日本国内スタートアップが英語化に挑戦する理由とは?多国籍チームにおける英語コミュニケーションの現状と進め方

はじめに

Beatrust VPoEの Ryo(長岡 諒) です。


先日、ユニファさんとWealthParkさんと共に「日本にいながら多国籍チームで働けるスタートアップエンジニアトーク!!」というタイトルで登壇してきました。Beatrustでは2022年夏頃から全社で英語化を進め、開発チームでは基本的に英語で議論を行っております。 本ブログ記事では、どういった背景で英語化を進め、開発チームが多国籍で基本的に英語コミュニケーションとなるのはどういうことなのか、どういったことをお互い気をつけているのかをまとめています。登壇自体はパネルディスカッション形式で進んでいたのですが、その流れに合わせて当時考えていたことを再構築してみたので、多国籍チームにおける英語化の進め方や現状などをより知っていただければと思います。


本記事は、以下の方を主な読者層として想定して書かれています。


  1. ご本人が日本語母語話者であり、いつか英語をベースとする職場環境で働いてみたいと考えている人

  2. 我々と同じようにスタートアップに勤務しており、まさに人材の多国籍化やそれに伴う使用言語の英語化に必要性を感じている(もしくは興味がある)


基本言語を英語にしてグローバルマーケットに挑戦することは創業3年目の日本国内スタートアップではまだ少ないと感じていますが、この記事がそういった環境の会社への理解を深めるきっかけとなりましたら幸いです。


さらに詳細聞きたい・情報交換したいなどありましたら、TwitterなどでDM送付いただければうれしいです。


以下、当日の登壇の流れに沿いつつ記述します。

挑戦している分野

Beatrustは、創業当初から日本企業だけでなく、世界中の顧客に向けてプロダクトを提供することを目指し、事業を展開しています。 沿革 History

Beatrust の沿革

2022年には、社員数が12名から27名に増加し、開発チームでは元から一部GitHubでのコードレビューなどは英語で行われていましたが、この間にさらなる多国籍化・会社全体の英語化が進みました。

なぜ英語化に踏み切ったのか

弊社のビジョンは「誰もが最高の自分を実現できる世界を作ること」です。このビジョンを達成するためには一人の力だけでは実現が困難で、他者とのコラボレーションが必要と考え、ミッションを「全ての出会いを最適化する」にしました。しかし、大きな企業になるほど、社内の誰がどこにいるかわからないことが多く発生し、社内ですらコラボレーションが発生しにくい状況になっているため、私たちはタレントコラボレーション・プラットフォームであるBeatrustを提供しています。 また人探しやマッチングの課題はどの国でも共通の課題であるため、創業当初から世界中に価値を届けようと考えプロダクトのデザインにも日本国外でもすぐに使えるデザインを意識し、当初から日本人以外としてイギリス人の方がデザインを担当し、台湾人の凄腕エンジニアの方も業務委託で関わってくれていてコードレビューも英語でした。


そんな中、私たちは弊社の想いに共感するエンジニアを採用すべく活動していましたが、リファーラル以外の採用はとても難しく、競争が激しい採用市場においては、非日本語話者も積極的に採用できる環境を整えることが中長期的な差別化要因になると考えました。また、創業当初から準備を進めていた海外展開も具体的な検討段階に入り、全社のコミュニケーションを英語化することを決定しました。


全員が英語が流暢であったわけではなく、コミュニケーションの英語化は一時的に事業の難易度が上がるかもしれない決定でしたが、人数が少ないうちに意思決定をした方がいいと考え、本格的な英語対応に全社挙げて取り組むことを決めました。

Beatrustのチーム構成

Beatrustのチーム構成

2023年3月現在、全社員27名のうち、プロダクト開発チームとして14名がおり、そのうち9名が開発に携わっています。この9名のうち、6名はCanada、Taiwan、Spain、Germany、Nigeria、Brazilから来た方々です。 2022年4月の全社ミーティングで非日本語話者(=英語話者)を1名以上採用することをOKRとして発表した後、部分的に英語化を進めてきました。開発チームでは、週に1回技術面でのディスカッションを全員で行う時間を設けていますが、あるエンジニアから「このミーティングも英語で行っていった方がいいのではないか」という提案を受け、次回からは英語で行うようになりました。最初は私自身も技術の込み入った話しを英語でするのは大変でしたが、今では全員が英語でディスカッションをするのが当たり前になっています。

多国籍チームになり国を超えた多様な文化となったことで、どんなメリットがあったか?

