なぜ気候変動対応が必要か?今の地球で起きていることと、未来の地球のためにメーカーとしてやるべきこと
稲垣大輔です。
このNoteは「小さな一歩から始める、未来の地球へのアクション。」をテーマに、未来へ一歩踏み出したくなるような情報を発信しています。
今回は株式会社Be(以下「Be」)が掲げるサステナブルな取り組みを行う理由の一つであり、アプローチしたい社会問題の一つである、気候変動対応についてまとめます。
この記事では、まずはじめに気候変動の問題点をおさらいします。
そのあとでBeも取り組んでいる「オーガニック」「サステナブルな容器」がなぜ気候変動対応として効果的なのか?をまとめてみます。
◆なぜ気候変動について書くか(まえがき)
Beは「国内輸送により、温室効果ガス(CO2)排出削減へつなげる」ために、国産のオーガニックにこだわっています。
参考:https://be-beauty.jp/japan_organic/
また、Beはパッケージにもサステナブルな要素として、こうしたエコ素材のパッケージを用いています。
・Be スキンケア、ヘア&ボディケアシリーズ全7品→メカニカルリサイクルPET
・インナーケアの一部商品→バイオマスプラスチック
・オーガニックバーム→アルミ缶、ベジタブルインキ&FSC認証の紙
参考:https://be-beauty.jp/package/
これらに取り組む理由の一つとして、気候変動問題への対応が必要だと考えているからです。
株式会社Beの社長を務める私ですが、気候変動問題への対応を考慮しはじめた当初は、恥ずかしながらこんなことを思っていました。
1)そもそも気候変動の問題点を具体的には知らない(なんとなくは知っている)
2)オーガニックやサステナブルな容器はなんとなく良いのはわかる。しかし、具体的にはどういう理由で気候変動に効果的なのか?
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」などと言いますが、いろいろな方に教えていただき、上記について理解できたので、Beでも気候変動対応を進めようと決めたのでした。
今回は、教えていただいたことや、自分で情報を集めたものを中心に、上記1)2)についてまとめてみようと思います。
また、私は株式会社Beを創業したことで実体験をもとにサステナブルな観点を培い、環境問題についてより深く学び始めた立場です。
問題点を簡潔にまとめるように心がけますが、専門家の方からすれば間違った書き方に見えてしまうかもしれません。その際はぜひコメントでご指導いただけますと幸いです。
◆気候変動問題とはなにか?
地球の大気に含まれる二酸化炭素などの温室効果ガスは、地表の気温を生物が生きることができるレベルに保つために役立っています。(木星や土星は温室効果ガスがないため、寒暖差が極端になっていますね)
しかし、人間の日々の活動によって、温室効果ガスがここ百数十年の間に急速に増えたため、地球の平均気温が上昇し、気候の変動が生じ始めています。
日本でもいつもより冬が暖かい、夏は猛暑日が続く、などといった変化が起きているのが現実です。
これらの現象を総称して気候変動といい、この気候変動問題は、私達自身の様々な活動が原因であり、そして私たち自身の暮らしの全てが影響を受けるものです。
◆なぜ気候変動対応が必要なのか?気温が上がるとどうなるか?
温室効果ガスが大気中に必要以上に蓄積し、地球の温暖化が進み気候が変動することで、具体的にどのようなことが起きているか3つ挙げます。
◇気温が上昇する
当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、気候変動により平均気温だけでなく最高気温および最低気温が上昇しています。よって毎年雪が降っていた地域に雪が降らなくなったり、雪の降り方が変わったりすることがあります。
◇雨の降り方が変わる
雨の降るタイミングと量が変わることにより集中豪雨や長雨、渇水などの現象が起こっています。それにより、台風の発生時期や発生場所にも影響を及ぼします。
◇海水面が上昇する
海水があたたまることで氷河や氷床が融解するだけでなく、海水自身の熱膨張により海水面が上昇し、土地の水没や高潮の被害拡大に繋がります。
これらが起きることで身近なところでも大きな影響があります。
例として下記2つが挙げられます。
◇自然に与える影響
気温や降水パターンが変わることで、そこに生息している動植物が住めなくなる恐れがあります。
特に高山の動植物は生息に適した環境が限られている上に放れた場所にあるため、新たな場所で生育できたり、住みやすい場所を探して移動することが出来ません。
集中豪雨が増えている一方で年間の降水日数は逆に減少しています。
雨量や積雪量の減少により渇水が増える懸念があります。
また河川や湖沼の水温上昇により水中の栄養分が増えすぎてしまい、アオコなどが異常増殖すると、水中の溶存酸素が不足し、魚類や藻類が死滅して水環境が悪化してしまいます。 さらに、水道水などとして利用している場合、浄化が大変なだけでなく、異臭味などの問題も起きます。
◇農業に与える影響
気温上昇による品質低下や病害虫の増加、果物の生産量が落ちたり家畜が病気にかかりやすくなったりします。
渇水や豪雨は地域の農業に深刻な影響を及ぼします。
◆オーガニック農地が広がることと気候変動の関係は?
