概念JKの「山月記」

 なんかぁ、ウチの地元の隴西ってトコに李徴って先輩いたんだけどさー。そいつもうめっちゃ賢くてぇ、超いろんなこと知っててぇ、いっつも全国模試で名前載ってたんだよね~。そんでさ、超いいとこ行ったんだけど、めっちゃ真面目くん~ってカンジでぇ。周りの人がちょっとテキトーにしてるの許せないタイプだったんよねー。先生が課題回収すんの忘れてるときにさ、皆黙ってよ?みたいな雰囲気全然無視して「先生課題集めんの忘れてます。」っつっちゃうタイプ。
 
 それでなんか結局辞めちゃって、こっからすごいんだけど、山籠もりすんの。ありえんくね?でも山籠もりしてたら人に会わないじゃん。そやってあんまり人に会わないようにして詩書いてたんだってー。なんかね、テキトーな人のとこで働くよりすっごい詩書いて死んでも名前覚えてもらえる方がよっぽどマシじゃね?ってなったっぽいんだよねー。

 んけどさ、なんか微妙くね?ってなってったんだって。特にガッコも仕事もやめちゃったもんだから、李徴生活マジやばになってったんだって。李徴も結構焦っちゃってさぁ、なんか顔つきからヤバくなってったわけよ。激ヤセしちゃったけどー、眼だけめっちゃギラついてやばいみたいな。ガッコ行ってた頃は全ッ然そんなことなくて結構カワイイ系っていうか?イエベ春だったし?

 でさ、そんな調子で生活もマジやばだし、奥さんも子供もいるしってんでしゃーなしもっかいガッコで勉強してたとこに就職しなおしたっぽい。芸術で食ってくのって、難しーよねー。だからバンドマンと付き合ったらダメなんだよ。あ、そんで李徴も芸術で、ってか詩食ってくの無理っぽいな~ってなって就職しなおしたんだけど、ブランクのせいで前おんなじくらいだった人も出世してるわけ。てかなんなら李徴よりちょい下くらいの人のいうこともいうこと聞かなきゃいけないみたいな感じになったわけ。李徴としてはマジ悔しいわけよ。プライドとか傷ついちゃったわけ。まぁ私李徴くらい賢くないからちょっとよくわかんないけどぉ。

 するとさー、李徴も仕事してて楽しくないじゃん?ただでさえマジヤバだったのにそれ余計にやっばい感じになって、もう、ホント、やっばい。それでも1年くらいがんばったみたいなんだけど~、出張に行ったときにとうとうワケわかんなくなっちゃったみたいで、夜中に急にわ~っ!ってベッドから飛び起きて叫んで出てっちゃって、そんでそれっきり戻ってこなかったんだって。超~怖くない?一応、探したらしいんだけどさ~。全然見つかんなくて、李徴どこ行ったかわかんなくなっちゃったわけよ。

 ところがさこっからがびっくりする話なんだけど、次の年にさ、そこそこ偉い人、袁傪っていう人なんだけど。その袁傪って人が出張で嶺南ってとこに行くために、商於ってとこで1泊してから朝早いうちにもう出発しようぜ~てホテル出ようとしたら、ホテルの人がこの辺人食い虎が出るからもうちょい明るいうちにした方が良いよ?つってきたの。やばくない!?人食い虎だよ!?
 けど袁傪ってそこそこ偉い人だったから、お供の人とかいたし、まぁこんだけ人いりゃ大丈夫じゃね?ってことでホテル出発しちゃったわけ。外、早朝ってか、まだ月とか出てたんだけど。かえって明るくてよくね?くらいのテンションで林行ってー、草地いってー、ってしてたら案の定虎出てきたわけよ!草むらから!

