旧約聖書の『ソドムとゴモラ』の物語から約3600年経って、その時、何が起こったのか?という仮説が発表されましたよ。隕石が原因じゃないかってさ。最近、古代の天変地異の発見が増えてきたので、神話の話が本当だった、実は外宇宙からの災害だった、なんて仮説が増えてきてうれしいですね?
神は『ソドムとゴモラ』に対して怒っていた
旧約聖書の『創世記』19章に『ソドムとゴモラ』の物語が書かれています。神様(ヤハウェ、エホヴァ)、かなり『ソドムとゴモラ』に対して怒っていたのでしょう。
ソドムの罪は、甚だしい性の乱れ、ホモ・セクシャル(ソドミー)や獣姦などだそうだ。あの頃、LGBTの概念がないから、ペケを食らったんでしょう。獣姦はちょっとねえ。神様(ヤハウェ、エホヴァ)は、天からの硫黄と火によって滅ぼしてしまいます。ゴモラの罪って書いてませんが、なんだったのかね?
旧約聖書の『創世記』19章はこんな風に書いてます。
神様(くヤハウェ、エホヴァ)が直接お出ましではなく、天使(この天使って三位一体の聖霊とどう違うの?)を遣わして、ロトと妻、娘二人とその今カレを救ってもいいよといいます。娘の今カレは本気にしなかったので、ソドムから逃げ出しませんでしたけど。
その二人の(神エホヴァから遣わされた)御使いは夕暮にソドムに着いた。そのときロトはソドムの門にすわっていた。ロトは彼らを見て、立って迎え、地に伏して、言った、「わが主よ、どうぞしもべの家に立寄って足を洗い、お泊まりください。そして朝早く起きてお立ちください」。
彼らは言った、「いや、われわれは広場で夜を過ごします」。しかし、ロトがしいて勧めたので、彼らはついに彼の所に寄り、家にはいった。ロトは彼らのためにふるまいを設け、種入れぬパンを焼いて食べさせた。
ところが彼らの寝ないうちに、ソドムの町の人々は、若い者も老人も、民がみな四方からきて、その家を囲み、ロトに叫んで言った、「今夜おまえの所にきた人々はどこにいるか。それをここに出しなさい。われわれは彼らを知るであろう」。
ロトは入口におる彼らの所に出て行き、うしろの戸を閉じて、言った、「兄弟たちよ、どうか悪い事はしないでください。わたしにまだ男を知らない娘がふたりあります。わたしはこれをあなたがたに、さし出しますから、好きなようにしてください。ただ、わたしの屋根の下にはいったこの人たちには、何もしないでください」。
彼ら(ソドムの民衆)は言った、「退け」。また言った、「この男は渡ってきたよそ者であるのに、いつも、さばきびとになろうとする。それで、われわれは彼らに加えるよりも、おまえに多くの害を加えよう」。彼らはロトの身に激しく迫り、進み寄って戸を破ろうとした。
その時、かのふたりは手を伸べてロトを家の内に引き入れ、戸を閉じた。そして、家の入口におる人々を、老若の別なく打って目をくらましたので、彼らは入口を捜すのに疲れた。
ふたりはロトに言った、「ほかにあなたの身内の者がここにおりますか。あなたのむこ、むすこ、娘およびこの町におるあなたの身内の者を、皆ここから連れ出しなさい。われわれがこの所(ソドム)を滅ぼそうとしているからです。人々の叫びが主の前に大きくなり、主はこの所を滅ぼすために、われわれをつかわされたのです」。
