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【ショートショート】「サハラ砂漠のリボン 」
行けども行けども果てしないサハラ砂漠の遥か彼方。
旅人は砂の海に溺れそうになる。
そんな中歩き続けていると、ふと足が軽くなる。
感触が変わるのである 。
その砂はふわふわなのだ。
旅人はその砂をすくってみる。
すると砂の一粒一粒がリボンの形をしている。
それは沖縄の星の砂のように全てがリボンの形をしている。
リボンというのは とても細かい粒子でできている。
そしてその砂は白く見えていたが、実際手元にすくってみると透明なのである。
その透明な砂が重なると白い砂のように見えているのだ。
旅人は持っていた絵の具を流し込む。
砂漠の砂に絵の具を流してもそれはただ吸収されて消えてしまう。
けれどもサハラ砂漠のリボンの砂に絵の具を流し込むと、その透明な小さな粒子のリボンたちは絵の具を吸収し色とりどりに染まるのである。
サハラ砂漠のふわふわなリボン地帯については旅人から旅人へと言い伝えられてきた。
だがそこにたどり着いたものはわずかしかいない。
そしてそこから戻ってくるものは更に少ないのである。
いつからかそのサハラ砂漠のリボン地帯は伝説となっていた。
そして私はここにたどり着いた。
本当にサハラ砂漠のリボン地帯かどうか伝説の通り絵の具を流してみる。
私の足元から地面いっぱいにリボンの砂に色がついた。
なんと美しい光景なんだろう。
私は他の色も流してみた。
さらに美しい景色が広がる 。
私はこのサハラ砂漠でこんなに美しい景色を見ることができるだなんて考えもしなかった。
この景色を一目みたいとどれほど願ったことか。
私は湧き上がる達成感に包まれ、その色とりどりでふわふわのリボンの砂の上に寝そべって目を閉じた。
とても幸せだった。
(おわり)
仲間とショートショート作家の会を結成しました😎
これから毎週投稿します✨
記念すべき第三弾です🎊
お読み下さりありがとうございました♥️