弱者性故に弱者を殴ってしまう弱者問題

Xで弱者男性を執拗にdisる人間は本人も確で弱者側

かつてtwitterでは「遊べる障害者手帳」というネットミームが流行った事があった。これはオタクが好むソシャゲ…主に「Fate/Grand Order」…」ユーザーには障害者が多く、従ってスマートフォンの該当アプリのアイコンは障害者の証明に使えるという旨のものである。端的に言えば「FGOやってる人間は皆障害者だ」というレッテルに他ならない。

勿論そんな事実はない。このネットミームが流行った背景は、FGOのアニメ「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア」にて、戦闘に入る際に主人公が女性キャラに対し後ろから指示を飛ばす姿が、非ゲームユーザーの目に奇異に映りその主人公や戦闘スタイルを指して「イキリ鯖太郎」や「デリヘル偉人バトル」的な揶揄が流行り、インターネット空間上でFGOを馬鹿にしていい風潮が出来上がってた事にある。そこで生まれたFGOの悪口の1つが「遊べる障害者手帳」というわけだ。

言う間でもなく「遊べる障害者手帳」というのは上記の「イキリ鯖太郎」や「デリヘル偉人バトル」とは1線を画している。「イキリ鯖太郎」や「デリヘル偉人バトル」もそれが的を射た表現であるか?は別にして1定の根拠はあり、またユーモアな視点であること自体は間違いなく、作品内容や表現に対する批判の範囲に収まるものだ。しかし遊べる障害者手帳というのは作品内容ではなくユーザーに対する何の根拠もなく、また障害者を侮蔑語として使う差別仕草である。何よりそこには「単に強い言葉で他者を馬鹿にしたという悪意のみがあり、そこにユーモアなどはありはしない。ただただ下品なだけである。

そんな事を言う人間は如何なる人間なのか?というと、Xで2019年を指定して「FGO 障害者」等で検索すれば分かるのだが、多分直ぐ「あっ…」となるはずだ。晒上げのような事はしたくないが、まあ1言でいえば適切な医療機関にかかり申請すれば障害者手帳を取得出来るような…というより取得者も結構混じってる…方が中心だ。

実際こうした事例は日本において枚挙にいとまがないが欧米でもそれは同様のようだ。例えば欧米ではフェミニズムに親和的でオタク男性や困窮男性に攻撃的で「漫画やゲームは性犯罪を助長する!」「オタクコンテンツを好むのは非モテや性犯罪予備軍だけ!」「弱者男性の淘汰は自然の摂理!」と声を大にして訴える男性ほど、性的不祥事を起こしやすい傾向が知られている。実際そのようにインターネットで活動していた男性が逮捕された例は膨大な数に上り、更に現在進行形で数が積み上げられている。ここで注目すべきは「強い言葉で相手を批判する人間ほど強い触法行為を犯してる」点だ。例えばゲームオタクに対して「女性を憎む将来の強姦犯」と言い切った男性フェミニト活動家Matt Hickey氏は現在3つの強姦容疑で起訴され裁判中である。以下のアーカイブをチラッと見れば分かるが、ビックリするほどこういった例は存在し決して珍しい現象ではない。

https://archive.md/qrM6O#selection-3793.0-3793.12

https://archive.is/EgbAd#selection-1059.0-1059.11

(因みにフェミニストが社会で困窮してる男性を叩くのは世界共通現象であり、またフェミニストがその歴史で何回も繰り返してきた営為であり、そもそも論として弱者男性を殴るのはフェミニズムの主要教義である。詳しくはこの辺りを参照)

こうした事例により英語圏では「ある思想家や活動家が敵に対して下す人格診断は自己紹介になっている法則」という意味する「Sargon's law」という言葉が誕生した。

またGoogleの英語検索で「male feminist」と検索すれば、真っ先に出てくるサジェストワードは「predator」だ。フェミニズムに親和的でオタクや困窮男性を糾弾する男性フェミニストが、その表で裏で女性に対して犯罪行為を働いていた事例は本当に枚挙に暇がない。それは女性フェミニストですら「流石になんか変じゃないか?」と懸念を表明するほどだ。例えば英国新聞紙ガーディアンは男性フェミニストについてこう語る。以下、筆者雑要約

