赤いきつねと緑のたぬきとアナログ記録とデジタル保存(そもそもこういうおっさんのエロ話に需要があるのかという根本的な疑問)15
初出 2021年5月6日 Facebook
それは、その時点の数年前、東京の大塚駅近くでとうとう見つけられなかった裏本屋さんの記憶である。
裏本をスキャンしてアップしてあるサイトが有るというのは知っていた。Googleはまだ無く、エロサイトの情報は妖しげなその手の情報が掲載してある書籍で得るしかなかった時代だ。さいわい近隣の少々大きな書店の一角にエロコーナーがあり、そこに日本や世界のエロサイトのURLが紹介されているだけの本というのがあることを知っていて、裏本のデータが有る書籍も調べがついていたので、購入した。
Telnet接続で、当時はまだ有料で販売されていたNetscapeNavigatorを起動し、書籍に書いてあるURLを慎重に打ち込んだ。
多分1枚の画像が表示されるまでに20秒近くかかったはずなのだが、当時の私の感覚としては「こんなに簡単に画像が見られるんだ」という感じだった。
初めて見た裏本は、興奮したと同時に、妙な呆気なさも感じた。
不案内な大塚という土地で挙動不審に思われないように頑張って妖しい店舗を探したあの労力は何だったんだろう、と思えるぐらいあっさりと見られることに呆気なさを感じたんだろうと思う。
その画像をダウンロードして保存できるというのを知るのはまだまだあとのことだ。なので、裏本画像が見たくなったら毎回Telnet接続をして裏本まとめサイトを手打ちで表示させ、見たい画像が表示されたら接続をすぐに切る(当時は1分単位でのNifty-Serveの追加料金がかかった)ということをかなり長い期間繰り返していた記憶がある。
やがてダウンロードして画像を保存する事ができるようになり、月に20時間までは定額料金でインターネットに接続できるような仕組みも出始め、猿のように裏本のデータをダウンロードするようになっていった。インターネット接続ができない知人たちのためにそれらのデータをバンバンCD-Rにコピーしてじゃんじゃん配っていた。
そう。
いま、AVのデータを違法にアップロードして、それをどんどんダウンロードしているような人たちと全く同じようなことを、当時の私はごくごく当たり前のこととしてやっていたのだ。
ただ、当時は自分が著作権を持っていない写真などをネットにアップしたりそれらをダウンロードしたりすることがまだ明確に違法とはされていなかった背景は、あるには、あったのだが。
(続く)