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言うなればスーパーセツ人2ってとこかな
「れ、レッカどのレッカどの!! 今のなんでありますか!?」
「あ? そりゃおめー初出の技が出たんだから画面が劇画調になって技名テロップ出るだろフツー、常識で考えろよ」
「常識!? 常識なんでありますか!?」
「ごちゃごちゃうっせえぞ! オラ、ちょっとこっち向け!」
フィンの小さな両肩をぐいと掴み、正面から向き合う。
「コォォォォォォ……」
烈火の上背から湯気のようなアーク放電のようなよくわかんない気体? が立ち上り始めた。
「レ、レッカどの、どうするつもりでありますか?」
「ォォォォォォォ、あ、じっとしてろよ? ォォォォォォォォ……」
正体不明の湯気みたいな電孤みたいな気体めいたなんかは嵩を増し、大きく強くなってゆく。
そして。
「むぅん!!!!!!!!」
さっきと同じフォームで指を繰り出してきた!!
違うのは、比較にならないほどの超速だという点である!!
「ゴハーッ!!!!!?」
フィンは反応できず、えぐり込むような指圧をもろに喰らった!!
泰 斗 養 命 牙 点 穴
みぞおちから巨大な熱の塊が撃ち込まれ、体内でほどけてぎゅるぎゅる回りながら全身に行き渡ってゆく感覚。
「あがッ!! おごッ!! おごげごーッ!!!!」
白目を剥いて水揚げされた魚みたいにのた打ち回るフィン。
やがて、体の正中線に近いあたりで、何かが弾け飛ぶような感覚が連続し、そのたびに小さな体が痙攣した。
「あが……あが……」
「ん!? まちがったかな…」
顎を掴んで思案している烈火の前で、フィンは息も絶え絶えであった。
シャーリィも両手で口を押さえておろおろしている。
「うぐぐ、いったいなにが起きたでありますか……」
やがて、荒れ狂う全身の熱の奔流は徐々に落ち着きを見せ、代わりに熾火のような活力が体の芯に宿っていることに気づく。
「あ、あれ……」
身を起こし、両手を見る。
シュワンシュワンシュワンシュワン……と、両手から金色の薄い炎のようなものが立ち上っていた。
「秘孔・撃神孔を突いた。お前はもう、あのーなんかめっちゃいい感じにチャクラとか開いて血行がすごいことになったりして寿命が三十年くらい伸びた」
「はぇ!? 三十年!?」
さらっととんでもないこと言い出したぞこの人。
そのテキトーな能書きとは裏腹に、さっきまでフィンの体に染み込んでいた虚無感や倦怠感はきれいさっぱり消滅していた。
寝台から跳ね起き、屈伸運動。そのまま跳躍。天井に手が届いた。軽快に着地。かつてないほどに絶好調だ。
ただ――銀環宇宙使用による寿命の削減は、フィンの魂魄が削れることで引き起こされたものだ。いくら肉体面が好調になったからと言って、これが消えるわけではない。
――差引、プラス二十年。
「あー、言っとくけどこの技、何度もブチ込んだからっつってそのつど三十年伸びるわけじゃねーからな。んなことできたら不老不死になっちまうわ! その状態がおめーの寿命のマックスだ!」
無制限に銀環宇宙が使えるわけではないということか。
「それでも、ありがとうございます! すっごく元気になったでありますっ!」
「おう、良かったな!」
肩に手を置いて、野性的な笑顔を見せてくれた。
その顔のまま、フィンの前に手のひらを差し出す。
「じゃ、金払え」
「え゛」
「たりめーだろおめー三十年ですよ三十年。おめー年収いくらよ? その三十倍払ってもらおうか当然だよなぁ? グヘヘへヘヘ」
「しょ、小官、お金持ってないであります……」
いちおう、軍人として給料は出ていたようなのだが、ははうえが全部管理しているのだった。
「じゃアレだ、あのーなんかキラキラ光る糸みてーなモン出してたよなお前。あれ何? 鉄? 貴金属?」
「えっと、純銀でありますけど……」
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