先に書いた通り、昨今、豪雨、猛暑、寒波といった異常気象が頻発し、自然災害による深刻な被害が世界中で相次いで起きています。
国連食糧農業機関(FAO)という食料の安全保障や農業開発を進める機関があるのですが、FAOは地球温暖化の緩和と適応に貢献するのはオーガニックであると言及しました。
ここからは、なぜオーガニックが温暖化を始めとする気候変動問題を解決するのかについて書きたいと思います。
まずは、近代農業が地球温暖化などの気候変動を加速させている理由について書きます
気候変動分野で最大の権威と言われる国連機関「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によると、食糧生産に伴って排出される温室効果ガスの量は、温室効果ガス排出量全体の29%にもなるとのことです。
また、有機農産物に関する啓発活動や情報を提供している「国際有機農業運動連盟(IFOAM)」によると、食料生産に伴って排出される温室効果ガスの多くが、集約的な慣行農業(※)によるものだとのことです。
※慣行農業:化学農薬や化学肥料を使うが、農薬漬け、肥料漬けという意味ではなく、法律で認められた農薬、肥料を基準の範囲内で使う一般的な栽培方法
・慣行農業により温室効果ガス排出量がアップする理由
1、森林などの植物や土壌に貯蔵されていた炭素を大気へ放出する
コロンビア大学地球研究所によると、農地開発のための森林伐採や化学物質の過剰使用など、環境に配慮しない生産手段をとる近代農業によって、炭素の最大70%が大気中へ放出されたと考えられています。
2、生産過程でに使用するエネルギー使用量と炭素排出量が多い
有機農業の研究で世界的に有名な米ロデール研究所によると、有機農業に比べて慣行農業のほうがエネルギー使用量と炭素排出量が多くなるとのことです。
<慣行農業が気候変動を加速させる理由や仕組みの例>
・化学窒素肥料の使用により一酸化二窒素(N2O)1 を大気に放出する
・化学物質の大量使用や大規模な単作2 により、土壌が劣化する
・農地開発のために二酸化炭素を固定する森林を伐採する
・製造時に多大なエネルギーや化石燃料を必要とする合成農薬や化学肥料を使う
・機械化により化石燃料を大量に消費する
・集約的畜産業によりメタン(CH4)*3 を大量に排出する
*1 一酸化二窒素(N2O):温室効果ガスの一種、二酸化炭素(CO2)の約300倍の温室効果がある
*2 単作:一つの土地に一種類の作物だけを栽培すること。
*3 メタン(CH4):温室効果ガスの一種、二酸化炭素(CO2)の約25倍の温室効果がある
次にオーガニックが地球温暖化緩和に貢献する理由について書きます。
1、大気中にある炭素をより多く土壌に固定することができる
有機農業研究所(FiBL)が有機農業と慣行農業を比較した結果、有機農業が営まれている田畑ではより多くの炭素が土中に貯蔵されることがわかりました。
これはスイス国立農業研究機関アグロスコープが実施した分析でも同様の結論が導き出されています。
この理由として、有機農業では合成肥料の代わりに、緑肥、堆肥、有機質肥料などが活用されます。
これらの一部は微生物分解を受けにくい土壌有機炭素となり、土中に炭素が貯留された状態となるためです。
2、温室効果ガス排出量削減が期待できる
前述済みですが、ロデール研究所が行った比較調査にて、有機農業することでエネルギー使用量および炭素排出量の削減に繋がることがわかっています。
<有機農業が地球温暖化の緩和に貢献する理由や仕組みの例>
・化学肥料の代わりに、マメ科植物などの緑肥、堆肥や有機質肥料が活用される。
緑肥や肥料の一部が微生物分解を受けにくい土壌有機炭素となり、土壌中に炭素が貯留された状態となる
・炭素を土壌に固定する森林を活用したアグロフォレストリー(森林農業)などが積極的に採用される
・緑肥などを活用して不耕起・省耕起が採用される場合、土壌中の有機物の分解を遅くすることができ、土中の炭素を増やすことができる
・製造時に多大なエネルギーや化石燃料を必要とする合成農薬や化学肥料を使わない
・化学窒素肥料が使用されないため、土壌から放出される一酸化二窒素(N2O)の発生を削減できる
・肥料・堆肥や家畜の餌などの投入物を農場内で作る場合、輸送距離が縮まるため輸送にかかるエネルギーを大幅に削減することができる
2015年の「パリ協定」において「世界平均気温の上昇を産業化以前と比較して1.5℃未満に抑える」という目標が国際社会で合意されました。
一方でIPCCは、早ければ2030年にも気温上昇が1.5℃に達する可能性があると指摘しています。
そうなれば、生態系の劇的損失が生じ、地球上のサンゴの9割が死滅、異常気象の悪化、海面上昇による居住地の水没、感染症発生のさらなる増加など、人命を脅かす事態が世界中で頻発すると考えられています。
IPCCによれば、地球温暖化の要因は95%の確率で人為的なもの。
裏を返せば、私たち人類の行動様式や社会の仕組みを変えることができたら、今後の温暖化の進行を食い止めることも可能だということです。
つまり、有機農業は、人、動物、植物、土などの健康を維持する過程で、炭素蓄積や自然災害に耐え得る力といった土や生命にもともと備わっている能力を高めます。
オーガニックを広めることで地球や次世代を守ることができると私は確信しています。
◆リサイクル容器、バイオマスプラスチック容器との関係は?
