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立地編 - 住んでも良い場所を探す
この記事は、すんで23区3500万シリーズの第二弾です。
資金は3,500万円用意した。じゃあマンションを探す番だ。でも、どんな立地のマンションを探せば良いのか?
#すんで23区3500万 は「ミドルリスク・ローリターン」なマンションを買う戦略である。マンションを買っても即座に値下がりせず、20年後ぐらいに売っても残債をそれなりに上回る物件を探すのである。
気に入った街の、素敵なマンションを買えれば最高だが、予算3,500万円で23区内で希望に満ちた物件を買うのは難しい。
#すんで23区3500万 は一般的なマンションの選び方とは異なり、自分が気に入った場所で探すのではなく、万人受けする条件から立地を絞り、その中から住んでも良い場所を探すという、尖ったマンションの選び方である。
そうだ、妥協しよう
本記事は無駄に長いので、最初に #すんで23区3500万 における立地の条件を紹介する。
エリアは「東京都特別区23区内」または「川崎市、横浜市、新座市、和光市、朝霞市、志木市」のいずれか
「東京駅」「新宿駅」「渋谷駅」、これら3駅の2つ以上できれば3つ全ての駅に「30分以内」でたどり着ける駅
その駅まで徒歩10分以内
住宅の周囲に日用品を購入できるスーパーや飲食店がある
小さくても公園がある
小学校まで徒歩10分以内
ハザードマップ上の最大浸水は0.5m未満
(築古の場合)前面道路が緊急輸送道路である
当然ながらすべての条件に当てはまる立地の物件は #すんで23区3500万 で買えるわけがない。買えない。悲しい。で、あれば、妥協するしかない。
重要なのは「妥協できないこと」と「妥協してもよいこと」、即ち優先順位を自分の中で整理することである。自分の中での優先順位を決めてみよう(※1)。
#すんで23区3500万 では、23区周辺に絞り万人に受ける立地の最低条件をなるべく満たしながら妥協できる立地を探すことを勧めたい。
では、なぜ #すんで23区3500万 ではこの条件になるのか。次章以降で説明して行こう。
(※1) ZUNDAは #すんで23区3500万 のメソッドでマンションを購入したわけだけど、万人受けしないどうしても譲れない条件があった。バイク駐輪場の有無である。
この条件を満たすマンションが少ないんですわ。バイク駐輪場が無いゆえに見送って涙を呑んだマンションも多数ある。
でも20年以上バイクに乗っててバイクが無い生活を想像できないZUNDAにとっては譲れない条件であった。
しかも最近の郊外新築マンションとか敷地に余裕があるのに「バイク置場:3台(50cc以下のみ)」とかザラである。
バイクブームだった1980年代築の都心マンションのほうがむしろ充実してるわい。バイク野郎は23区内の築古新耐震マンションに住もう!
23区内にした方が良い理由
俺らこんな村いやだ 俺らこんな村いやだ
東京へ出るだ
東京へ出だなら 銭こあ貯めで
東京でベコ飼うだ
マンションを買うなら東京都内である。できるなら23区内で。さらに言うと都心3区や6区が望ましいが、#すんで23区3500万 では2024年現在、まず不可能になってしまった。
23区内でもキツいって?まあそうなんだけど、まだ希望はある。もちろん条件によっては23区外の都下や神奈川・埼玉・千葉にも魅力的な立地もある。
ではなぜ23区にこだわるのか理由を書いていこう。
価格が下がりにくい
23区内は価格が下がりにくいんだよ!!!!!(大迫真)
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【資金編】でも述べたけど、やはり23区内と言うだけで価格は下がりにくい(下がらないとは言ってない)。2024年9月の中古マンション平均価格も、首都圏全体では下落傾向だが23区内だけは絶好調である。
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個人的に重要だと思うのは、23区内の住宅価格はただ上がるだけではなく堅調に伸びており乱高下の可能性が低い、という事実。
首都圏全体では中古マンション購買意欲が減衰しているのに、23区内での購買意欲は未だ旺盛であるようだ。
これは、仮に自分が買ったマンションを売りに出さざるを得なくなっても、買ってくれる人が現れやすい≒売りやすい可能性が高い、ということでもある。
もちろん23区と言っても駅徒歩30分の一戸建てといった物件もザラにあるので一概には言えないが、いわゆる「駅近」の物件はこういった傾向にある、と言える。
マンションは実需でもあり資産形成。個別株の投資じゃなくてインデックス投信のように価格の上下で一喜一憂したくないんである。
でも残債割れして欲しくない。で、あれば、23区内の駅近にマンションを買った方が良い。と思う。
将来にわたって人口が減りにくい
将来の人口動態も23区内を勧める大きな理由である。中長期にわたって居住する場合、20年後30年後に、住んでいる町はどうなるのだろうか?