そこでロトは出て行って、その娘たちをめとるむこたちに告げて言った、「立ってこの所から出なさい。主がこの町を滅ぼされます」。しかしそれはむこたちには戯むれごとに思えた。
夜が明けて、み使たちはロトを促して言った「立って、ここにいるあなたの妻とふたりの娘とを連れ出しなさい。そうしなければ、あなたもこの町の不義のために滅ぼされるでしょう」。
彼はためらっていたが、主は彼にあわれみを施されたので、かのふたりは彼の手と、その妻の手と、ふたりの娘の手を取って連れ出し、町の外に置いた。
彼らを外に連れ出した時そのひとり(天使)は言った、「のがれて、自分の命を救いなさい。うしろをふりかえって見てはならない。低地にはどこにも立ち止まってはならない。山にのがれなさい。そうしなければ、あなたは滅びます」。
ロトは彼らに言った、「わが主よ、どうか、そうさせないでください。しもべはすでにあなたの前に恵みを得ました。あなたはわたしの命を救って、大いなるいつくしみを施されました。しかしわたしは山まではのがれる事ができません。災が身に追い迫ってわたしは死ぬでしょう。あの町をごらんなさい。逃げていくのに近く、また小さい町です。どうかわたしをそこにのがれさせてください。それは小さいではありませんか。そうすればわたしの命は助かるでしょう」。
み使は彼に言った、「わたしはこの事でもあなたの願いをいれて、あなたの言うその町は滅ぼしません。急いでそこへのがれなさい。あなたがそこに着くまでは、わたしは何事もすることができません」。これによって、その町の名はゾアルと呼ばれた。
ロトがゾアルに着いた時、日は地の上にのぼった。主は硫黄と火とを主の所すなわち天からソドムとゴモラの上に降らせて、これらの町と、すべての低地と、その町々のすべての住民と、その地にはえている物を、ことごとく滅ぼされた。
しかしロトの妻は(天使の指示を聞かずに)うしろを顧みたので塩の柱になった。
こんなになったんですかね?今でもロトの妻の塩の柱だ!というのが残ってます。
見るなのタブー
ロトの妻の塩の柱の話は、見るなのタブーと言います。『創世記』9章で、方舟で有名なノアの酔っぱらった寝姿を息子ハムが見てしまい、ノアによってハムの息子カナンとその子孫が呪われてしまうとか、このロトの妻の塩の柱になったとか、ギリシャ神話でも「開けてはいけない」というパンドラの箱を開けてしまったとか、世界中そこここで神話に残ってます。
日本神話だと、イザナキとイザナミの話がありますね。イザナキは、亡き妻に会いたい気持ちが募って死者の国である黄泉国までイザナミを追って行きました。イザナミは黄泉国の食べ物を食べてしまったので、黄泉の国の神と相談しないと帰れない。相談している間、「けっして私を見ないでください」と言われたのにイザナキはイザナミを見てしまった。それでイザナミに追われて、死にものぐるいで黄泉比良坂を駆け登って逃げ切ったという話。
見るなのタブーは、世界各地の神話や民話に見られるモチーフのひとつ。何かをしているところを「見てはいけない」と禁止が課せられていたにも拘らず、それを破ってしまったために悲劇的な結果が訪れる、あるいは、決して見てはいけないと言われた物を見てしまったために恐ろしい目に遭う、というパターンをもち、見るなの禁止ともいう。
ホモ・セクシャル(ソドミー)や獣姦はイカンけど、神様、近親相姦はいいんかい?
