コーヒー以前以後
20年来の友人3人と呑みにいき、懐かしい話ばかりをしていた。
私だけが乗る必要のあった終電の時間も分かっていたけど、追いかけるつもりもなく、幼馴染ならではの昔の話に夢中になっていた。
内容がなくても懐かしさだけで笑顔になれる。
話しているときだけはいつだって20年前に戻れた。
2軒目のバーで会計時にもらった、女の子の可愛らしい手書きで私の名前まで書かれた高額な請求の伝票は、大人の世界への切符のように見えて大事に持ち帰った。
1人でバーなんて行く勇気はないから、また誰かに誘われる日を待つ。
深夜に解散して数時間後に仕事があるにも関わらず家に泊めてくれた友人に別れを告げ、始発の電車を目指して1人で駅に向かっていた。
途中自販機で購入した冷えた缶コーヒーは、まだ酒の残る体を支配するように染み渡っていき、少しだけ目が覚めた気がした。
カフェインの効果なんて信じてないけど。
駅周辺には、お酒の力でまだ昨日の続きを楽しんでる人と、対照的に今日の早い始まりを憂いてそうな人が混在していたが、待つ電車は同じだった。
まだ酔いの覚めきってない状態でこの文章を書いてるから、特に伝えたいこともない。
帰りの電車での暇潰しにすぎない。
ただ楽しかったことだけを忘れないように、いつか思い出すきっかけにでもなればいい。
K - Aquarius
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