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2024年から約20年後の2045年、日本の人口は1億880万人へと減り、高齢化率は36.3%にまで増加する予測(※2)である。
ところが、首都圏の人口は横ばいか微減。都心部にとどまらず川崎市や横浜市、さいたま市などに至っては増加が見込まれている。逆に23区内でも中野区や北区、特に足立区は大幅な減少の予測がある。
このデータを見る限り、23区に限らず南北方向にも視野を広げた方が良いのでは…?と思える。
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ところが2045年の年齢構造を見てみると、新たにマンションを買うようなニューファミリーは23区内(+川崎市、横浜市、新座市、和光市、朝霞市、志木市など)に集中している。これは将来的にもファミリー向け物件を売りやすいのは23区内であることを示している。
特に、2045年までに人口が増加して、かつニューファミリーも多い杉並区や渋谷区、川崎市多摩区、和光市、朝霞市、志木市などは将来的にも特に有望だと思われる。
2045年に老人世帯が多いエリアでも、2024年に比べて人口が増えていれば、子育てを終えた世帯が利便性の高いエリアでお手軽価格の築古1LDKや2LDKへの住み替え需要が高くなることが予想される。もちろんファミリー向け物件も需要はそれなりに期待できるだろうが、こういったエリアはどちらかと言うと狭めの物件の方が有望かもしれない。
#すんで23区3500万 は短期間での住み替えも選択肢として残しつつ、基本的には中長期の居住を想定しているので、こういった将来予測も頭に入れておきたい。
(※2) 総務省 統計トピックス No.138 統計からみた我が国の高齢者 による。
子育ての補助が手厚い
価格面だけではない。これは23区に限ったことではないが、都民になることのメリットは他にもある。
018サポート
都民なら受け取れる「018サポート」はアツい。子供1人当たり5,000円/月であるが、これは #すんで23区3500万 なら住宅ローン金利を0.2~3%押し下げる効果がある。子供2人ならその倍である。
所得制限のない私立高校等の授業料支援
もう一つ大きいのは「私立高校等の授業料支援」に910万円の所得制限が無いことである。大抵の道府県では所得制限があり、この恩恵を預かるために住所だけ都内に移す家庭もある。
ついでに「私立中学校等の授業料10万円助成」まであり、これまた都民なら910万円の所得制限が無い。
他にも医療費など様々な補助があるが、いずれにせよ「補助金」という観点だけでも東京都民の恩恵は多い。
東京都内の税収を惜しみなく子育てに投下していただいている。持続性に疑問はあるかもしれないが、他の道府県よりは期待できるのではないだろうか(願望)。
公立中学校のレベルが高い
東京の公立中学校は比較的荒れておらず、かつ学力レベルが高い。
令和6年度全国学力・学習状況調査では、東京都の公立中学校は全国2位である(※3)。平成19年(2007年)は全国31位だったので、ここ15年ほどの間に躍進したものである。
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校内暴力も首都圏においては少なく、東京都内が一番平和だというデータがある。1,000人当たりの校内暴力発生件数は3.0件と、神奈川県の半分以下である。
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神奈川県ェ…と思うかもしれないが、これでも15年以上前と比べて発生件数は1/3以下に減っているのだ。ここ数年は増加傾向にあるとは言え、15年以上前の公立中学校と比べると、遥かに安全な空間になったと言える。
