「路線バス」崩壊は、人の命にかかわる問題
以下は、路線バスの運転手不足が深刻化し、日本各地で陸の孤島化が進行中という内容の記事です。原因はもちろん少子高齢化。
この問題は、郊外に住んでいる移動困難な人たちだけの問題と捉えられがちですが、実は私たちの日常生活の安全に大きな影響を与える問題なのです。今日はこの問題について、少し深掘りしてみたいと思います。
路線バス廃線の影響
まず、路線バスが廃線になると、どんな問題が起きるのでしょうか?
郊外に住む人の移動手段が失われる
特に高齢者や運転できない人に大きな影響がある
住みやすさが低下し、移住可能な世帯から出ていってしまう
結果として郊外の空洞化が進む
こうした問題は、あくまで郊外の問題、それも高齢者を中心とした「交通弱者の問題」とされています。
しかし、問題は当事者だけにとどまりません。
路線バスがなくなると、運転能力が低下した人でも必要に迫られて車を運転せざるを得なくなります。
そうすると、何が起こるでしょうか?
そう、交通事故のリスクが高まるのです。郊外の空洞化とは無関係な歩行者や他のドライバーの安全も脅かされることになります。
実際、私の住む街でも高齢運転者標識(いわゆる「四つ葉マーク」)の車をよく見かけます。先日も、四つ葉マーク同士の車が駐車場でバックしていて、危うくぶつかりそうになったのを目撃しました。
当然、公道でも危険な運転による事故が発生しやすくなります。
自動運転を待っていられない?
この問題は、どうすれば解決できるのでしょうか?
先ほどの記事では「自動運転の実現を待っていられない」という論調で書かれています。これは確かにそうかもしれません。いつ実現するかもわからない自動運転技術、しかも最初のうちは当然高額な費用がかかります。
しかし、自動運転は必ずやってくる未来です。なので、今の時点から、自動運転フレンドリーな街づくりを準備しておく必要があるのではないでしょうか。技術が登場したときにすぐに使えるようにしておかないと、それこそ間に合わなくなってしまいます。
例えば、初期段階のレベルの自動運転でも対応可能な条件の良い道路(道幅が広い、道路事情が複雑でない)にバスを多めに運行し、拠点となるバス停をハブに、その先は人間の運転手で対応し、人間が運転する距離と時間を短縮することで、路線バスのカバー範囲を広げるといったアイデアです。
どのポイントがハブになるのか、条件の良い道路に自動運転フレンドリーなバス停をあらかじめ作っておけるのか、など事前に検討しておくことは山ほどあります。
ワークシェアによる自由な働き手の活用
もう一つの解決策として、ワークシェアの普及も考えられます。
Uberのようなライドシェアサービスの拡充はもちろん、コミュニティバスや路線バスでも、働きたい人が働きたい時だけ自由に働けるようなマッチングサービスができないでしょうか?
タイミー(短時間で働けるアルバイトを探している人と、短期間の人手を求めている企業をマッチングするプラットフォーム)のようなサービスをバス運転手にも適用できれば面白いと思います。
また、完全自動運転を待たなくても、運転アシスト技術の拡充でバス運転手のワークシェアもより容易になるのではないでしょうか。
フルタイムで運転手にはなりたくないが、暇な週末だけコミュニティバスを運転して小遣いを稼ぎたい、という人もいるはずです。
人手不足の時代においては、企業や組織は正社員として労働者を囲い込みたくなるものです。しかし、逆転の発想で、これまでにない柔軟な働き方を認めることで、新しい労働共有の可能性が開けるのではないかと思っています。
路線バスを含む公共交通機関の再建は、多くの人の命に関わる重要な問題です。これを解決するためにも、自動車の技術向上と、自由な働き方を許すルールの見直しが必要だと思っています。