 虎、もうめっちゃ袁傪に襲い掛かろうとしたんだけど、急にUターンして元の草むらに帰ってたわけ。したら、その草むらから「あっぶねー」って何回も言う声が聞こえるわけ。
 袁傪、その声にめちゃ聞き覚えあって、超ビビッて「えその声ダチの李徴じゃね!?」って思わず叫んだわけ。
 袁傪って人は李徴が最初に就職したときのタメで、李徴マジ友達少ないぼっちだったんだけど、袁傪とは超仲良かったんだよね。袁傪って人は結構優しいってか、のんびりしたタイプでー。李徴みたいな真面目くんとはあんまりバチバチになんなかったのがよかったみたいで。

 虎が隠れてった草むらから返事、全ッ然なかったんだけど、なんか泣いてるっぽいな~って感じの声はしてたんだよね。そんでしばらくしたら「そうだよ、俺李徴だよ。隴西が地元の。」って返事が聞こえたの。

 それ聞いて袁傪って人は怖かったの忘れて草むらに近づいてったわけ。超のんびり系だよね~。え、めっちゃ久しぶりじゃーん!ってなって、なんで草むらから出てこないんだよって聞いたんだって。したら、李徴の声が、俺もう人間じゃないわけよ。あんまダチにその姿見せたくないし、しかも見たらめっちゃ怖がられるだろうしな~って。けど李徴の方もダチに会えてめっちゃ懐かしいな~ってなってっから、ちょっとだけ外見のことは忘れてダチだった時のこと話さね?っていうわけ。

 あとから考えたら人間が虎になるとか冷静に考えて意味わかんないけど、なんかこの時袁傪はあーそんなもんかーって思って全然不思議だなーってなんなかったぽいんだよね。じゃあそうするか~って袁傪のお供の部下の人にはちょっと待っててくんね?ってお願いしてぇ、自分は草むらの近くに立ってだべり始めたんよ。
 今、流行ってるスイーツとか、昔一緒に仕事してた人今何してんのーとか、袁傪今何やってんの?とか。袁傪そこそこ偉くなってたからマジで?おめ~とか。仲良くしてた時みたいな感じで、割と気楽にだべってたんだけど、そういう話が終わったら袁傪がそういやなんで李徴そんなことなってんの?って聞くわけよ。すると草むらの中の声は割とさらっと教えてくれて。

 今から1年前、出張でホテルで寝てたら、なんか急に眼覚めて扉の外でめっちゃ呼ばれてるな~ってなって。それで外出てみたら、真っ暗な方からずっと名前呼ばれてるから、その声の方に走ってったわけよ。なんかもう夢中になって走ってったら、いつの間にか山とか林の道に入ってって、しかも両手ついて地面つかむみたいに走ってたんよ。すげー体に力みなぎる感じして、でかい岩とか石とか跳び越えて行けるわけ。
 で、そこで気づいたんだけど手の先とか肘とかなんかもさもさしてね?つか毛生えてね?ってなってちょっと朝んなって明るくなってから川をのぞき込んだらもう虎になってたわけよ。
 さすがに最初は目がおかしくなったんじゃね?ってなったり夢でも見てんのかな~って思ったんだけど。ほら、あるじゃん夢ん中でこれ夢じゃね?ってなること。そういうの時々見るからそれかな~って。けどだんだん夢じゃないっぽいな!って気が付いてやっべどうしよ?ってなったし、うわこれ無理……ってバチバチにへこんだ。なんでも起こるもんだなぁ~ヤバ~ってなったけど、でもなんでこんなことになっちゃったのか全ッ然わかんないな~って思った。
 思ったんだけどさ、けどよく考えたら元々どんな生き物も理由とか別にないしわかんないけど生きてくものじゃんね?
 けどやっぱさすがに虎はな~!ってすぐ死んじゃおうかなぁって思ったんだけど、そん時急にウサギ飛び出してきたんだよね、ウサギ。そのウサギがめっちゃ走るのを見た途端に、自分の中で人間がぱっと消えちゃって、そんでまた人間の気持ちになった時。
 俺口めーっちゃウサギの血まみれで、その辺ウサギの毛まみれで、それが最初に俺が虎になった時だったってわけよ。
 そっからどういうことしてきたかさすがにちょっと喋るのは遠慮したいんだけどぉ~。ただ1日のうち何時間かは人間の気持ちが戻ってくんだよね。そういうときは前みたいにこうやって喋れるし、難しいことも考えられるし、前勉強したこととかなんも見ないで音読することもできるんだけど。それがかえってさぁ~、普通の人間の心で虎になってるときのヤバい行動の痕を見て、うわー俺虎してるわ~!?ってなるときが、1ッ番心にクるんだよね……。マジでこえーしもうちょい何とかならね?って俺が一番思うわ……。
 しかも、この人間の心になってる時間日が経つごとにだんだん短くなってくなってくわけよ。今までなんで虎なんかになっちまったのかなぁ、って思ってたのに、こないだなんて気が付いたら俺なんで前人間なんだったんだっけ?ってなってさ~~~!!もう超こえーよ!!多分もうちょっとしたら俺の人間の心は、虎ん中に埋もれて消えちゃうんだよ~!!修学旅行先で見たじゃん!?昔のお城の跡がすっかり埋まってるみたいな感じでさぁ。したらたぶん、俺、自分の過去も忘れてただの虎になるんだよ。そしたら今日みたいに、道でばったり袁傪に会っても袁傪だってわからずに襲い掛かって食べちゃうんだよ。
 ……ひょっとしたら、動物でも人間でも、元は他の何かだったんじゃねーかなぁ。はじめはそれを覚えてて、だんだん忘れて行って、はじめっから今の形のものだったーって思いこんでるだけなのかも。
 あぁいや、そんなことはどーでもいいんだよ。俺、たぶん人間の心がすっかり消えた方が幸せなんだと思う。けど、人間の俺はそれが超~怖い。マジで無理。つらい。いやすぎ。自分が人間だった記憶がなくなるなんてさ、誰にもわかんないよ。俺みたいになったものじゃなかったら無理。
 ところで、そうだ。俺がさ、人間でなくなっちゃうのはもうどうしようもなさそうだからその前に1つ頼みたいことがあるんだよ。