ZUNDAが30年近く前に卒業した地方の公立中学校は、不良が校庭を珍走ゼファーで爆走し生活指導の教師がハーレーで追っかけまわすというハートフルでアットホームな環境だったので、子供は絶対に私立に入れようと思っておりました。しかし、ここまで公立中学校が浄化されたとなると、23区内のそれなりの場所に住めば無理に中学受験をさせなくても良いのではないかと思ったわけです。
【都内公立小・中学校の荒れ】
— 東京高校受験主義 (@tokyokojuken) February 26, 2023
都内保護者とつながる私の耳にはしばしば学級崩壊が発生している公立小の情報も入ってきます。保護者面談や地元区議さんとも話題にすることがありました。しかし都内で公立中へと荒れを引きずるパターンは不思議と聞きません。これについて考察してみます。(続
このあたりの考察はXの高校受験塾講師の方が解説しているので、そちらを参考されたい。
また、身も蓋もない結論で笑ってしまうけど、じゅそうけんさんの記事も核心を突いていると思う。
(※3) 国立教育政策研究所 令和6年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料より。東京が劇的に良くなったのは事実だが、例えば数学は大阪府(45位→同率23位)福岡県(41位→同率23位)、宮城県(40位→同率23位)といった大都市圏だけが軒並み上がっている…
必ずしも23区にこだわる必要はない
#すんで23区3500万 に矛盾するじゃねーか!!!というご意見はもっともであるが、現実問題として2024年現在3,500万円で立地が良い場所の物件を買うのは非常に困難である。
で、あれば、埼玉や神奈川、千葉でも条件が良いところであれば選ぶのは全然アリだと思う。特に本章の「将来にわたって人口が減りにくい」でもピックアップした「川崎市、横浜市、新座市、和光市、朝霞市、志木市」あたりを推したい。それでも #すんで23区3500万 的に立地が良い場所は遵守されたい。で、その「立地が良い」ってなに?について、次章で述べたい。
荒川を越えるな
ごめんやっぱ越えろ
「立地が良い」とは何か
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これから家を買おうとしてる人の6割以上の人が広さよりも立地を重視してるんだよなあ
マンションを買うときに良く言われるのが、「一に立地、二に立地、三、四が無くて、五に立地」という格言。住めば都という言葉もあるが、「どこに住むのか」が一番重要であるのは間違いないだろう。
立地が良い条件
都心に近く、最寄り駅にも近い
治安が良い
周囲に店が多く買い物が便利、教育施設が近い
再開発されている、その予定がある
緑が多い、風光明媚である
地盤が固い、災害に強い
南関東6競馬場へのアクセスが良い(※4)
etc..
人によって「立地が良い」は異なる。海の近くが良い、ごみごみした街並みが良い、高速道路が近い、膝を擦れるいい感じの峠が近い、などと優先順位は変わる。
(※4) 南関東6競馬場へのアクセスが最も良い立地は23区内ではなく「南浦和」である。南関東で一番平和な鉄火場こと浦和競馬場があるのに名門中学もあり教育熱も高く、競馬と住環境を両立できる素晴らしい立地である。ZUNDAも2017年ごろは戸建をこの辺りで探していたのである。そう、当時は南浦和駅徒歩15分とかでも3,500万で新築戸建が手に入ったのだ。なお
立地が悪い条件
都心から遠く、最寄り駅からも遠い
繁華街が近くて治安が良くない
幹線道路沿いなどうるさい
ハザードマップが危険
周囲に教育施設が無い
周囲に嫌悪施設がある
近くにWINSがない(※5)
etc..
