リールシートの話。
どうも、BEATLIX ビルダーのTOMOです。
リールシート、ロッドを構成する上で必要不可欠なパーツ。
今回の記事では僕がリールシートを作る上で考えていることについて、書いていこうと思います。
本題に入る前に話しておきたい事。
プライベートビルダーで、アジングロッドを作っている人なら既にご存知かもしれないbabocraft というビルダー。
お互いがMIZARスタッフ時代に知り合い、プライベートでも親交があります。
彼のロッドを見た事がある方ならすぐにわかると思いますが。
僕が作るリールシートは、彼のリールシートがベースにあります。
初めて見た時に衝撃を受け、心を動かされた。
まずは模倣し、いくつも作るにつれ自分のカタチを模索し出す。
そうやってbaboさんが作るリールシートとの差別化を考え、自分なりの意匠を込めて出来上がったのが僕のリールシート。
ありがたい事に、今ではbaboさんから「BEATLIXはもうtomoさんのオリジナルになってるよ。」とお墨付きを頂けるようになりました。
自分のリールシートの事を話す前に、まず先達への敬意を示したい。
それくらい、僕に大きな影響を与えてくれた方です。
ご興味がある方はリンクを貼っておくので、是非ご覧になってください。https://www.instagram.com/babocraft?igsh=MXdmNnlmaXh0Mzllcw==
リールシートの機能とデザインの両立。
前提としてリールシートは、リールを保持する為の機能性部品。その機能を果たしていれば本来の目的は達している。
機能的にはそれで充分だが、デザインの面で観るとロッドの9割近くは、グリップ周りのコスメで決まると言っても過言ではない。
ロッドのデザイン≒リールシート周りのデザインとも言え、ロッドのキャラクターを大きく左右する部品でもあるのです。
機能性を求めてデザインが貧相になったりするのは好ましくないし、デザイン優先で機能性を蔑ろにするのも好ましくない。
機能性とデザイン性を両立させた「機能美」を追求する事。
それがリールシートの大きな命題だと考えます。
理想のアジングリールシートとは。
ビルドを始めるまで、僕が好んでいたアジングのリールシートは数年前までFujiのIPSでした。
デザインはなんだかモッサリしていて好きじゃないんだけど。
全体的にファットで、同社のVSSに比べてショートなリールシートは、アジングロッド等のショートロッドと相性が良い。
また、リールシート後方の膨らみはフィット感に優れ、しっかりと握れる。
素晴らしいリールシートである事は間違いないのだけれど、明確な欠点もある。
まず、リールシートの全長が長くて重い。
そして、上方向以外から握ると、邪魔な部分が多い。
上方向からグリップを持つと、IPSは本当に握りやすい。しかし、上から持つという事は「手に力を入れていないとロッドを保持できない」という事。
力を入れて握っていないと落としてしまう。当たり前ですね。
人間の体の構造上、グリップを上から持って手首を立てる動きは、手首を"回内"させた状態を維持する必要がある。力を入れてロッドを保持しなければならず、それは疲労に直結する。
これの解決策は横方向からのグリップ。
この場合、手首は"中立"で自然な位置。力を抜いても、ロッドが脱落する事はないので、最大限の脱力をした状態でロッドを保持できる。
また、手の脱力は疲労の軽減だけでなく、軽いリグの荷重変化を感じやすくなるメリットも大きい。
しかし、IPSリールシートは真円形状なので、横からグリップすると太すぎる。正直言って邪魔。
しっかりフィットして、上下左右のグリップに対応。その上でコンパクトに握れる形状はどういう形か?といった感じで、グリップ形状を考えた結果。
"SLANT BACK"という形状に行き着いたのです。
SLANT BACKのルーツ。
IPSのメリットを残しつつ、軽くコンパクトに。
簡単に言えばIPSの要らない部分を削ぎ落とした形なんですが、それを作る上で大きなヒントになったのはダイワのオフセットグリップ。
グリップ部をオフセットした形状で、フィット感が本当に素晴らしい。
上を大きく、下を小さく。
この要素をbaboさんのリールシートをベースに、
IPSの要素とミックスしたのが僕のリールシートです。
"SLANT" = 傾斜 が意味すること。
リール保持部とEVAを斜めに接続し、EVAの上部を大きく、曲線的な形状に。それによって母指球にフィットする体積を確保。
逆に下部は小さく、薬指と小指の邪魔にならないように。この上下非対称性は、フィット感を損なわずに体積を小さくできる合理的な形状。
また、横方向から握る時に邪魔になる部分は排除。
サイドをスリムな形状にする事でリールシートの外周を最小に。
またリール保持部とEVA部を斜めに接続する事は、全長を短縮できるので、手の小さい人でもコンパクトに握る事ができる。
こうやって出来上がった自分の理想系。
モノとして美しく、ソリッドな質感に。
"seek and destroy"
見つけた獲物は全て狩るという意味を込めて。
このリールシートにデメリットはあるのか。
はっきり言えるデメリットが一つある、
それは制作の難易度が高い事。
このリールシート形状は真円ではないので、旋盤での加工は不可能。
一つ一つ手作業で削り出しているので、再現性求めると手間と時間が掛かるのです。
正直言って超面倒いし、生産性は低い。
作ってて楽しいけどね。
しかし、このデメリットを許容しても有り余るメリットの大きさ。
使った事がある人ならきっと共感頂けるのではないかと思います。
終わりに。
今回の記事は備忘録的側面もあるので、そんなに推敲もしていないし、結構適当こいてる部分もあるかも。
文筆のプロではないので、読みにくい部分も沢山あるだろう。
自分が何を考えてロッドを作っているのか。
モノづくりの哲学を共有する事にも、多少の意味はあるのかなと思うので、これから少しずつこう言った記事を書いていこうと考えています。
とりあえず次回はチタンティップのコラムでも書こうかな。
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