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京都編:伏見@京阪三条

赤垣屋を出て川端通を歩いて行く。以前京都の酒を教えてくれた酒屋、酒のやまもとに寄ってみよう。
ここで英勲や徳次郎などを知り購入、またここは全国の酒もズラリと揃い日本酒好きには堪らない店だ。
また、すぐそばには古い居酒屋がある。
色褪せた紺暖簾に何処か正統派ではない万長酒場の字体・以前入口の「京都で一番おいしい、やっこ200円」の文字に惹かれ入った店は万長酒場・三条店。何処かユニークなオーラを放つ居酒屋だと思ったが、店内はお世辞でも綺麗ではなく、天井には芝居の宣伝ポスター、キリンビールの赤提灯が沢山吊ってあり、何故か三条駅京津線の時刻表があったりと、二代目(先代は山代本店を営んでいて、暖簾分け)ご主人のユーモラスな人柄が店全体に出ている。
確かにやっこは柔らかく大豆の濃厚な味わいで美味。ユニークな名前のエレベーターを頼み、厚揚げに大根おろしが出て来て、揚げ(上げ)とおろし(下ろし)でエレベーターという訳で、、今回は寄らずに次の店へ。

三条大橋のある三条通へ歩いて行くと、横に長い店構えで外観、短目の白い「しのだ屋」の暖簾下から見える店内は相当古い感じで心をくすぐられる
大きな看板には中華そば・うどん・そば・丼物、篠田屋と書かれ、店内から出て来た若者は腹ごしらえをしに入ったのだろう。今度は昼にでも入ってみたい。

その道路向かい先に一際目立つ、菊正宗の文字!京都に来てこれぞ大衆酒場のオーラを放つ店は初めてで、胸高ぶり店の前に立った。

近くで見た大きな白看板には意外にも色褪せた菊正宗の文字にカタカナでキクマサムネ、店名の伏見と書かれている。紺暖簾の白抜き伏見の文字は何処か勇ましく京都の上品な暖簾とは異なり、サッシ戸半分まで垂れ下がる。吊るされた赤提灯はまん丸だがこれまた伏見の文字が力強い。

店左右の格子窓に貼られた紙には名代鯖寿司1500円 名代穴子寿司1300円と入り、版画のようでやけに気になる。ホワイトボードには魚がほとんどのオススメメニュー。

よし、いざ!
店内は狭く、コの字のカウンターで右側は奥まで続きその先には白地の品書き黒板が頼もしく並ぶ。天井には裸蛍光灯だけでやや暗めの店内、小さい店の割には従業員は5~6人はいるな。奥厨房には3人か?
「いらっしゃい、奥どうぞー。」
若い兄ちゃんが声をかけた。
「まずビール下さい。瓶で!」
それにしても、従業員の方は皆、魚屋のような水に濡れても平気なビニール素材の前掛けとゴム長靴で居酒屋というより魚屋。

出来てきたビールは紺暖簾にも書いてあったサッポロビール。赤星。
グラスもサッポロだが、細長いグラスで上手に注がなければ泡ばかりになってしまう。
眼鏡のお兄さんがアルマイトのお盆に乗ったオススメの肴を勧めてきた。とり貝酢味噌あえ、鮎の山椒煮、鯛の昆布〆、丹波の黒枝豆、鱧肝ポン酢、鯛、鱧、鯖寿司。
鱧の肝は食べたことがないな。
「それじゃ、鱧の肝は食べたことがないんで、これっ。」
程よい弾力のある歯ごたえとさっぱりとした肝はポン酢と葱が確かに合い、最初に食べるにはいい。
厨房側にズラリ並んだ白字品書き黒板は魅力的で値段も200円代から500円が中心で中には時価のものもあり、ネタの信頼度が伺える。

隣の40代くらいの男性二人と女性の三人組が頼んだ野菜天に圧倒された!「すげぇ」と思わず声が出た。天ぷらが何層にも重なりインパクト大だ。
15人から20人くらいが座れるカウンターはいつの間にか満席で、壁に貼られた注意書には「どなた様も一時間でお願いします」と書かれ、店の人気が伺える。

俺も、野菜天にしよう!
カウンターの上に置いてある塩を野菜天皿にスプーン一杯盛ってくれた。平瀬の荒塩。
五重塔のような野菜天は、ナス、サツマイモ、カボチャ、玉ねぎ、ハス、アスパラ、ししとう。繊細な天婦羅というより男らしい天婦羅で一人じゃ厳しい。

口の中をさっぱりしたい。。
これまた、向こう側カウンターの方が頼んだどぼつけを注文。
大振りの四角い皿に茄子とキュウリ、ミョウガのぬか漬け。おろし生姜がかかっているのが京都らしい。
これは病みつきになる逸品で箸休めにもメインでもいけ、左隣の客が頼んだかつおのたたきは長皿いっぱいにかかった青ネギは魅力的でどれもボリューム満点で大衆居酒屋らしくて安い、旨い、そして注文してから出て来るのも早く、ボリュームもある。

そろそろ酒にしよう。もちろん酒は菊正宗を燗してもらった。透明の丸みのある菊正宗の徳利瓶(何故か家にもある)。
最後は、狙っていた寿司を頼もう。
鯖か鯛か。
ここは白身の鯛にしよう。
その身は厚く大振りの鯛寿司に甘酢の効いたガリがやけに旨い。

酒より肴でお腹は大満足たが、厨房からは「国産長野の松茸はいかがですか?国産だよ!」
先程の眼鏡のお兄さんに、
「鮎の山椒煮、最後お兄さんっ、どう? 」
と勧められたが、丁重にお断りした。

田舎に行くと祖母や叔母にどんどん食べなさいとよく言われたな~。

祖母と叔母は元気だろうか?。

正月、挨拶しに行こう。
京都の居酒屋でふと思った。

■居酒屋ロマンティクス 2011年11月12日のblogより

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