もちろん人によってネガティブな要素がポジティブに変わることもある。
例えば、幹線道路に近ければうるさいが、その代わり車やバイクで出かけるには便利だ。繁華街が近いということは、飲み歩きには便利だし賑やかな場所が好きな人はむしろ好都合だ。
(※5) いやギャンブル中毒ならスマホで馬券買えよって思うかもしれないが、ZUNDAを含めた少なくない競馬ファンはギャンブルが目的ではなく推し馬の応援馬券を買って競争成績に一喜一憂するのである。外れ応援馬券は馬からの名刺。競馬は浪漫である。
資産価値が高い条件
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マンションを買うとき、自分が理想とする立地を選ぶことは重要だ。しかし、とにかく予算が少ないことで有名な #すんで23区3500万 でマンションを買おうと思っているなら、万人受けするような立地を選ぶべきである(※6)。
なぜなら、万人に共通する「立地が良い」条件なら、インフレに伴って価格が上がりやすいし売りやすい。つまり、【資金編】でも述べた #すんで23区3500万 的な意味で資産価値が高い条件である。
その条件とは、通勤利便性と生活利便性、子育て教育環境だ。
(※6) ZUNDAは個人的な条件をクリアしつつ万人受けしそうな立地の物件を買ったので、東京駅・新宿駅・渋谷駅全て概ね30分程度なのに自分の職場へは1時間程度かかるという沙汰となってしまった。でもまあ帰り道にそこらへんの街に寄れるから良いよね。帰り道にバイク用品店無いけど。
通勤利便性
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もうこれはシンプルに通勤時間が短い方が良いよねっていう万人が考えることである。国土交通省のデータを見ても、1馬力だろうが2馬力だろうが子あり子なし関係なく、みんなとにかく通勤利便性を求めてるようである。
一般的に通勤利便性が高いとは、最寄り駅から複数の鉄道路線を利用できるか否か、複数の路線駅が徒歩圏内か否か、優等列車が停車するか、ターミナル駅まで近いか、などである。が、そもそも職場までの通勤時間が短いことが通勤利便性が高いと言えよう。
万人が許容できる通勤時間とはどの程度なのかを国土交通省のデータで見ると、共働き世帯は「40分以内」を求めている人が多いことがわかる。なお1馬力民は「60分以内」でも許容しているようである。お父ちゃん通勤地獄がんばって!
では、最寄り駅まで徒歩10分として、都内の通勤先としてメジャーな「東京駅」「新宿駅」「渋谷駅」(※7)へ30分以内で行ける場所はどこだろうか?
便利なツールとして通勤時間マップを使ってみよう。
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詳細はマップで色々と見てもらった方が良いので今回は割愛するけど、「東京駅」「新宿駅」「渋谷駅」、これら3駅の2つ以上できれば3つ全ての駅に「30分以内」でたどり着ける駅が「通勤利便性が高い」と言えるのではなかろうか。
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もう一つ大事な要素として「駅からの距離」がある。最寄り駅が東京駅まで30分なのに、そこまで辿り着くのに時間が掛かったら、それは通勤利便性が悪いということである。
更に、車社会ではないエリアの場合、駅からの距離と価格は反比例する。しかも、年々この傾向は強まっており、特に駅徒歩10分を超えると下落率が高くなっている。
気候の良い時期なら徒歩15分も散歩かもしれないが、クソ暑い日や大雨の日に15分も歩きたくないのはみんな思うことだろう。
立地を選ぶとき、駅から近ければ近いほど資産価値が高い傾向があるが、近すぎると騒音が気になる、治安が気になるといった別の問題も起こる。
#すんで23区3500万 では価格の現実性を考えて「駅徒歩10分以内」を推奨したい。
(※7) 上場企業の本社が一番多い区は港区なので、本来は六本木や赤坂、虎ノ門への通勤利便性を考慮すべきだが、そのような立地に本社がある人は #すんで23区3500万 に用があるわけないので割愛した。そろそろ泣いていいっすか?
