#5 不思議な夢のお告げ
その日を境に私達の関係は変わった。心がもっとそばにある気がした。そんな最中、彼はハンガリーに行ってしまった。これから3ヶ月間、私は一人で何をしようかと考えていた。
私の仕事は相変わらず超忙しかったが、まだ貧乏の最中。そんな時、事件が起こった。車がアパートの駐車場から盗まれてしまったのだ。そんなことがあり得るのか。さすがアメリカならではだ。翌々日車は見つかったものの、事故をした挙句タイヤがパンクし、ボディーも傷つけられ、路上に乗り捨ててあった。私はその修理費とH1ビザ(アメリカでの専門職ビザ)の申請の為の弁護士代で、お金が必要になっていた。その車の修理代と弁護士代で約$4000が必要だった。
あるメールを彼に送った。「車を盗まれて、事故車になって戻ってきた。それを修理するのに、どうしてもお金が必要だから、$2000貸してくれない?」という内容だった。こんな大胆なメールは関係を持った人意外には書けない。すると、なんと次の日にリクエストより上乗せされた$3000のチェックがCITI BANKから送られてきた。
そこには「For my frind」と書かれていた。私はその時の心強さは忘れられない。それと同時に彼に対する信頼が一層増し、家族のような暖かさと友情を感じた。同時に彼女のところに居る彼に強い嫉妬心も抱いていた。私と関係を持って、ノウノウと彼女と暮らしている彼がとても憎らしかった。
彼からは3日に1回くらいのペースでメールをもらったが、そんな私の感情の起伏で私は3週間以上も全てのメールを無視した。彼のメールは長く退屈で、ほとんど“私が知らなくても良い”つまらない情報ばかり。その彼の日記には、彼が彼女からとても良いバースデーを祝ってもらった事も書いてあった。私がどれだけやきもちをやくかわかって書いているのか、悪気なく書いているのか不思議だった。
メールを無視し続けたある日のこと。突然、そんな私の感情を露にしたメールを送った。彼はビックリしてたちまちメールを返してきたが、中身は, (私が)そんなに彼の事を思っていて、君を傷つけてしまって「sorry」と何度も書いてあった。彼も真剣に私と向き合う姿勢であるという気がした。でもここまで私のメールをマジメに捉え、落ち込んでいる彼の性格は、正直、マジメ、暗いの3拍子が揃っていた。でも、どこか謎めいて、“セクシーなおじさん風”に私には映っていた。これから、この人をどうやって私のものにするか考えていた。
そんな時、私はとても不思議な夢を見た。この夢はまるで“神のお告げ”のように私に信じ込ませるパワーを持った。しかもクリアに目が覚めてもそのシーンがビビットに記憶されているのだ。
その夢とはーー私は彼といっしょにツーシートのスポーツカーに乗っている。彼は得意のドライビングでどんどん飛ばす。でもそれは真っ暗な闇の中で坂道はほとんど直角。その直角の真っ暗な道を彼はどんどん走っていく。「恐い、停めて!停めて!」と私は叫ぶが、彼は自身たっぷりに突き進む。そしてその直角にあがって行った車がブラックホールから抜け出すようにスポーンと宇宙に抜けた。
そしてそこにはミルキーウェイが広がり、私の体は無重量の中、中にフアフア浮きステキが銀河を見ている。私はずっとその夢が神のお告げだと思っていた。「今は無き将来もいつかこのように彼が私をリードしフリーダムを手に入れるだろうか」と密かに思った。