 袁傪って人と、あと部下の人も、草むらの声の話を聞いてたんだけど、そのまま声はこういうわけ。

 頼みってのは他でもないんだけど、俺元々詩人になって名を残したいって思ってたわけよ。けど、夢がかなわないうちにこうなっちゃったから、それまで作った詩いっぱいあるけど全然世に出てないわけ。多分どこに行ったかもわかんなくなってると思う。で、そん中で今も覚えてていえるやつが何十個かあるわけね。それを今から言うから、メモっといてくんね?別に、これで一人前の詩人みたいな顔をしたいわけじゃなくって、詩がバズるやつかバズらないやつか、みたいなのはわかんないけど。仕事辞めて、おかしくなってまでやりたかったことを世の中とかにちょっとでも伝えられなかったらさすがに死んでも死にきれなくね?

 そういわれて袁傪は部下の人にお願いして、草むらの中の声が言う詩をメモってったわけ。李徴も何十個かあるっていうだけあって結構あって、長いやつとか短いやつとか、めっちゃきれーなやつとか、めちゃめちゃキレッキレなやつとかあって、作った人すげー才能あるじゃん!って感じだったらしいの。だから、作った人は間違いなく超すげーね、って感じなんだけど。なんかだけど、このままだといいけどあんまバズんなさそうだね、みたいな感じだったんだって。なんかきっかけとかあればバズりそうなんだけど、なんか足りなさげだな~みたいな。

 で、それを言い終わった後李徴の声が急にもうウザ、みたいなカンジになって言ったの。

 恥ずかしいけどさぁ、こんなどーしよーもない感じになったのに今でも俺、俺の詩集が首都のインフルエンサーの机の上に置かれてるのを夢に見ることがあるんだよなぁ。洞穴で寝てる夢で。ダサくね?ウケる。詩人になりそこなって虎になった俺を嗤ってくれよ。

