「地球は8400万年前に12度傾き、元に戻った」なんてサラッと書いているけど、こりゃあ、大変なことなんだけどね。
「当時の地球は、今と比べて十二度傾いていた」なんてサラッと書いていますが、私からすればギョギョギョです。
一番下に私の「地磁気逆転」シリーズをリンクしておきますが、地磁気逆転だけじゃなく、地軸がフラフラ揺れたら、そりゃあ、氷河期だって起きるでしょうし、地球の四季はむちゃくちゃになりますわな。
季節はなぜ変化するのか?
小学校の時に「季節はなぜ変化するのか?」なんて習ったと思います。
太陽と地球の距離の変化?、じゃございません。太陽に近づくと夏、遠ざかると冬、ではありません。
極端な楕円軌道の天体なら、距離の変化で季節が起こることもありますが、地球の軌道はほぼ円形で、距離はそれほど大きく変化しません。むしろ、太陽から最も遠く離れるのは七月上旬ごろ (北半球では夏) です。極端な楕円軌道が原因なら、北半球と南半球は同じ季節になることでしょう。
地球の公転運動と自転運動
⚪ 地球は一年かけて、太陽の周りを回っています (公転)。
⚪ 地球自身も一日一回、回転しています (自転)。
自転軸の向きは、地球の公転面 (黄道面) に対して垂直ではなく、約23.4°傾いています。この状態で地球が太陽の周りを公転すると、以下の状況が順に繰り返されます。
⚪ 北極側が太陽を向く時期=北半球の夏=南半球の冬
⚪ 南極側が太陽を向く時期=南半球の夏=北半球の冬
⚪ 自転軸が太陽に垂直な時期(太陽は赤道上にくる)=春と秋
つまり、地球の公転に伴って夏→秋→冬→春→夏という季節が繰り返すことになります。北半球と南半球では季節が逆になりますね?
地球が自転軸を傾けたまま公転することによって、季節が変化するわけです。
もし自転軸が公転面に対して垂直だとしたら
常に太陽は赤道上にあり、季節変化は生じなくなります。水星や金星はそのような状態にあります。
昼と夜はまったく同じ十二時間ずつとなります。北半球と南半球の区別がなくなり、中緯度地域では四季の変化が消滅します。また、貿易風や極東風、偏西風といった、地球の大気を循環させるために欠かせない風も失われます。その結果、太陽からの熱エネルギーを地球全体に行き渡らせる作用が滞り、今まで以上に時間がかかるようになることから、寒冷化が進むと考えられます。恐ろしい。
もし自転軸が公転面に対して横倒しなら
極端に昼の長い夏と極端に夜の長い冬ができ、差の激しい季節変化となります。天王星はそのような状態にあります。
北極と南極では半年ごとに夏と冬が到来することになります。その結果、氷が解けることと凍ることが繰り返され、海面の上昇、雲の増加にともなう温暖化の促進などが起こります。
自転軸が23.4°という適度な傾きを持つおかげで、ほどよい季節変化を楽しむことができるわけです。
23.4°+12°=35.4°公転面に対して傾いていたとすると
ところが、この自転軸の23.4°が、8600万年前から7900万年前にかけて今と比べてさらに12°傾いていた、つまり、23.4°+12°=35.4°公転面に対して傾いていたとすると、困っちゃうでしょう?