さて、ロトと娘二人は、山の洞窟に逃れて隠れ住むのですが、今カレを失った娘二人、一族が絶えてしまうのを恐れて、ロトに酒を飲ませて、近親相姦してしまいます。ホモ・セクシャル(ソドミー)や獣姦はイカンけど、緊急のときだし、神様、近親相姦はいいんかい?え?古代では近親相姦は禁忌じゃないって?ちょっと、腑に落ちませんが。
ロトはゾアルを出て上り、ふたりの娘と共に山に住んだ。ゾアルに住むのを恐れたからである。彼はふたりの娘と共に、ほら穴の中に住んだ。
時に姉が妹に言った、「わたしたちの父は老い、またこの地には世のならわしのように、わたしたちの所に来る男はいません。さあ、父に酒を飲ませ、共に寝て、父によって子を残しましょう」。
彼女たちはその夜、父に酒を飲ませ、姉がはいって父と共に寝た。ロトは娘が寝たのも、起きたのも知らなかった。あくる日、姉は妹に言った、「わたしは昨夜、父と寝ました。わたしたちは今夜もまた父に酒を飲ませましょう。そしてあなたがはいって共に寝なさい。わたしたちは父によって子を残しましょう」。
彼らはその夜もまた父に酒を飲ませ、妹が行って父と共に寝た。ロトは娘の寝たのも、起きたのも知らなかった。
こうしてロトのふたりの娘たちは父によってはらんだ。姉娘は子を産み、その名をモアブと名づけた。これは今のモアブびとの先祖である。妹もまた子を産んで、その名をベニアンミと名づけた。これは今のアンモンびとの先祖である。
よく酒が手に入ったものだなあ?なんて感心してしまいますけど。
ナショジオ。「神の怒りに触れて滅ぼされたソドムとゴモラ」
神の怒りに触れて滅ぼされたソドムとゴモラ
さて、ここからが本題。
古代中東の都市が「ツングースカ大爆発」のような天体衝突で破壊されていた可能性が高まる
Scientists Find ‘Sodom’ Was Wiped Out by Air-Bursting Meteor
Evidence of Sodom? Meteor blast cause of biblical destruction, say scientists
古代中東の都市が「ツングースカ大爆発」のような天体衝突で破壊されていた可能性が高まる
北アリゾナ大学やカリフォルニア大学サンタバーバラ校などの研究者からなるグループは、古代の中東で栄えた都市の遺跡「Tall el-Hammam(トール・エル・ハマム)」における発掘調査の結果、この都市が1908年にシベリアで発生した「ツングースカ大爆発」と同様のエアバースト(強力な爆風)によって破壊された可能性が高まったとする研究成果を発表しました。
研究グループは、トール・エル・ハマムを破壊したエアバーストの規模がツングースカ大爆発を上回るほどだったと推定しており、都市の直接的な破壊に留まらず、本来肥沃だった土地に深刻な塩害をもたらした可能性も指摘しています。
■エアバーストの発生を示す複数の証拠が遺跡で見つかった
トール・エル・ハマムは死海の北東、ヨルダン渓谷南部の高台にある遺跡です。研究グループよると、トール・エル・ハマムはレバント(地中海の東岸地域)南部で人々が継続して定住していた青銅器時代の都市としては知られているもののうち最大で、紀元前4700年からおよそ3000年間に渡って途絶えることなく栄えた都市国家の中核を成していたといいます。
しかし、今からおよそ3600年前の紀元前1650年頃、トール・エル・ハマムの繁栄は終焉を迎えました。遺跡は破壊され焼けた痕跡もある建材、陶器、骨、木炭や灰などが層を成す厚さ約1.5mの“破壊層(destruction layer)”に覆われており、発掘調査の結果、この破壊層からは宮殿の建物や城壁の残骸をはじめ、高い温度にさらされたとみられる外側が溶けてガラス状になった陶器の破片、泡立った泥レンガ、部分的に溶けた建材が出土したといいます。
研究グループが再現実験を行ったところ、これらの遺物は当時の技術では実現し得ない摂氏2000度以上の高温にさらされた可能性が示されました。戦争や地震にともなって発生した火災などではなく、より高い温度に達する何らかの出来事が起きたことを遺物は物語っていたのです。そのうえ、破壊層から見つかる陶器片などの分布には、南西から北東に向けての一貫した方向性がみられるといいます。