 袁傪はそういやこいつ昔からこうやって自分のこと悪く言うやつだったよなぁって思って、バチへこみしちゃったんだけど。

 そのまま李徴の声が、そうだ。お笑い種ついでに、今の思いを詩にしてみようか。この虎の中に、まだ昔の俺が生きているって証拠~、みたいな感じでっていうんだよね。

 袁傪はまた部下の人にお願いしてその場作った詩をメモってもらったわけ。

 何か知んないけどおかしくなっちゃって、虎になったっぽい
 ヤバいことはわかるのに、逃げらんねーし
 爪も牙も生えてきて、俺めっちゃ強くなった
 前はこんなんじゃなかった、もっと周りも褒めてくれたし、そんだけ結果だって出してた
 今じゃ俺は虎になって、草むらとかの中にいるけど
 お前はもう出世もして、結果も人望もある
 今夜も、キッツイ山で、明るい月に
 詩歌うかわりに、めっちゃ吠えてる

 そんな感じでだべってたんだけど、まだ空月とか出てたし、あたり結構寒いし、そろそろ太陽昇るかな~くらいの時間帯になってたっぽい。袁傪って人も、お供の部下の人もこんなわっけわかんないことになってんな~ってこともなんか忘れちゃったみたいに、この詩を作った人めっちゃかわいそうじゃんね、ってなってた。したら、李徴の声がまたしゃべりだすわけよ。

 なんでこんなことになっちゃってのか、全ッ然わっかんねーってさっきは言ったけどさ、よく考えたらアレじゃね?ってことが全くないってわけでもないのよ。人間だった時さ、俺できるだけあんま人と馴れ合いたくね~ってなってたじゃん。皆俺のこと真面目くんだとかプライド高ぇ~とか言ってたじゃん。でもそれ結構、ほぼ恥ずいからみたいなとこあったんだけど誰も知らなかったんだよね。
 ま~確かに昔は地元でも一番頭いいでしょ、みたいに言われてっからプライドみたいなんがなかったわけじゃないんだけどー。なんかあくまでビビリなりのプライド、みたいな感じだったんよね。
 俺詩でバズりてぇ~って思ってたけど、なんかそういう人に教えてもらったり他の人と見せ合ったりとかもしなかったし。けど、フツーに生きてくのもなんかヤだったし。なんでかってビビリなりのプライドと、すっげーシャイだったからなんじゃね?って思うわけよ。
 自分ってほんとは才能とかないんじゃね?って気づいちゃうのにビビっちゃって、むしろめっちゃがんばって勉強とかしなかったし、でも俺って才能あるんじゃね?ってどっかで思ってたから、皆みたいにフツーに生きてくのもヤだった。結果的に俺、どんどんぼっち極めて、いっつもイライラしてムカついててどんどん自分のビビリなりのプライドをすくすく育てちゃったんだよね。
 人間って誰でもそういうさ?自分の中のそういうヤバい猛獣みたいなのいると思うんだよね。むかつく~とかぶっ壊してぇ~みたいな。俺はこじらせシャイみたいなのがそれだったっぽい。虎だったっぽい。これが俺を俺じゃなくして、嫁さんと子供にもメーワクかけてさ、ダチも傷つけてさ、そんで最終的には俺の外見をそのまんま虎に変えたってワケ。
 今から思ったらさぁ、俺って俺が持ってたちょっとした才能も無駄にしちゃったんだよな。人生って何もやんね~とめっちゃ長くね?けど何かするにはめっちゃ短け~なとかって、そういうわかったような口ばっかきいときながら、実際は才能なんてないってバレちゃわないようにしなきゃってのと、努力とかしたくね~っていうサボり癖みたいなのが俺にはあったってことだったんだわ。
 俺より全然才能なくても、ちゃんとそれを伸ばしてったからすっごいバズった詩家になったヤツっていくらでもいるじゃん。虎になっちゃってからようやく、俺それに気づいたわけね。そう思うと、俺今も悔しくてめっちゃ胸苦し~ってなる。だって俺もう人間として暮らせなくね?今俺が頭ン中ですっげーバズるめっちゃいい詩を作っても、インスタにもあげらんないし。しかも、俺頭もどんどん虎になってくし。俺が無駄にした過去ってどうしたらいいワケ?俺もういやんなってくるわ。
 そういう時、俺あっちの山の頂上の岩あるじゃん?あれ。あそこに登って、空とか谷とかに向かってめっちゃ吠えてみるんよ。めっちゃつれ~!!っていう気持ちを誰かに聞いてほしいんよね。昨夜もあそこで月に向かって吠えてたわ~。誰かこのつれ~!って気持ちわかってくんねぇかな~!って。けど他の動物とか俺の声聞いて、めっちゃビビッて隠れるだけなわけよ。山も樹も月もあとその辺の水滴だって、1匹の虎がバチクソキレてる!ってなるだけなわけよ。めっちゃジャンプしてから地面スライディングして、もうヤダー!って泣いてても、だ~れもわかってくんない。人間だった時に、俺がめっちゃ実はビビリでヘタレでナイーブだったのだ~れもわかってくんなかったみたいに。俺めっちゃ泣いて毛皮とか濡らしたかんね。