「男女平等が浸透してきたのは良い事だけど、極度にそれを訴えたりフェミニストに接近してくる男性って大体ヤバイ奴。おおまかに2つのタイプに別けると1つは私達を"社会的に正しい男性"の証のトロフィーとして欲する男性。もう1つは性の解放とかそういうのを訴えて若い女性を狙うプレデター。こうした話はマジでよく聞くんだわ。例えば安っぽく下品なユーモアで自分以外の男性の悪口を言って"自分は合格側ですよね?"とこちらの様子をチラチラ伺う男性とか。正直もうやめて欲しいわ。#NotAll MaleFeminists と言うのは正しいかもしれないけど、私は全員が全員そうだよ!と主張したい」

このように「弱者を異常な熱量を持って叩く人間も本人が糾弾するような弱者性を有している」事例は多い。実際それは全体傾向としてもそうであるらしく、実はこうした現象は教育心理学において「挑発的な虐められっ子」問題として研究されている。

虐めに加担してしまう虐められっ子

ノルウェーで行われた大規模研究レビューによれば虐め被害者には大きく分けて「服従的ないじめ被害者」と「挑発的ないじめ被害者」の2タイプいる事が判明した。前者の特徴は用心深い/繊細/寡黙/引っ込み思案/不安/低い自尊心/抑うつ/身体的脆弱性といった特徴が確認された。後者はそれに加えて支配的/攻撃的/反社会的といった特徴が加わり、いじめられっ子にもいじめっ子にもなりやすい。本記事ではこの後者タイプは如何なる人間なのか?を掘り下げていく。

https://psycnet.apa.org/record/2010-13348-015

因みに日本の研究でも後者…虐めに加担してしまう虐められっ子…についての研究は行われている。例えば西日本の高等学校生徒に「虐められた経験があるか?」と「虐めた経験があるか?」を調査したでは、男子の虐め加害者の22%が虐められ経験があり、女子の虐め加害者の50.9%が虐められた経験がある事が判明している。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/pamjaep/49/0/49_561/_pdf

このように虐められっ子が虐める側に回ってしまう例は珍しい現象ではない。そして虐められっ子が虐めに加担してしまう原因は大きく2つ「イジメ被害の後遺症」と「攻撃的かつソーシャルスキルが低い」があるとされている。

イジメ後遺症

まずイジメの後遺症について私のnoteを読む人間なら、恐らく身をもって知ってる方が多いと思われるので説明する間でもないと思うが1応説明する。Hawker&Boultonが行ったイジメ被害に関する20年間の横断研究のメタ分析レビューでは、イジメ被害を受けた者には抑うつ、自尊心低下、孤独感、不安症が現れ被害後数年が経過しても解消されない事が確認された。滅茶苦茶雑に言えばイジメ被害を受けた人間は不適応症状に陥り、しかも長い間回復せず、社会適合が難しくなるのは勿論イジメられやすくもなってしまうということだ。というより被害経験は被害的な認知傾向をもたらし、不安に対して過敏にさせるので対人関係に悪影響を及ぼさないはずがない。

このような虐め被害の結果、他者を虐めてしまうようになる理由については内藤朝雄氏の分析が分かりやすい。他者を虐めてしまう元虐められっ子は、イジメという自分にとって耐えがたい体験を、他者を利用して「私は虐める側にも回れる」「虐めなる現象はコントロール出来る」という形に加工しようとしているのである。謂わば他者を傷つける事で「私はもう虐められないぞ。傷つけられる側じゃないぞ」という自信と安心感を得ようとしているのだ。される側からすれば迷惑極まりないが、良い悪いは別に「周囲を傷つけこの程度なら大丈夫という安心感を持つ」は精神疾患における回復の文脈ではよく見られる営為である。

で、あまりこの話に触れたくないのだが分かりやすく、また最もネットで可視化されてる例が性風俗産業に従事する女性だろう。もう皆さまご存じだとは思うがセックスワークに従事する女性は知的発達症含む発達障害症状が見られる方が非常に多い。日本の統計は見つけられなかったが支援団体は大体この手の事を指摘するし、メンヘラ界隈や精神保健に関わってる人間なら誰もが知ってる事実だろう。社会的にタブーとされてるし、正直この内容をnoteに書くことには私自身抵抗もある。

