外国人で人件費削減?
立命館大学経済学部のHPから、産業革命に関する記事が発表されていました。
非常に興味深く、現代の外国人労働者の問題とも関連すると思われるため、少し考察してみます。この記事では、なぜ中国や日本も、英国に比較して技術力や識字率が劣っていなかったにも関わらず、英国で産業革命が起きたかを分析しています。決定的理由は不明としながらも、当時の英国の時代背景を踏まえて、3つの理由が紹介されています。
①石炭や大量の食糧の入手を可能とする状況であった
②知的財産権が確立されたことで「発明」がビジネスチャンスとなった
③人件費が高く、設備投資の方が割安であった
それぞれの理由が原因となって産業革命を引き起こしたと考えられそうですが、今回は特に③について考えてみたいと思います。現代においても途上国では設備投資よりも人件費の方が安いために、機械化が進まないという考え方があります。
この考え方に基づいた場合、日本でも「賃金が安いから」という理由のみで外国人労働者の受け入れを続けた場合、IT化・AI化の波にどんどん乗り遅れ、他国との競争力を低下させてしまうことが予想されます。
確かに外国人労働者の受け入れは、人手不足の解決策として打ち出されています。しかし、単にそれを人件費削減だけの目的としてしまうのは危険です。本当に価値ある外国人労働者の受け入れ方とは、人口減少が確実視される日本を想定して、マーケットをインバウンド・海外へ拡大する、世界各国から優秀な人材を採用することでダイバーシティを促進する、といった目的として設定されるべきではないでしょうか。外国人とのシナジーを生み出すことで生産性を向上していくことを目指しましょう。