#8 突然の愛の告白
一向に解決の出口が見えない中、私達は久しぶりのデートの約束をした。
闇の中にいる彼を連れ出そうとサンタクルーズに出かける企画を立てた。私が好きな海と遊園地がある場所で思い切り海風に吹かれ、ジェットコースターに乗れば気分も変わりそうだと思った。
サンマテオの家(その時はバークレーからサンマテオに引っ越しをしていた)に私を迎えに来た彼は、まだ悩みの底で昨日もほぼ眠れなかったらしい。でも私はこの日のデートに掛けていた。一日中彼とランチからディナーまで一緒に過ごすのは初めてかもしれない。それでも彼を闇の中から引っ張り出せなかったら、私の力不足に違いない。その時は諦めようと思っていた。
今日は時間がたっぷりある。久しぶりに彼と全く雰囲気の違う遊園地で遊んだり、食事をいっしょにし、フルデートを楽しんだ。彼女の話は一切持ち出さないように気をつけた。そして時間が経つほど、少しずつ彼の笑顔を見ることが出来た。その夜、サンマテオの家のルームメイト(女性)といっしょにお家で食事をした。家庭的な雰囲気で、全く当事者ではない人も挟む事で、新しい風を彼の生活の中に入れてあげたかった。
その後、私の部屋のベッドで彼が真剣に話を始めた。「君に言わなければいけないことがある。。。」私はとっさに、「別れ話なら聞きたくないから、何も言わずにこのまま帰って。もう傷つくのはたくさんだから。。。」と言って壁側を向いた。この瞬間「彼の決断を聞ける」でもきっと別れると言うんだと思い、今にも出てきそうな涙を必死で堪えて、覚悟を決めた。絶対に振り返って涙を見せないと自分に誓った。
彼は話を続ける。「ハンガリーにもう一度行こうと思う。今度は彼女と別れる為に。ちゃんと荷物も取りに行って精算したい」と言った。私はびっくりして振り返った。考えもしなかった彼の答だった。「え、、、??」あまりにも突然で言葉がでなかった。
しばらく沈黙が続いた後、私は「Do you love me?」と彼に聞いた。彼は、「。。。yes, I love you」と言った。この時初めて私たちは、「love 」という言葉を使い、愛を打ち明けた。
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