この手の問題で特に指摘されるのがASD、知的発達症、性被害経験だ。そしてこの3つには全て相関がある。何故なら、これまた書くのは凄い抵抗があるのだが「性暴力被害者の多くは発達障害女性である」ことを示唆する研究がチラホラあるのだ。例えばカナダで行われた研究によるとASDは非ASDに比して望まない性的接触をする可能性が3倍、性的強制を経験する可能性が2.7倍、強姦を経験する可能性が2.4倍高くなることが判明した。また少なくとも 1 回以上の性暴力被害に遭った割合についてはASD女性では78%、健常女性では47%であった。

何故ASD女性の性被害経験率が高いか?の答えは簡単だ。そもそも対人コミュニケーションに困難を抱えてしまうのが症状だからだ。彼女達は「夜道に見知らぬ男から襲われる」わけではない。大体は異性の友人や知人と距離感を間違え、あるいは無警戒に接してしまい「そ、そんなつもりじゃ…」というケースが大半だ。ASDや知的発達症の対人コミュニケーションの困難は望まぬ性的接触を誘発する要因である。尚これもイジメと同じく「原因がある事=加害を正当化出来る理由」にはならない事は言う間でもない。いじめられっ子に虐められる原因があるとしても、それはいじめられっ子を殴っていい理由にはならないだろう。

そしてそのような性被害にあった女性はどうなるか?というと、大部分は問題なく回復する。性的虐待の研究における研究レビューにおいて、性的虐待経験者は社会適応が僅かに困難になるがそこまで悪影響を及ぼすケースは少ないことが示唆された。「性加害は魂の殺人」なるフレーズがあるが、性加害されたらそれにより魂ないし心は死に何をやっても手遅れ人生終わり…なんて事はない。このフレーズは性加害・性被害を軽視するな!という意味で、児童虐待問題から盗用した言葉なのだろうが、実態に即してないし被害者…ひいては草津町長みたいな性犯罪の冤罪被害者…を追い詰める事になっている。この言葉を気軽に振り回せるのは、上記のファミニストやファミニスト男性や冤罪仕掛け人及び「性被害にあったからこそ敢えて性的な場や人間に近づくタイプの被害者」だけだ。

性被害にあって傷付いた女性は回復したり、それがトラウマとなり性的な場や人間を極端に忌避するようになるが、別のパターンとして「自分の性的価値があること・傷つけられた事を確認する為に同じような傷付き体験にコミットする」ケースも珍しくない。要はセックスワーカーになる。性風俗産業に従事し、あるいは売春をやる事によるといったある種の自傷行為を通じて「私は搾取する側に回れる」「性的接触はコントロール出来る」という形で、性的被害という耐えがたい経験を加工しようとしているのだ。これは冒頭のいじめられっ子が虐める側に加担するのと全く同じメカニズムである。

また1方で不可視化されてる例であるが非行や犯罪に手を染める少年は、その多くが何らかの傷付き経験を有している。

そして発達障害男性が傷付き経験を持つと非行に走りやすくなる傾向が示唆されている。具体的には発達障害を持つ男性に虐待という要素が注ぎ込まれると非行に走る可能性が2倍になるということだ。

何故こうなってしまうか?については様々な複合原因がある。例えば「発達障害人間やソーシャルスキルの低い人間は攻撃を受けやすい」「周囲から孤立しやすくそれ故に適切な回復プロセスが踏めない」も大きな要因だ。しかしながら虐められっ子や性被害経験者や被虐待児や発達障害人間etcが全てこのパターンを辿るわけでもない。それを別けるのが以下の理由だ。