生活利便性
「生活利便性」とは、生活環境の充実度を示す用語。自宅から様々な施設やサービスへどれだけ簡単にアクセスできるかが、生活環境を充実させる鍵となる。
通勤利便性は大事だが、生活利便性も大事である。
普段の買い物はもちろんだが、保育園、学校、病院、行政機関などの生活サービス施設が徒歩圏内にあるか、公園や緑地といった憩いの場があるか、施設に限らず、どこに出かけるにも便利な交通機関があるか、など多数の要素がある。また一般論として、通勤利便性が高い立地は生活利便性も高いことが多い。
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(https://www.mlit.go.jp/pri/houkoku/gaiyou/pdf/kkk92.pdf)
では、万人受けする生活利便性とはなんだろうか?
国土交通省の調査によると、子育て世帯が家を買った際に生活利便性で重要視した項目は、「駅やバス停が徒歩圏内にあること」と「住宅の周囲に、日用品を購入できるスーパーや飲食店があること」が圧倒的であるようだ。
子育て世帯にとって、営業時間の長いスーパーがあることはさほど重要ではないし、大規模商業施設があることや、子供を室内で遊ばせる児童施設があることも重要ではないのである。DINKsや高齢者にとっては異なる点もあるかもしれないし、付加価値としてこれらの施設があることは望ましいが、#すんで23区3500万 の観点で立地を選ぶ場合の優先順位は低くならざるを得ない。割り切ろう。割り切るんだ…!(割り切れるとは言ってない)
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(https://www.mlit.go.jp/pri/houkoku/gaiyou/pdf/kkk92.pdf)
また、「緑・街並み」に関しても「近くに公園がある」ことが重要視されているようだ。先生!競馬場は公園に入りますか?(※8)「日常生活圏が喧騒としていないこと」も重要視されているが、正直生活利便性とは相反する要素でもある。事実、23区内・集合住宅購入者は、他の地域の購入者に比べてあまり重要視していないようだ。
つまるところ、#すんで23区3500万 の観点において生活利便性が良いこととは、「駅近」で「日用品が揃うスーパーがある」かつ「小さくても公園がある」を満たせれば問題が無いのである。23区内で通勤利便性が高い場所なら、ほぼ満たされるのではないだろうか。
一応、路線によって駅近スーパーの充実度は異なるので、詳細は小林拓矢さんの記事も参考にされたし。
(※8) JRAが運営する競馬場は子供が遊べるデカい公園が併設されていることが多い。特に東京競馬場(通称日吉が丘公園)の充実っぷりは凄まじく、各種アスレチック遊具やじゃぶじゃぶ池、挙句の果てにはミニ新幹線まで無料で乗れる。さらに警備員の数も半端ない上に救護所もあるので、ヘタな公園より安全安心に子供を遊ばせることができる。まあお馬さんが走ってるときは絶叫する愉快なおじさんたちが投票所にいるので、競馬を開催していないパークウインズ開催の時に行くのをお勧めしたい。
子育て教育環境
子育て世帯にとって重要視されるのは、やはり教育環境である。入れる保育園が近い、小学校が近い、治安が良い、教育熱が高い、塾がたくさんある、公園が近いといった要素が浮かぶ。
では、万人受けする子育て教育環境とはなんだろうか?
