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Barbican centre
いやに暑い。私の部屋は6畳半くらいで、ずいぶん風通しが悪い。掃除が出来ないから部屋は結構な惨状を呈している。
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バービカン・センター。
最近存在を知った。
ロンドンにある公共文化施設(兼集合住宅!)なんだけど、建物がちょっと信じがたいほどカッコいい。
ブルータリスムという様式らしいのだけれど、英語のbrutal、「粗野な・野蛮な」という言葉から派生したようだ。
いくつかネット記事を見てるとこの「ブルータリズム」という名前、英語のbrutal由来としてるものと、仏語のBéton brut=(ブルータリズムが素材として多用する)生のコンクリート、から由来しているとする説とだいたい2通りある。どちらが正しいの...?
50〜70年代に流行ったようでむき出しのコンクリートの質量感、幾何学的で直線的なデザイン、水平線と垂直線で構成された空間の中に時折紛れ込む傾いた線......などが特徴だ。
分類的には「形態は機能に従う」というスローガンのもと推し進められたモダニズムの一派に属するとか。
50年代からブルータリスムが台頭した理由としては、戦後甚大な破壊を被った各都市を再興するために、低コストで施工期間が短くて済む建築法のニーズが高かったから、ということらしい。
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いやもう破壊的に美しい。
自分がずっと心のどこかで「帰らなければ」と強迫的に取り憑かれていた風景が突如目の前に現れた、それくらいの衝撃。
(私は建築分からないけど)モダニズムが機能主義だとするなら基本的にそれは私のゴシック的美意識と真っ向から対立するものなのだが、なんでこの建築はここまで私の心をガッチリ掴んでしまったのか。
ほかのブルータリスム建築の写真なんか見ててもやっぱりなんか惹かれてしまうんだよな。
コルビジェのサヴォア邸なんか見ても何も感動しない私が。
黒ずんだコンクリートの要塞のような建物。
直線的でありながらところどころで逸脱を見せる線状のノイズ。
モダニズムの建築が真白いコンクリートで平明な合理主義的精神を象徴しているように見えるなら、ブルータリスムの薄汚い灰色のコンクリートはどことなくディストピア的な雰囲気を醸し出す。
ああ......好きすぎるよ......バービカンセンター......
あまりにもタイプ過ぎて語彙が死んでしまう。
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私は建築の設計面的なことはまったくもって関心がないんだけど、建築様式の精神史的なところはちょっと興味がある。
あるけれど一体だれの本を手に取れば良いのか皆目わからないな......あっても高価いだろうな......
ゴシックは萌えるけどバロックは萌えないとか、和モダンが嫌いだとか、うっすら自分の中で建物の好き嫌いはあるのだけれど、その基準が何に拠るのか今ひとつ分からないでいる。そこのところの自分の美意識の解像度を上げたいと思う。
(ひとつ言えそうなのは私は開放的な明るい空間にはあまり惹かれなくて石の重たさと薄暗さのある空間が好きだということ......なぜだろう?)
あとシンプルに建築って必ず日常生活について回るから、建築に詳しくなれたらこのクソつまらん世界ももう少しマシな様相になるかも知れない......
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バービカンセンターを観るためだけにロンドンに行きたいなどと考えてしまう。ついでにロンドンナショナルギャラリーとテートギャラリーにも行けるし、ネオゴシックの建築もいくつか観れるだろう。
あとはフィッシュ&チップス食べて英国式ブレックファーストとアフタヌーンティーをTwitterにあげればよいのでしょうか。
女1人(いかにも気の弱そうなアジアン)の海外旅行って実際のところどうなのかしら。
ジプシーに絡まれたら撃退できる自信がないんだけど。