攻撃的態度でしか他者と関われない

インターネットで可視化されてしまった事であるが、人間が人間からアテンションを得るには何らかの魅力が必要である。それは例えばXだと文章力ということになるだろう。フォロワー数の多い人間やX外での知名度を持つ人間なら文章力がなくてもアテンション…RTやイイネはある程度稼げる。例えば第101代内閣総理大臣岸田文雄がXを初めて「ラブライブ!スーパースター!!3期が楽しみ」と呟いたら、もうアニメオタク界隈は大騒ぎになるし、政治に関心のある人間も「アニメオタクに媚び売ってるのか?」「どのキャラが推しなんだ?」「なんらかの政治的メッセージがあるのか?」と大騒ぎになるし、何だったら新聞にも載るだろう。実際イーロン・マスクが輿水幸子の画像をポストした際は世界中が大騒ぎになった。

しかしながらアカウントを作った当初でフォロー・フォロワー数0の普通な人間が「ラブライブ!スーパースター!!3期が楽しみ」と呟いたところで反応は貰えない。何故ならアカウント自体に1定の価値がない以上、単に新作アニメの期待を表明するだけの何の面白みもないポストに関心を寄せて貰えるほどの価値は当然生じないからだ。そこで反応が欲しい…リポストやイイネされたいと思ったら何をすればいいだろうか?単に期待を表明するのではなく第1期と2期の感想も付与し第3期はこうなる!と予想してみたり、自分の好きなキャラがどれほど活躍出来るか?を心配して同志の共感を引いたり、或いは自分がキャラに扮したコスプレ写真を添えてもいいかもしれない。しかしながらこのようにポジティブな方向でアテンションを貰うには、文章力なり表現力なり外見なり社会的地位が必要になってしまう。そういったものがない人間がアテンションを得たいとなったら何をすればいいだろうか?結論から言えば「ワル」になればいいのだ。

例えば「ラブライブ!スーパースター!!3期は駄作確定」とポストすれば、上記のポストよりもアテンションを貰えることだろう。何ならそのような宣伝を呟いてる声優に「ラブライブ!スーパースター!!3期は駄作確定」とリプすれば、それはもうアテンション得られまくりだ。きっと引用ポストを何回もされ、スクショで「迷惑オタクw」等と拡散もして貰えるし、もしかしたらスーパースターアンチ?から肯定的評価も貰えるかもしれない。このように悪口は良い悪いとは別に人間のアテンションを容易に惹けるのだ。もっと言えば「悪口」と「下ネタ」は言う事自体が目的なので、内容に問わず言動自体がコンテンツとして機能する。もっとハッキリ言えば「ワル」になる事は何も持たない弱者でも容易にアテンションを惹ける唯1の武器だ。もっともっとハッキリ言えばやたら露悪的な言動を振り回す人間は大体「それでしかアテンションを惹けない弱者」である。

実際に露悪的言動をとる人間は総じて賢いとは言い辛い事を示す研究もある。例えば人間は露悪的言動をとる人間の事を賢い思いがちだが、それは実際に正しいのか?調べた研究がる。30ヶ国約20万人のデータを利用して分析したところ、そういった人間ほど認知能力と学力課題の成績が悪い事が判明した。1方で成績が優秀な人間は場面に応じて、それが他者の反感等を買わない時だけ露悪的な言動を使っている事も示唆された。雑に言えば常に露悪的言動をとる人間は、場面を読んだり適切にペルソナを切り替える事が出来ず、常に露悪的言動で自分のそういったスキルの欠如を誤魔化しているというわけだ。身も蓋もない結論であるが、まあXなんかでそれはハッキリ可視化されていると言えるだろう。

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0146167218783195

傷付いた心を抱え、社会に受け入れられず、また適合する事も出来ず、更に変える事も出来ない弱者は社会から逸脱…ワルぶる事で、その傷付いた心を癒そうとする。これが「弱者性故に弱者を殴ってしまう弱者問題」の中核だ。良い悪いは別に例えば弱者男性叩きとかは、今の日本において比較的安全に弱いモノ虐め出来るコンテンツである。

売春婦や非行少年やインターネットで執拗に弱者を叩く弱者…それらは適切な支援や医療や仲間を得られなかったある種の弱者の末路であるケースも決して少なくはない。

この話をしたくなかった理由

は単純だ。まず第1にある種の発達障害人間の偏見へと繋がること。第2に現時点においてこの問題に対する解決法がないこと。第3は多分弱者に対するある種のレッテル貼りに悪用される可能性があること。

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