こうなります。
自分で適当に作った図なんで、ゆがんでますが。
こうなるとですな、特に日本などの中緯度地域の気候が、夏と冬でさらに極端になります。暑いは寒いはで、大変なことになります。
どう大変か?ってのは、お次で書きましょう・・・気が向けば・・・
地球は8400万年前に12度傾き、元に戻った
8600万年前から7900万年前にかけて、地球は傾いて少し横倒しになり、また元に戻っていたことが、最新の研究で明らかになった。
当時の地球は、今と比べて12度傾いていた。ニューヨーク市が現在のフロリダ州の位置に移動するくらいの傾きだ。
地球の地殻は、地球表面の重量分布によって、そんなふうに動くことがある。
ティラノサウルス・レックスやトリケラトプスが歩きまわっていた白亜紀後期に地球を宇宙から眺めることができたなら、地球全体がやや横倒しになっているように見えただろう。
最新の研究によれば、およそ8400万年前には、地球は今と比べて12度傾いていたという。
「12度傾くということは、それと同じだけ緯度に影響を与えていただろう」。この論文の共著者であるダートマス大学の地球生物学者サラ・スロツニック(Sarah Slotznick)は、Insiderにそう話した。12度傾くと、ニューヨーク市はおおよそ現在のフロリダ州タンパの位置に動くことになる、と彼女は続けた。
地球をトリュフチョコレートだと想像してみてほしい。粘度の高い中心部を、硬い外殻が包む球体だ。中心部では半固体のマントルが、液体の外核を取り巻いている。トリュフの最上層、つまり地球の地殻は、パズルのようにぴったり組み合わさったプレートに分かれている。大陸と海を乗せたそうしたプレートは、マントルの上でサーフィンをしているような状態だ。
この最新研究では、8600万年前から7900万年前に、地殻とマントルが、地球外核の外縁に沿うように回転し、また元に戻っていたことがわかった。つまり、地球全体が傾いたあと、起き上がりこぼしのように元に戻ったという。
磁性鉱物を使って地球の傾きを追跡
古地磁気データと呼ばれるものを分析すれば、何百万年も前に、どのプレートがどこに位置していたのか、その全体像を知ることができる。
2つのプレートの接合部にある溶岩が冷えると、その結果としてできた岩石の一部は、磁性鉱物を含むものになる。この磁性鉱物の向きは、その岩石が固まった時点での地球の磁極の向きと一致している。その岩石を含むプレートが移動した後でも、磁性鉱物の向きを調べれば、そうした天然の磁石が、過去に地球上のどこに存在していたのかを導き出すことができる。
この研究では、イタリアで採取した大昔の石灰岩の磁気の向きを調べ、地球が傾いてまた元に戻るまでの期間に、地殻が100万年あたり約3度ずつ動いていたことを発見した。
「これほど本格的な往復の動きが見つかるとは、予想していなかった」
中国科学院の地球物理学者で、スロツニックとともに論文を執筆したロス・ミッチェル(Ross Mitchell)はBusiness Insiderにそう話した。
プレートの沈み込みが、地球を傾かせる可能性
地球を、回転するコマのようなものだと考えると、重量が均等に分布していれば、ぐらつくことなくきれいに回転するはずだ。だが、重量がどちらか片側に移ると、コマの重心が変化し、回転しながら重いほうへと傾くことになる。
スロツニックによれば、白亜紀後期における地球の質量分布の変化では、外核から地殻へ向かうマントル・プルームと呼ばれる高温岩体とマグマの上昇が重要な役割を果たした可能性があるという。
だがミッチェルは、プレートの変化によっても地球の12度の傾きを説明できると言う。高温で密度の低い物質が、マントルの奥深くから地殻へ向かって上昇し、低温で密度の高い物質が核に向かって沈んでいくと、プレートとプレートが衝突する可能性がある。するとその衝撃で、一方のプレートが他方の下に沈み込む。
白亜紀後期以前には、太平洋プレート(約1億平方キロメートルあまりにわたって太平洋の下に広がる、地球最大のプレート)が、北側で別のプレートの下に沈み込みつつあった。しかしおよそ8400万年前に太平洋プレートは別の方向、今度は西側にある別のプレートの下に沈み込み始めた。この変化は「地球のバランスを大きく変えた可能性がある」とミッチェルは言う。
その後、地球が傾きを反転させて元に戻ったことも、ミッチェルにすれば意外ではないという。
「地球の外側の層は、ゴムバンドのような弾力的な動きをする。ちょっとした移動のあと、弾かれたように元の状態に戻ったのだろう」とミッチェルは述べている。