クロクマとグリズリーそしてエゾヒグマ
北海道でヒグマ猟に取り組んでいる狩猟者の方から、次のような内容のご質問をいただきました。
・ BSJが発信する情報はアメリカクロクマが中心の情報だと思うが、狙撃ポイントなどはヒグマも同様なのか?
・ ヒグマの場合はここだけは違うといった情報はあるか?
アメリカクロクマ(Black Bear)と北海道のヒグマを直接比較した資料は見つかりませんでしたので、北米に生息するヒグマの亜種であるグリズリー(Grizzly:ハイイログマ)とクロクマを比較した資料から考えてみます。
まず、クロクマとグリズリーを比較して、体の構造の違いによる狙点の違いに言及した資料は見つけられませんでした。
このことから、どちらのクマも基本的に狙点は変わらないという理解でよいかと思います。
一方、狩猟対象獣としてのクロクマとグリズリーの違いについては、こちらのサイトがとても参考になりました
Black Bear Vs Grizzly Bear Hunting: Key Differences and Safety Tips (askhunting.com)
Chromeの翻訳機能で読んでみたところ、両者の身体的特徴や食性・行動の違いについて解説した上で、グリズリーは希少動物として保護されている上にクロクマよりも遥かに攻撃性が高いため、基本的には専門のガイドを付けての狩猟を推奨するといったアドバイスが書かれていました。
基本的に植物を餌とするクロクマに対して、グリズリーは肉食の割合が高く、このことが両者の攻撃性の違いにつながっているようです。
クロクマとグリズリーの違いについては、BSJが以前翻訳した『非致死的なクマ管理技術の手引き_日本語訳』のP19にも次のような記述があります。
『非致死的なクマ管理技術の手引き_日本語訳』の公開について|Bear Smart Japan (note.com)
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生息地の選択におけるこれらの違いは異なる行動特性の進化をもたらした。
グリズリーは逃げこむ隠れ場所がほとんどないような木のない環境で進化したため、対立的な状況に遭遇するとより攻撃的に反応する可能性がある。
一方、ブラックベアはより寛容である。ブラックベアは通常、軋轢から逃げることを選択し、機会があれば、木に登ることで危険を避けようとする。
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基本的にはクロクマは森林に棲む動物で、危機的状況では隠れ場所に逃げ込むことを選択しがちであり、一方のグリズリーは隠れ場所の少ない開けた荒野に生息する動物なので、危機的状況に対しては攻撃的に反応する傾向がある、という理解で良いかと思います。
グリズリー(ハイイログマ:Ursus arctos horribilis)は北米に生息するヒグマの亜種で、北海道のエゾヒグマ(Ursus arctos yesoensis)とは近縁であるため、我が国のクマで言えば、アメリカクロクマに似ているのがツキノワグマで、グリズリーに似ているのがエゾヒグマだと捉える考え方もあります。
しかしながら、ツキノワグマもエゾヒグマもどちらも森林に生息するクマであり、主な食物が植物であることを考えると、むしろどちらも基本的な性格はクロクマの方に近く、荒野に棲むグリズリーだけが、これらのクマと大きく異なる生態と高い攻撃性を持っていると考えても良いような気がします。
「肉食性が強く高い攻撃性を持つ北米のグリズリーと北海道のエゾヒグマは性質が大きく異なり、日本国内でのクマの捕獲については海外のクロクマ猟に関する知識を活用できる」というのが現時点でのBSJとしての認識です。