 そのくらいになると、だんだんお日様昇ってきてそろそろ暗くなくなってきてたのね?夜が明けるころにその辺だとなんか笛吹くらしいんだけど、その音がどっかから聞こえてくるくらいになってきたわけよ。
 したら、李徴の声がもうぼちぼちヤバそうだから……あ、ヤバそうってのは虎になりそうってことね。ヤバそうだから、そろそろどっかいかなきゃなんねーわっつって、けどどっか行く前にもう一個頼まなきゃなんないことがあるんだよねっていうわけよ。

 何かっつーと、俺の嫁さんと子供のことね。あの人らたぶんまだ俺が山籠もりしてたトコにいると思うんだけど、俺がこんななっちゃったとか知るわけないと思うんだよね。だから君が出張から帰ったら、俺はもう死んじゃったんだって言っといてくんね?絶対今日のことは言わないでほしいんだけどさ。ちょっと厚かましいけど、あの人らがカワイソーだって思ってくれるんなら、今後あの人らが生活できるように助けてやってくんねぇかな。したら、俺めっちゃ感謝感激雨あられって感じなんだけど。

 そんな感じで言い終わったら、草むらん中からめっちゃ泣いてる声がしたから、袁傪もなんかもらい泣きしちゃってー、んな水臭いこと言うなよ!任せろって!!いったわけよ。けどさー、李徴の声がまたバチバチに凹んだ感じに戻っちゃってこう言うわけよ。

 マジさぁ、頼むんなら先にこっちの方頼めって話なんよな、人間だったらさぁ。腹減らして凍えてる嫁と子供のことより、自分のしょーもない詩のことを気にかけてっから、こんな虎とかになっちまうんだよ。

 そんでついでに言うんだけど、袁傪が出張から帰るときは絶対この道通んないでくんね?その時俺虎になっちゃっててダチだってわからずに襲い掛かるかもしんねぇから。あと、この後別れたらあの辺にある、あの丘にのぼったら、こっち見てほしいんよね。俺の今の姿をもっかい見せっから。かっこいいっしょ?ってしたいわけじゃなくて、俺のめっちゃこえーかっこ見せて、もっかいここ通って俺に会お~とかお前に思わせないためだから。

 まぁそういわれちゃあ、袁傪て人もそんじゃね、って感じで李徴にさよなら言って、馬のったわけよ。草むらから、まためっちゃ泣いてる声聞こえてきてたし、袁傪もさすがにもう会えんとか言われたら何度も草むら振り返りながらめっちゃ泣きながら出発したワケ。

 そんで袁傪って人と部下の人とが言われた丘の上に来た時、皆言われてたしな~って振り返ってさっきの林のあたりの草生えてるとこを見たわけよ。したらすぐ、虎が1匹草むらから道にめっちゃ飛び出てきたのね。んで、その虎は、もう夜明けちゃってあんま光ってない月の方に2回3回くらいめっちゃ吠えてー、また元の草むらに帰ってって、んで、もう2度と見えなくなっちゃったんだよね。




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