作戦」

A piece of rum raisin - 第3ユニバース

シリーズ「フランク・ロイドのヰタ・セクスアリス-雅子編」

フランク・ロイドの随筆 Essay、バックデータ

弥呼と邪馬臺國、前史(BC19,000~BC.4C)


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