また、破壊層からは衝撃石英、スフェルール(球状粒子)、ダイヤモンドライクカーボンも見つかったといいます。衝撃石英は強い衝撃を受けたために亀裂が生じた石英、スフェルールは高温にさらされて溶融・蒸発した岩石が冷えてできたガラス状の粒子、ダイヤモンドライクカーボンは炭素を含む植物や炭酸塩岩が高温・高圧にさらされて熱分解した後に形成されたとみられる物質で、いずれも天体衝突が起きたことを示す証拠とみなされています。研究に参加したカリフォルニア大学サンタバーバラ校のJames Kennett名誉教授は「主な発見のひとつは衝撃石英でしょう」と語ります。
研究グループはこうした数多くの証拠をもとに、トール・エル・ハマムは3600年前に発生した天体衝突にともなうエアバーストによって破壊されたと考えています。研究グループがまとめた論文によると、エアバーストはトール・エル・ハマムから南西に数km離れた場所で発生。最初に高温の熱放射にさらされた粘土の屋根や泥レンガ、陶器などが溶け、そこに高温かつ高速の爆風が襲いかかったとみられています。
冒頭でも触れたように、論文ではトール・エル・ハマムを破壊したエアバーストの規模が1908年6月30日に東シベリアで発生したツングースカ大爆発(推定22メガトン)を上回っていた可能性があると指摘されています。その衝撃は泥レンガでできた壁を粉砕し、宮殿や城壁が築かれていた都市を跡形もなく破壊してしまうのに十分だったといいます。エアバーストの発生は当時のトール・エル・ハマムの住民にとって致命的な出来事で、痛ましいことに、出土した骨は人体が非常に強い衝撃を受けて損傷したことを示しているといいます。
■エアバーストは塩を撒き散らして深刻な塩害ももたらしたかもしれない
当時の人々にとってさらなる打撃になったと考えられるのは、エアバーストの一部が死海やその沿岸に達した可能性です。トール・エル・ハマムの破壊層で採取されたサンプルからは、高濃度の塩分(平均4パーセント、最大25パーセント)が検出されたといいます。研究グループは、死海の沿岸に達したエアバーストの強い衝撃によって塩の結晶が上空に吹き上げられ、トール・エル・ハマム周辺の地域に撒き散らされたことで深刻な塩害がもたらされたのではないかと考えています。
燻製ミイラ状態になった人体に、高温の高濃度塩分の蒸気が降り掛かって、塩の柱になった可能性
隕石の落下で、高温のエアバーストにさらされて、燻製ミイラ状態になった人体に、高温の高濃度塩分の蒸気が降り掛かって、塩の柱になった可能性だってないわけじゃないでしょうね?
研究グループによると、ヨルダン渓谷の下流にあたるトール・エル・ハマムの周辺地域はもともと肥沃な土地で、当時は数万人の人々が生活を営んでいたようです。ところが、中期青銅器時代の終わりになるとトール・エル・ハマムや他の15の都市、100以上の集落が同時に放棄され、この地域はおよそ600年に渡ってほぼ無人のままだったといいます。エアバーストは都市の直接的な破壊だけでなく、この地域の農業に対しても数世紀に及ぶダメージを与えた可能性があるというのです。
なお、トール・エル・ハマムについては、旧約聖書の創世記に記されている破壊された都市ソドムとの関連も指摘されています。研究グループは論文において、トール・エル・ハマムとソドムの関連性についての議論は今回の研究の範疇を超えているとしつつも、3600年前に起きたエアバーストの目撃談が口頭伝承として語り継がれ、最終的に旧約聖書のソドムの記述につながった可能性に言及しています。
2019年、ツングースカ大爆発と同程度の規模の天体衝突が起こる頻度は数千年に一回だとする研究成果が発表されています。今回の研究は、ひとたび同規模の天体衝突が起これば都市や周辺地域に深刻な被害がもたらされる可能性を示しています。規模は異なりますが、2013年2月にロシアのチェリャビンスク州上空で発生した天体衝突にともなうエアバーストでは、およそ1600名の負傷者や建物の被害がもたらされました。
深刻な被害をもたらす天体衝突を事前に予測し、将来的には小惑星などの軌道を変えて災害を未然に防ぐための取り組みは「プラネタリーディフェンス(惑星防衛)」と呼ばれていて、各国で対策が進められています。たとえばアメリカ航空宇宙局(NASA)ではプラネタリーディフェンスの一環として、二重小惑星のうち片方の軌道を変更する実験ミッション「DART」の探査機打ち上げを2021年11月に予定しています。
また、世界各地で実施されている新しい小惑星の探索も、潜在的に危険な天体を把握するという観点からプラネタリーディフェンスの一環と言えます。古代の遺跡が今に伝える深刻な被害を予測・防止する上で、プラネタリーディフェンスは重要な取り組みなのです。