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New York State Black Bear Response Manual (ニューヨーク州クロクマ対応マニュアル)の日本語訳について

今回は、『New York State Black Bear Response Manual』(ニューヨーク州クロクマ対応マニュアル)について紹介します。

ニューヨークと言えば、アメリカ合衆国最大の都市であるニューヨーク市が有名ですが、都市部から少し離れれば広大な自然が広がっており、州の森林面積は日本の国土の約2割にも匹敵します。

そのニューヨーク州では近年、アメリカクロクマ(Black Bear)の数が増加しており、クマの⽣息範囲が州全体に拡⼤した結果、人間とツキノワグマの軋轢も増加しているそうです。

このマニュアルは、ニューヨーク州におけるクマの管理を担当している環境保全局(DEC)がクマと人間の軋轢が発生した際の現場での対応方法についてまとめたもので、50ケース以上の状況に対処するための標準的な対応手順を概説しています。

原文のPDFファイルは、こちらのサイトから全文ダウンロードすることができます。
Black Bear Management and Conflict Avoidance - NYSDEC

PDFファイルに直接アクセスしたい方はこちらのリンクからどうぞ。
New York State Black Bear Response Manual (PDF)

今回、このマニュアルを Bear Smart Japan が日本語訳しました。その目次は以下の通りです。

『New York State Black Bear Response Manual』日本語訳 目次1/2
『New York State Black Bear Response Manual』日本語訳 目次2/2

日本では、近年のクマによる被害や市街地への出没などの増加を受け、クマが人の日常生活圏に侵入し、緊急性を要する場合などに、市町村の判断で銃の使用を可能とする鳥獣保護管理法の改正案を閣議決定しました。

クマ被害“特例的に市街地も猟銃の使用可”改正法案 閣議決定 | NHK | クマ被害

これにより、猟銃による捕殺を含めて、市街地に出没したクマにどう対応するかという重要な判断を市町村職員が担うようになります。

こういった判断を適切に下せる人材を市町村が確保するためには、今回紹介したような豊富なケーススタディーを含むマニュアルを使用した研修などを行い、人材の育成を進める必要があると思います。

また、このマニュアルを少し読んだだけでも、クマ対応を担う行政職員に求められる専門知識の範囲とその責任の重さは十分に感じ取れると思います。

こういった資質を、数年ごとに担当部署が変わってゼネラリストとしての資質が求められる一般の行政職員に求めることに無理はないでしょうか?

このマニュアルがきっかけとなり、「これだけの能力が求められるのだから、クマ対応にはきちんとした訓練を受けた専門職公務員が必要である」という機運が高まることに期待しています。

日本語訳した『New York State Black Bear Response Manual』のPDFファイルを、以下に添付しました。

クマと人間の軋轢解消やクマの市街地出没などに対応できる行政組織のあり方とそのために必要な人材の育成に関心のある皆さま、特に行政関係者の皆さまに、このマニュアルを強くおすすめします。

#クマ #ヒグマ #ツキノワグマ

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