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本格ファンタジーの定義

今日の一曲

アニポケ3代目ED。
小林幸子氏のポケモン曲は?と聞かれたら映画ミュウツーの逆襲の「風といっしょに」を答える人が多いだろうがコチラも負けず劣らずの名曲。

ポップなメロディとは裏腹に子供時代を懐かしむ大人の語りがノスタルジーを感じさせてくれる。
大人になった今でもポケットの中にはファンタジーは詰まっているのかな。
詰まってて欲しいな。

本格ファンタジーってなんぞよ

はい、今回はいま小説界隈を騒がせている「本格ファンタジー」についての話。
ぶっちゃけ炎上しまくって話の出どころは判明しても件のツイートまでは追えなかったので自己解釈がほとんどです。あしからず。
誰かTogetterあたりにまとめて。

さて本格ファンタジー。まずは定義から語らないといけないのだが……たぶんそんなのない
ハイファンタジー、ローファンタジー、近年だと皮肉も込められた名だがなろうファンタジーなどファンタジーは分類すると多岐に渡る。
作者自身も明確にジャンルを決めて執筆するものの、その分類は読者だったり編集者からの形容詞にしかすぎず、作者がこうだ!と言っても読者からはそう捉えられない場合は当たり前のようにある。
これはファンタジーに限った話ではない。

例えば自分は『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』シリーズが好きで、これは本格ファンタジーに分類されるのだろうなと思うのだが、世間ではなろうファンタジーに該当される場合が多い。

『ファミリア・ミース』単体じゃきっと売れなかった

そんな風に第三者の認識でコロコロと変わる中で、クリエーターが「本格ファンタジーは衰退した!なろうファンタジーがファンタジー市場を腐らせたのだ!」とか言っても、ねぇ?
なんか共感できない系のボスが言いそうなセリフで共感性羞恥心を覚えてしまう。とても恥ずかしい。
編集の方々になろう系以外もスコップしてっていうなら理解できるけど悪と認定するのは流石に暴言が過ぎる。

うん、言いたいことは語ったんだけど、ここで話を終わらせたらただの嫌味でしかないので、以降は個人的ファンタジー論を語ることにする。

個人的ファンタジー論

まずファンタジーとは「幻想1:現実9で作られた話」だと思っている。
これは色々と理由があるのだが、そうしないと読者が理解できないというところが一番大きい。
小説は文字で状況を想起させることで読者を楽しませる娯楽だ。他の娯楽と違い視覚的娯楽が一切無いところも特徴。だから読者に理解されないと小説は途端にただの文字の羅列になってしまうので、読者視点は常に注意してやらないといけない。
そう考えるとなろうファンタジーのバカにされやすい「ステータス」という設定も、ゲームに慣れ親しんだ世代の読者には身近であり想起しやすい要素であり案外バカにできない。

別に幻想2でも3でも構わないがそちらに比重が傾くにつれ読者を納得させなければいけない要素が増えてしまい、よりデリケートに扱わなければならなくなり、相対的につまらなくなってしまう≒物語の山場まで読者がついていけない。

ただ比重の話はスタート、ないし序盤の話であって段階的に比重を傾けていくのは別に問題ないと思う。
近年見た作品でこの段階が上手いなと感じたのが『メイドインアビス』。

え、3期やるの?
もしかして作者、漫画やめてアニメで進める気?

この作品はアビスと呼ばれる謎多きダンジョンを探索していく作品なのだが、世界観の設定を伏線にすることで、階層を進むにつれ違和感なく段階をあげている。
ダンジョンもの好きだなって?たまたま。それにダンまちあんまりダンジョン行ってないし。

幻想とは別にモンスターだったり魔法だったりに限った話ではない。
現実的に考えてあり得ないもの、こと。それが幻想だ。
だからぶっちゃけて言えばホビー作品のほとんどはファンタジー作品でもあると思ってる。

さて定義は語った。じゃあ次にファンタジーの醍醐味とはなんだろう。
それはもちろん剣と魔法!……ではなく、この世界とは一風変わった世界で暮らす人々はどのような生活しているか、だと思う。

ホビー作品もそうだろう。現実と似ているようで一定のホビーに対してやけにスケールがでかいから楽しめる。みんな当たり前のように夢中になってて日常にまで侵食してる。でも他のホビーもたまに登場して合体したりする。
そんな風に純ファンタジーでも死生観を始め、いろんなところを自分好みに変えていいと思う。というか変えるべきだ。
そう、別にモンスターが生肉じゃなくて焼いた肉食ってもいいと思う。猫が群れになって竜巻を発生させてもいいと思う。世界中の草が肉食植物で全生物と敵対しててもいいと思う。空からサメが降ってきてもいいと思う。

自分がなろうファンタジーに対して足りないと思うところはこの辺りにある。
未知の世界が広がってるのに世界観でワクワクさせてくれない。主人公最強とか復讐劇とかはそういうのの後でやってくれと。
地の文が長くなると言っても最初の村の店は建物なのかマーケットなのかとか、特産品はなんなのかとか短くても語れることは色々あるはずだ。
ナポリタンやジャガイモで盛り上がるならもっとこの辺りを掘り下げて欲しい。

『スター・ウォーズ』シリーズの監督ジョージ・ルーカス氏は「宇宙では音は出ないのでは?」と言う問いに「俺の宇宙では出るんだよ」と答えている。
もちろん様々な設定を固めた上での発言でなんでもかんでもに使える言葉ではないが、小説なんて自分の作った世界なんだ。好きにやって問題ない。
一番ダメなのはそこにツッコミを入れられた時たじろいでしまうこと。自分の作ったものなんだ。自信を持たないと。

でもまぁ結局面白い面白くないを決めるのは読者なんだ。
だから、いやだからこそ好きにやるべきなんだよ。
常々思う。

そんなこんなで本日はここまで。
また次回。

余談

件の人が「文句を言うなら本格ファンタジーの短編ぐらい書いてみろ」と煽りながら自作の宣伝をしてた。
Twitterで「本格ファンタジー 短編」で調べたら出てくると思う。

そこまで言うならと思い読んでみたのだが、うんすごかった。
本格、本格じゃない以前に文章下手すぎて読むの苦痛すぎる。

容姿どころか男か女かすら一切説明なく登場するキャラクター(文頭2行目より)。
自己紹介をしてないのに相手の名前を発言し始める。
基本3行以上のセリフ群。
ほとんどない心理描写。
どういう世界観かも掴めていないのに現れる転移門やゴーレムや霊体馬の登場。

マジで小説読んだことあるのか聞きたいレベル。
セリフなんて特に自分に酔って書いてんだなーってのが伝わる。あんな長文で話され続けられたら寝る自信あるぞ。てか初対面で墓参りの同行を頼むか?よくわからん。

で世界観が掴めないから小説情報確認したら代表作のシリーズの一つと。
つまり代表作の番外編だから2人の詳しい関係は本編読んでね、と?
読者バカにしすぎだろ……。

Q.本格ファンタジーは味わえたか?
A.本格ファンタジーとはなんなのか、闇が更に深まった。

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