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国土交通省の調査によると、子育て世帯が家を買った際に子育て教育環境で重要視した項目は、「小中学校が近い」ことが圧倒的であり、次いで「保育園などが徒歩圏内」「小児科などが徒歩圏内」ことである。意外なことに、小中学校の評判(※9)や保育園の待機児童の多寡はそこまで重要視されていない。
小中学校への距離は23区内に限った話ではなく、超郊外のエリアにおいては駅近より小学校の近くの方が成約坪単価が高い(※10)ことから、子育て教育環境の絶対条件であることがわかる。
23区内では比較的重要度は低くなっているが、23区内は至る所に小学校があるのであまり気にしなくても良いという理由もある。ただし都心の場合は生徒数が少なすぎて廃校になる事例もあるので、極端に子供が少ないエリアは注意した方が良いだろう。
ZUNDAの個人的意見では「徒歩圏内に夜間救急子供診療所がある」を推したい。小さい子供は夜になって熱を出すことが多々あるものなので、これが近くにあると非常に助かる。
子育て教育環境は個々人にとってこだわりがあると思うが、#すんで23区3500万 の観点において子育て教育環境が良いこととは、「小学校が近い」ことである。23区内の中学校は学校選択制なこともあり、多少遠くても許容できるだろう。できれば小学校まで徒歩10分以内としたい。
(※9) 小学校の評判についてだが、小学校が荒れているか否かは、その小学校があるエリアの地価が影響しているという霊感がある(データがあるわけではないが…)。#すんで23区3500万 のメソッドに従えばそれなりの地価の場所を選ぶことになるので、比較的荒れた小学校が学区になる可能性は低いのではないだろうか。
だが、近年マンションが次々建ち、生徒数がパンク状態になっている小学校は40人学級に近くなって先生の目が届きにくくいじめが発生しやすいというママ友情報を得たことがある。
中学校も、中学受験率が非常に高いエリアの公立中学校は、中学受験に失敗した生徒が非行に走る事例も見聞きするので、公立中学校へ進学するつもりなら、中学受験率が非常に高いエリアは避けた方が良いかもしれない。
(※10) 例えば「新宿100分――オフィスと直結する」で有名な千葉は外房の宅地では、鉄道駅周辺よりも、駅から徒歩30分以上掛かるような小学校周辺の宅地のほうが高いとの由である。詳細は吉川祐介さんの記事を参考にされたし。
気を付けたい要素
安全・安心
資産価値としては優先順位は下がってしまうが、子育て世帯にとって「安全・安心」な環境はある程度重要視される。国土交通省のデータから、万人は何を重視しているのかを見ていきたい。
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国土交通省の調査によると、子育て世帯が家を買った際に安全・安心に係る項目で重要視した項目は、「繁華街がなく地域の風紀が良い」ことが圧倒的であり、次いで「前面道路の交通量が少ないこと」となっている。ただし、23区内のマンション購入者はさほど前面道路の交通量を重視しておらず、「街路灯の充実」「歩道の整備」の方を重視している。
#すんで23区3500万 的な観点だと、近くに繁華街があると確かに治安は悪化する。他方、多数の飲食店や商店があることで利便性が高いことも事実である。また駅近のマンションは用途地域が商業に指定されていることが多く、資産価値を高めるなら、ある程度繁華街に近いのは仕方が無いのではないか。
オートロックなど、マンションのセキュリティがしっかりしていればある程度カバーできるので、この項目は割り切る必要があるかもしれない。
また、前面道路の交通量についてだが、これも前面道路が広い(≒交通量が多い)ほど容積率が高くなり大型マンションが立ちやすいため、#すんで23区3500万 的な観点では許容せざるを得ないと感じる。実際、23区内のマンション購入者は「街路灯の充実」「歩道の整備」の方を重視している。
逆に #すんで23区3500万 の観点では、前面道路の交通量が多いことを条件付きで推奨する。前面道路が緊急輸送道路の場合、建て替えの補助金と容積率ボーナスが得られるためだ(2024年現在、対象は旧耐震かつ耐震に問題があるマンションに限られている)。
ギリギリ新耐震なマンションは築40年を越えており、国土交通省においても新耐震基準マンションの再生を促進するための措置が必要としている(※11)。
