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『Field Techniques Guide for Responding to Human-Bear Conflict』(人間とクマの軋轢に対応するためのフィールドテクニックガイド)の日本語訳について
『Field Techniques Guide for Responding to Human-Bear Conflict』(人間とクマの軋轢に対応するためのフィールドテクニックガイド)について紹介します。
このガイドブックは、クマと人間の軋轢が発生した現場での対応に取り組む対応機関の職員・生物学者・警察官などを対象として、北米におけるアメリカクロクマへの対応に当たってきた著者らが長い経験の中で培った技術をまとめた技術書の2022年改訂版です。
原文のPDFファイルは、次の2つのサイトで全文ダウンロードすることができます。
Field Techniques Guide for Responding to Human-Bear Conflict
Responding to Human-Bear Conflict and Sage Capture and Handling of Black Bears: A Field Techniques Guide 2022 - International Association for Bear Research and Management
今回、このガイドブックを Bear Smart Japan が日本語訳しました。その目次は以下の通りです。
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クマ対応の現場では、多くの関係者が試行錯誤を重ねていると思いますが、それぞれの組織や個人が培ったノウハウが文書化されて共有されることはあまりないように思います。
この問題に関して、本書冒頭の著者注記の中に印象的な文章がありましたので、以下に引用します。
---<引用、ここから>--------
我々がこの現場技術マニュアルを作成した目的は、人間とクマの軋轢に対処する上で有用だと判断した方法や技術をまとめ、他の機関のスタッフが同様のアプローチを選択できるようにすることであった。生物学者や職員は、同じ課題に直面した他者が開発した潜在的な解決策を活用できるはずなのに、あまりにも頻繁に「車輪の再発明」に時間を費やさなければならない。クマの管理者としてキャリアを始めた我々は、他者の知識から多大な恩恵を受けたが、この情報は必ずしも文書化された形で見つけやすいものではなかった。
---<引用、ここまで>--------
クマ対応に関わる中で、著者らのこの言葉に共感を覚える方々も大勢いるのではないでしょうか。
技術書としての本書がカバーしている範囲は、クマ対策の基本から市民への普及啓発、麻酔銃や各種わなを使った捕獲作業、保護したクマの野生復帰、マスコミへの対応など、非常に多岐に渡ります。
本書と、Bear Smart Japan が日本語訳して公開している『非致死的なクマ管理技術の手引き_日本語訳』を合わせて読めば、クマ対応機関の現場で求められる技術の全貌がほぼ把握できるのではないでしょうか。
『非致死的な~日本語訳』についてはこちらのリンクからをご覧ください。
『非致死的なクマ管理技術の手引き_日本語訳』の公開について|Bear Smart Japan
日本語訳した『Field Techniques Guide for Responding to Human-BearConflict』(人間とクマの軋轢に対応するためのフィールドテクニックガイド)のPDFファイルを、以下に添付しました。
特に、クマと人間の軋轢解消に必要な技術に関する標準的な指針を求める現場技術者の皆さまに、このガイドブックを強くおすすめします。