特にエンジニア採用において、日本語話者に限定していては採用がスケールするのが難しそうだ、という市況感を感じていました。そのため英語化を決定し、非・日本語母語話者を積極的に受け入れられるよう変革を推し進めてきました。 英語化によるメリットとして、以下の点が考えられます。 日本語を得意としない英語話者も採用対象となったことで、採用の門戸が広がり、2022年11月には3人の優秀なエンジニアが同時に入社してくれました。 全社でのミーティングが英語化されてから約半年が経ちますが、社員全体の英語力が向上していると感じています。 日本語も英語も流暢な外国籍のエンジニアがおり日本語でそれまで会話していましたが、母国語の英語で会話するようになってからはさらに表現力豊かに積極的に会話してくれており、ポテンシャルをさらに発揮してくれていると感じています。 また、今年から海外展開の準備も具体的に進めだしており、今後さらに多国籍化は進みますし日本国外での成果に関する発表も増えていくにあたり会社全体としての"慣れ"に寄与していると考えています。

コミュニケーションで気をつけていること

常にできているわけではないですが、英語話者の方がいる場ではみな意識的に英語に切り替えて、英語話者の方が会話に入りやすいように気をつけていると感じています。 例えば先日も、月に1回の全社MTGのあとに有志で餃子を食べにいったのですがその際にも自然と英語でしゃべっており、難しい表現や単語は日本語で伝えつつ単語や表現を知っている方がサポートしながら食事していました。(パクチーの英語表現を知らなかったのですが、話す中でコリアンダーパクチーは同じ植物で、その植物の実を英名でコリアンダー、葉をタイ語パクチーだと知るなど知りました)


1つ重要なこととして、全社のミーティングも英語で進めるようにしていますが、「日本語を禁止しない」ようにしています。コミュニケーションはもちろん重要ですが、事業を推進することが第一です。英語で伝えづらいニュアンスがある場合には日本語で伝えることもあり、英語話者から「日本語でいいですよ」と提案されることもあります。


母国語が英語でとても流暢な方もいますが、多くは第二言語として英語をしゃべる方も多いため、ニュアンスとして違和感を感じる際には「それってこういうこと」などお互い確認して齟齬を減らしていると思います。わたし自身も当然日本語と比較して語彙力が全然少なく理解しきれないことも面接や普段のミーティングでもあり、その場合には聞き返して確認するよう意識しています。


現在開発チームの中に外国籍の方は6人で、国別の文化・習慣の違いによる進めづらさなどを感じることはないです。自分の出身国と日本との違いなどは盛り上がるトピックですが、あなたは◯◯出身だからこういった傾向があるなどのバイアスは持たず、1on1などで対話する中で個人として相手を理解しコミュニケーションすることが重要なのではないかと考えています。

多国籍な開発チームにチャレンジしたい人にアドバイス

今まで英語環境で仕事をしたことがない方には、たしかに最初はハードルが高く感じるかもしれません。私自身も最初は今より喋れなかったですが、使い続けることで上達してきたと感じています。英語を学ぶことが目的ではないですが、今後日本でも英語を使う機会が増えますし、英語が流暢な同僚と会話する環境に身を置くことで自然と上達すると考えています。また、最新の技術分野の1次情報はほとんどが英語で発信されるため、そういった場に慣れるきっかけにもなると思います。

2023年2月にプロダクト開発チーム全員14名が集まった合宿時の集合写真

また、読んでいただいて Beatrust に興味を持ったり、プロダクト開発組織の進め方について議論したい方などおりましたら、ぜひ Twitter DM などでご連絡いただけましたら幸いです。


最後に会社紹介貼っておきます。


speakerdeck.com


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