商標権侵害はなぜ軽く扱われるのか?
ブランドバッグや有名アパレル商品の商標権侵害はもはやそこらじゅうで行われていると言っても過言ではない。
では、そもそもなぜそんなに商標権侵害行為が行われるのか?そして、軽く扱われがちなのか?
今回は、商標権侵害の悲しき実態を考察してみます。
1、侵害した結果が目の前に現れてない
商標権の侵害は率直に言うとそこらじゅうで行われてしまっている。
ではなぜか?
一つ目は、「侵害結果が目の前に現れない」ということかと思います。
<刑法犯の侵害行為>
お金を盗む→お金が減ってる。残高が減ってる。
物が壊れる→壊れた物がある。うまく動かなくなっている。
危害を加えられる→痛い。怪我をした
など、いずれにしても、目に映る変化があり分かりやすい。
侵害の前後で、物の増減や変形などがイメージしやすい。
一方、
商標権侵害→ブランド価値が毀損されているという変化がない。
一言でいうと、分かりにくい
「あー、今ブランド価値ポイントが85から82になった〜。しょぼん」とは基本的にならない。
そのため、容易に侵害行為が行われてしまうのではという考察1
2、簡単にできてしまう
それらしい「モノ」を作り
他社に似せた「ロゴ」を作り、
それを「タグ」として商品に貼り付ける。
あら不思議、侵害行為のできあがり。
(決して、侵害を推奨しているわけではありません!)
商標権の侵害行為は比較的容易にできてしまう。
これがディズニーのサービス提供を真似しようと思えば、一朝一夕ではできるはずもない。
でも、ブランドバッグの模倣は容易にできてしまうからではという考察2
3、私が経験した事例
そもそも、侵害の意識が薄い。
我々は普通の生活を送る中で、人の物を取ってはダメと言われ、人に危害を加えるなと教えられ、商品を買うときはお金を払うことを教えられた。
しかし、他人の商標を勝手に使用しないように、登録商標かどうか調べてから使いなさいなどと教えられてはこなかった。
要は、一般的に侵害であるとの意識が薄いという問題もある。
私が経験した事例では、他人の行為が商標権侵害であることを指摘した際
「それは法律違反か分からないから改善しない」と言われたことがある。
これは、弁理士にとってみると、驚きというより「えっ?」という感じ。
法律よりも自分の感覚優先と言った状況でこんなにも軽んじられているのかとある意味不思議に感じた事例でもある。