もちろん確実なことは言えないが、新耐震でも築50年を超える時期になれば、緊急輸送道路に面している築古マンションへの勧告・補助が始まるのではないか。仮に補助が少ないとしても、国や自治体からの提言と言う錦の御旗があれば、他の立地のマンションより建て替えられる可能性は遥かに高いと考える。言い方は悪いが「インフラを人質に取る」戦略である。
#すんで23区3500万 は、築古マンションを選ぶことになりがちなので、「緊急輸送道路に面している」という条件を定義したい。
もちろん、緊急輸送道路に面している以上、騒音や排気ガスによる環境悪化は避けられない。詳細は【建物編】にて述べる。
(※11) 国土交通省 マンション政策の現状と課題 (https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001315032.pdf)より。
ハザードマップ
この記事を見てくれている奇特な方々は、お住みの自治体が発行しているハザードマップを見たことはあるだろうか。見たこと無い人も多いだろう。ZUNDAも自分が被害に遭うまでは見たことが無かった。
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江戸川区謹製、迫真のハザードマップ。これは荒川の氾濫のみのマップであり、他にも江戸川や中川などの氾濫マップが別に存在する。
ZUNDAは都心5区の某所に賃貸で住んでいた。新耐震とは言え築古かつ駅徒歩10分ということもあり、割安な価格で借りていた。
住み始めてから数か月後の明け方に、突然のサイレンと発動機の爆音で目が覚めて何事かと思ったら、なんとマンションの敷地が浸水しており、新車で買ったばかりの大型バイクが水に浸かろうとしているのを目視し全裸絶叫。幸いなことに浸水はそこで止まりバイクの足回りが泥だらけになっただけで済んだが、心底驚いたものである。
落ち着いた後、自治体のハザードマップを見ると、住んでいる場所の内水氾濫ハザードの色が濃い目に着色されているのを見つけてしまう。なぜこのマンションが割安なのかよ~く理解してしまった。まあそのあと10年住んだけど。だって安かったし。
#すんで23区3500万 でマンションを探すと、どうしてもハザードに問題がある場所が候補に残ってしまう。もちろん常に災害が起きているわけではないので、災害が起きた時のリスクを取るのも一つの方法である。
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だが将来、災害発生の頻度が高まったとしたらどうだろう。環境省の予測では、概ね2040年以降、日本の豪雨日数が飛躍的に増加することが予測されている。10年に1回であればあきらめもできよう。でも、それが1年に1回以上起きたらどうだろう?しかも床下浸水では済まず、2階までの浸水などのレベルだったらどうだろう?
選んだマンションのハザードに問題が無くても、その周辺、特に駅周辺のハザードに問題があれば、そこまで辿り着くのも困難である。自分が生活するエリア全体を確認されたい。
ZUNDAは10年住んだマンションで3回ほど浸水を体験したが、いつ浸水するかビクビクしながら住むのは金輪際御免だと思っとります。また親類縁者一族郎党は地震津波洪水氾濫で酷い目にあった者が多数居るので、まったく個人的意見だけどハザードは気にした方が良い。
とは言え、完全にハザードがクリアされた立地で #すんで23区3500万 というのも無理目な話なので、どこまで許容できるかのラインは作っておこう。
#すんで23区3500万 的には最大浸水0.5m未満であれば許容としている。
まとめ
繰り返しとなるが、#すんで23区3500万 は一般的なマンションの選び方とは異なり、自分が気に入った場所で探すのではなく、万人受けする条件から立地を絞り、その中から住んでも良い場所を探すことである。
長々と述べてきた条件をなるべく満たす立地は、23区でもかなり限られてしまう。特にハザードマップを気にすると、城東のほとんどが対象外になってしまう。
残った立地の中で、まずは実際に訪問し、「ここなら住んでも良い」駅を見つけることを推奨したい。
そして、予算3,500万円で買えるマンションを探す沼に入って行くのである…
建物編 - 築古マンションを吟味する に続く
おまけ
画像はBing AIが考えた「田舎から出てきて、デパートの入り口にあるライオンの像に跨る中年男性」というイメージ。
少年は大志を抱き、中年になり日本橋三越のライオン像に跨る。
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