【32話】ついに不倫に突入. ハートが止まらない
私は毎日顔を合わせていたテキサスボーイのC氏を少しづつ意識し始めていた。そして彼からも同じ気持ちを感じとっていた。2人が恋に落ちるのにあまり時間は要さなかった。ある週末、ディナーの後、雰囲気の良い音楽が流れ、私は彼の手をとってチークダンスに誘ってみた。
いままでダンスもした経験がなさそうな足取りで、顔ではなく足ばかりを見ていた。それが可愛かったりもした。私が引き寄せると私の背中にそっと触れた彼の手からビンビンに恋心が伝わってきた。私たちは何も言葉を交わさずこのダンスで互いの愛情を確かめ合った。そして帰り際、「明日の朝、サンフランシスコの美味しいコーヒーを淹れるけど私の部屋に来ない」? と言った。
田舎育ちの彼にとって、コーヒーが美味しいと都会で流行っている「シングルオリジン」とかどうでも良かった。この人たちはお湯のような薄いコーヒーをがぶ飲みするのが習慣のようなのだ。
それでも彼は「美味しいコーヒー」に興味あるフリをして次の朝、私の部屋に来た。(私たちは同じホテルに宿泊していた) 最初はコーヒーと簡単な朝ごはんを提供して、キッチンで普通の話をしていた。そのうち距離が近くなる。ついに2人ははお互いの感情を抑えられなくなってしまっていた事に私も気づいていた。
2杯目のコーヒーを入れていた時、後ろから不意に抱きしめられた。そして振り返った瞬間キスをされた。そのまま、私たちは熱い抱擁を交わしながらベットに移動した。体がアツく燃えている。全てが自然な成り行きだった。
罪の意識を感じなかった。長い間凍結していた自分の中の「女」が爆発したようだった。「そうだ。私はこんな行為を、男に求められる事をずっと抑えていたんだ。でも、何故? 結婚相手との性行為が無いという理由なら、他の男と性行為する事は悪いとは思えなかった。その日から私は夫にしばらく秘密を持つことになる。
彼は職場の上司。しかも都合の良い事に同じホテルに長期滞在している。顔を合わすたびにドキドキしたり、ムズムズしたり、忘れていた恋心が再び蘇った。
私はラッキーにも勤務期間を何度か延長され、結局この小さなネバダの町に3か月滞在した。2週間毎に自宅に戻り、またリフレッシュして勤務に出かけた。仕事に戻るというより、愛人に会うために出かけるように、いつもワクワクしていた。
でも夏の前には勤務はとうとう終わり、自宅に戻った。私にはまとまった収入が入り、2年半ぶりに自分の好きなものを自分のお金で買った。初めて経済的に自由になれた気がした。彼に従っていたのはお金のためだったのか。浮気をしたせいもある。でもその前からすでに彼に対して愛情は残っていなかった。「私はこの家を出なければならない」と考え始めた。
相変わらず、昼間は自分のオフィスに出かけた。そして未だに夕食を一緒にしない結婚カップルだった。全てが壊れてきた。こんな生活は続けられない。
浮気相手の彼が恋しくてたまらなかった。夜になると毎日私のオフィスに電話をかけてきてくれる。私達は毎日2時間くらい電話口で何の話題というわけもなくただ愛を語り合っていた。ここは私のオフィスなので、話内容がバレるわけではない。ただ、電話口で彼の声を聞くだけ。でもなぜかそれがセックスをしてるような感覚でもあったし、心地よかった。
そうしているうちに2人ともどうしてもリアルに会いたくなり、ある日彼はネバダ州の現場から8時間もかけて私に会いにきてくれた。私は初めて夫に、いや初めてではなかったかもしれないが、罪深い嘘をついた。「友達と一泊旅行に行ってくる」。もちろんそれは彼との旅行だった。
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