赤いきつねと緑のたぬきとアナログ記録とデジタル保存(だんだんディープなエロネタになっていくので閲覧注意)5

初出 2021年1月6日 Facebook


水曜どうでしょうのアメリカ横断第1夜で、カリフォルニアのホテルで本当の企画が明かされる瞬間、あまり画面に映ることのない嬉野氏がカメラを構えている姿が結構バッチリと映っている。

あの番組は「家庭用デジタルビデオカメラで撮影している」というのが一つの売りであるのだが、それにしては嬉野氏が構えているカメラはそれなりにでかくてごつい。

今の方々はご存知ないかも知れないのだが、実際、初期に家庭用として発売されたビデオカメラはあのぐらいでかくてごついモノだったのだ。

ところが、もっと初期の頃の「ポータブル」カメラは前項でお話したとおり貴婦人の蝙蝠傘が付いたレイヤーさんのキャリーバッグだったので、嬉野氏が持っていたサイズでも「小さい!」「持ち運べる!」と画期的な商品だったというわけだ。

正直、8ミリフィルムのカメラはその当時のビデオカメラに比べるとびっくりするぐらい小さくて軽い。フィルムの入手も街のカメラ店に普通に置いてあって非常に容易だった。しかしそれでもでかくてごついビデオテープに移行していったのは、

「現像がいらない」

という点に尽きるのではないかと思うのだがいかがだろうか。

8ミリフィルムであっても一般的な写真であっても、それを「現像」するための設備を個人で持っている人は少なく、どこかに依頼して現像してもらうというのが普通だった。なので公序良俗に反する成果物は返却されないリスクや通報されるリスクがあったのだ。

1980年代に、その手のエロ写真をどうやって撮影してどうやって現像するのか、を解説した書籍がゴマブックスから出版されたことがある。本のタイトルもはっきり記憶しているのだが今の時代にはそぐわないタイトルなので省略させていただく。その本によると、商店街の外れあたりでもう何十年も細々とやっているようなDPE店に狙いを定め、普通の写真を頻繁に現像に出して顔なじみになり、頃合いを見計らって「『大事な』写真なのでよろしく」と願えば、その手の写真を現像したことが一度や二度はあるはずの店主は意図を察してくれる、との指南であった。

それについては私も思い当たることがある。

1990年代の中盤頃、ある小さな街の外れに住んでいたのだが、その街の小さなDPE店がその手の写真をこっそり現像していたのだ。
当時の知人がその店で現像したという無修正の写真を見せてくれたことがあり、それで判明したのであるが、なにせそういう写真を撮影する機会もなかったので自ら確かめることは残念ながらできなかった。
グーグルストリートビューで見るとまだそのDPE店はあるようなので、もしかしたらまだサービスを続けているのかもしれない。

別のところで何回も書いたことがあるのでご記憶の方もいらっしゃるかも知れないが、80年代にいわゆる投稿写真ブームというのがあり、国会で問題視されて尻窄みになってしまうまでコンビニでも年齢認証なく普通に買えるそういう雑誌があった。
そしてその手の雑誌に必ずと言っていいほど載っていたのが「セルフラボ」の広告だった。

撮影するまではいい。しかし現像のために第三者の目に触れるのは避けたい。しかもその手の写真については国会で問題視されてワイドショーでも取り上げられたりしたので迂闊に現像できない。
そういう人が利用できたのが、自分で現像と焼付を行えるセルフラボだったのだ。

いくつかの例を上げたが、この通り、映像や写真は平成になってからもなかなか自由に扱うことが難しかった。

だが、音声に関してはそれよりもずっとずっと昔から割とフリーダムに扱われてきていたのだ。

(続く)

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