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「IPCC報告書 ー 気温1.5度上昇、10年早まり21~40年に」で、「8.6倍とか1.5倍とか2倍」って言ってるが、なんだ?

下記記事で取り上げましたが、実際のIPCC報告書も手に入ったので、それを元に解説いたします。

十年早まったね? 気温1.5度上昇は10年早く 30年代初頭到達とIPCC

IPCC報告書 ー 気温1.5度上昇、10年早まり21~40年に

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は9日、産業革命前と比べた世界の気温上昇が2021~40年に1.5度に達するとの予測を公表した。18年時点の想定より10年ほど早い。人間活動の温暖化への影響は「疑う余地がない」と断定。自然災害を増やす温暖化を抑えるには二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにする必要があると指摘した。

温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定は気温上昇2度未満を目標とし、1.5度以内を努力目標に掲げる。このままでは達成は難しい。10月末から英グラスゴーで開く第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で各国の協調の深化が試される。

IPCCは気候変動対策の強度別に5パターンのシナリオを示した。21~40年平均の気温上昇は50~60年に実質排出ゼロが実現する最善のケースでも1.5度になる。化石燃料への依存が続く場合は1.6度に達する。

直近の18年の報告書は上昇幅が1.5度に達するのは30~52年と想定していた気候予測モデルを改良し、新たに得られた北極圏のデータも活用したところ、10年ほど早まった。(2021~2040年に起こる、ということ)上昇幅は41~60年に1.6~2.4度81~2100年に1.4~4.4度になる。

平均気温の上昇と異常気象の発生頻度、海面上昇
(日経掲載の表)赤の四角が2021~40年に起こる

気温上昇海面上昇

そのIPCC報告書はこちら。(PDF)

上記「平均気温の上昇と異常気象の発生頻度、海面上昇」のネタ元は、

IPCC 報告書

これですが、説明しますと、右表で「50-years event」とありますが、これはようするに「五十年に一度発生する出来事」ということです。昨日、島根県で起きた大雨もそうですよね。

50年に一度の大雨も
島根県で「避難指示」線路冠水(2021年8月9日)

五十年に一度が「5.81年に一度発生する出来事」になる

それで、「熱波などの極端な高温」が平均気温1.5℃上昇すると8.6倍とありますが、要するに、「五十年に一度発生する出来事」が
50÷8.6=5.81年
5.81年に一度発生する出来事」になってしまうということです。

同様に、元ネタ、

IPCC 報告書2

十年に一度が「6.7年に一度発生する出来事」になる

「Heavy Precipitation over land 10-years event」というのは、
極端な大雨が十年に一度発生する出来事」ということで、今度は五十年ではなく、十年に一度の出来事。それが、1.5倍になるのですから、
10÷1.5=6.7年
6.7年に一度発生する出来事」になってしまうということです。

十年に一度が「5年に一度発生する出来事」になる

同様に農業に被害を及ぼす干ばつ」も2倍になるのですから、
10÷2=5年
5年に一度発生する出来事」になってしまうということです。

地域によってはほぼ四倍、年間10%は床下浸水が起こる

海面上昇は1.5℃の場合0.28~0.55メートルですが、これは平均海水面に対してこれだけ上昇するということ。

地域差もありますし、平均に対して0.28~0.55メートルというのは、地域によってはほぼ四倍、1~2メートル、高潮や台風の時には上昇しますから、ゼロメートル地帯は、年間25%は床下浸水が起こるとかになり、住んでられません

産業革命後の地球全体の気温を把握する精度も向上した。上昇幅について今回、11~20年の平均で1.09度と分析した。18年の報告書は06~15年平均で0.87度だった。

1850~2019年の二酸化炭素排出量は累計2390ギガトンに上る。20年以降に400ギガトンを排出すると、気温上昇が1.5度を超えるとみる。年間排出量は30~40ギガトンで増加傾向が続く。このままだと10年ほどで1.5度に達する。

産業革命前は半世紀に1回だった極端な猛暑は上昇が1.5度で9倍、2度で14倍の頻度になる可能性が高い。最大風速59~70メートルの熱帯低気圧の発生率も上がり、農業に被害を及ぼす干ばつも深刻になる恐れが強い。

平均海面水位は直近120年で0.2メートル上がった。ペースは1971年までの年1.3ミリの約3倍になっていると見積もった。気温上昇を1.5度以内に抑えても陸上の氷は数百年間解け続け、2100年までに海面が今より0.28~0.55メートル上がる可能性が高い。

IPCCは気候変動に関する報告書を1990年以来5~7年ごとにまとめている。最新の研究成果を広く踏まえた内容で信頼度が高く、各国・地域が温暖化対策や国際交渉の前提として活用する。第6次となる今回は22年にかけて計4件の報告書を公表する予定だ。

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