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京都編:たつみ@寺裏町
京極スタンドから小さな路地裏に入った角っこに古い大衆酒場・創業昭和40年「たつみ」がある。
大衆酒場と言っても店内は狭く立ち飲みスペースと、テーブル席に小上がりのスペースが二つ、それぞれ小さい入口ありどちらからでも店に入れる。アルミサッシ戸の片側だけの小ぶりの白暖簾には「たつみ」「清酒黄桜」「季節一品料理」の文字。
立ち飲み側のコ字のカウンターはご年配常連さんばかりのようで、テーブル席がある奥へ進んだ。
リュックを四人テーブル席の椅子に置き、店内壁に貼られた圧倒的な数の短冊メニューに釘付けとなった。
大衆酒場の定番メニューから京都ならではの季節料理まで黄色い短冊、赤で縁取りされた短冊、黒短冊と無数にある。
天井は舟造り天井で、奥壁には昔の屋号「万長酒場」の扁額があり、27年程前までは万長酒場の名でやっていたようだ。三条大橋近くの万長酒場のご主人に親戚が同じ名で他に二件やっていたと聞いたが、この一軒がそうなのか?本店は山代にあったとは覚えているが。。もう一軒はここなのか?
また、張り紙には酒は三杯まで酩酊お断りの注意書き。
昼の12時からやっているから必要なルールと言えばそうかもしれない。
東京赤羽のこれまた昼から営業している、まるます家も同じルールだ。
理由は言わなくてもわかるだろう。
京極スタンドと違っておじさんばかりのお店。
若い女性客はどこにも見当たらない。二人客のうちの一人ツバ付きの帽子をかぶったオジサンが機嫌良く呑んでいて「いい靴こうてもろうてええな」と相方に一言、その顔は赤らんでいる。3杯以上呑んではいないだろうな~。
若い従業員のお兄ちゃんに、酒は黄桜340と関西によくある鳥きも煮280を注文。
東京の居酒屋メニューにはない京都関西地方の肴がズラリと書いてある。
刺身や天ぷらはもちろんのこと、聞かないとわからないメニューもなかにある。
あん平(さつま揚げ)210、あなきゅう300、鳥きも煮280、ずいき(里芋の茎)酢の物290、八幡巻(穴子や鰻とゴボウを巻いてくりから煮したもの)、どぼづけ(糠漬け)250、いもぼう(海老芋と棒鱈の煮物)480、生麩と豆腐の揚げだし480、牛スジどて煮480、万願寺とうがらし、きずし400、湯豆腐580、はも皮280、ふきの葉の佃煮280、たけのこと昆布の佃煮280、にゅうめん480、魚そうめん320、きずし400など他にもメニューは数えきれない。
お隣さんの真似をして、ずいきの酢の物も頼んでみよう。
奥の方は〆に温かいにゅうめんを美味しそうにすすっている。
ここの価値は京都で京都の大衆的な肴で昼から安く呑める。しかも、客層を見てわかるがご年配の方が多い。安心と信頼がここにはあるからだろう。
その安心感が心地よい。
黄桜の緑色の瓶の首元を持ち上げ、「すみませんっ。お酒もうひとつ!」
足の裏から床に根がはりそうだ。
あと一杯だな。
■居酒屋ロマンティクス 2011年10月29日のblogより