私たちはメーカーとして商品を提供していますが、内容物だけでなく容器を含めて商品です。
地球の未来を考えた時に、先に述べたオーガニックの普及はもちろんですが、容器の面でも地球に配慮することが大切だと考えています。
特に気候変動対応という点で考えると、容器の廃棄後焼却時に排出する温室効果ガスの問題があります。
◇飲料用のプラスチックボトルを100%リサイクルした再生PET容器
弊社のスキンケアライン、ヘア&ボディケアラインの商品には、飲料用のプラスチックボトルを100%リサイクルすることで生まれる再生PET樹脂を使った再生PET容器「メカニカルリサイクルPET」を採用しています。
本来容器をゼロから作ると石油由来の原料を使う必要がありますが、すでに製造されている飲料用のプラスチックボトルを100%リサイクルすることで生まれる再生PET樹脂を使うことにより、新たに石油由来の原料を使う必要がありません。
これにより、総合的に見て石油由来の原料を使った容器を廃棄する際に出る温室効果ガスの排出量を減らすことが出来ます。
◇サトウキビ由来のポリエチレンを使用したバイオマスプラスチック容器
弊社の粒タイプのインナーケア商品の容器原料には、サトウキビを絞った糖蜜から製造したポリエチレンを使用しています。これにより、植物由来の原料を利用したカーボンニュートラル(※)により二酸化炭素の排出量を削減します。
なお、サトウキビ由来のポリエチレンは石油由来のポリエチレンと比較して約70%の温室効果ガス削減効果があると言われています。
※カーボンニュートラル
植物由来の原料から作られた樹脂は焼却時にCO2を発生するが、このCO2は元々植物が成長過程で大気中から吸収したもののため、CO2を新たに排出し増加せず、環境中の炭素循環量が中立になること。
◆理想の将来は?そのために株式会社Beがやるべきこと
長文になりましたが、自分自身の頭を整理するため、改めて今地球で起きていることを理解するため、地球の未来のために自分がやるべきことを整理するために書かせていただきました。
私は近い将来サステナブルやオーガニックが当たり前の時代が来ると信じています。そうなることによって、環境に配慮した商品、原料、農作物が当たり前になり、需要が増え、全ての方々へお買い求めいただきやすい価格で必要な商品を提供できるようになります。
未来の地球は、わたしたちの日々の消費活動という投票を通じて作られていきます。
Beはその投票の一つとして選ばれるよう、そして何より投票するために指標となる情報を発信していきます。
後日、こうしたことについてもnoteを書ければと思っています。
・なぜBeは気候変動に危機感を覚えて動いているか(Beのビジョン達成のために気候変動対応に取り組む理由)
・Beの気候変動に対する方針
・具体的に今何をしてるか
最初にも書きましたが、未熟な現時点での私の知識・考え方で書かせていただきました。
間違い等もあると思いますので、是非コメントいただければ幸いです。
参考文献:
株式会社グリーン・パシフィック,2019,気候変動対応ハンドブック
https://www.env.go.jp/policy/参考資料3-2生命保険協会_気候変動ハンドブック.pdf
レムケなつこ,2020,地球温暖化を解決するために「オーガニック」ができること
https://iob.bio/journal/prevent-globalwarming-organic/
e-bottle
http://www.asahigodo.co.jp/bottle.html
ツバキスタイルが取り組む「環境対策」と「SDGs」
https://tsubakistyle.co.jp/sustainability
■公式プロフィール
稲垣大輔(いながき・だいすけ)
株式会社Be 代表取締役
北海道出身
2002年、北海道大学工学部を卒業し、国内大手自動車会社に就職。
ブレーキ部品の設計および最先端エンジンの研究に携わる。
2012年にイベント会社を創業。
2017年に株式会社Beを創業し、現在に至る。
■関連メディア
◆アクティブオーガニックブランド「Be」公式HP
https://be-beauty.jp/
◆「Be」オンラインストア
https://be-store.jp/
◆「Be」公式インスタグラム
https://www.instagram.com/be_activeorganic/?hl=ja
◆「Be」公式Youtube
https://www.youtube.com/channel/UCtEhEgJPGJQ9IX4y5vbmESw
◆「Be」公式Note
https://note.com/beofficial
◆「Be Organic(ビーオーガニック)丸の内本店」
https://be-beauty.jp/be_organic/
◆株式会社Be社長 稲垣大輔のブログ
https://ameblo.jp/not-biz-but-love