無い洋画のあらすじ「Hatch」(ホラーサスペンス映画)

「パパ、イースター楽しみだね。僕、エッグハントで1番卵を見つけるよ。籠いっぱいにね!」

 イースター近づく中、一人息子のルーカス(役名)にそう笑いかけられたジョセフ(役名)はそうだな、と言葉を濁す。
 というのも、このところは近場で奇妙な連続殺人事件が横行しており、犯人は今だ不明。町はとてもではないがイースターのイベントなどという雰囲気ではないのである。
 既に4件にのぼるこの連続殺人事件は、この町での殺人事件を皮切りに、段々と被害が広がりついには隣の州の境目の町にまで及んでいる。
 さらには、この4件の殺人事件は連続殺人事件と断定されるほど手口が全く同じなのであった。

 ひとつ。被害者は男性である。
 ひとつ。被害者は銃殺されている。それも、狩猟用の銃である。主に、ウサギ狩りなどの小動物用の銃であることがわかっていて、そこから警察は狩猟関係者を中心に捜査している。
 そして、ひとつ。……被害者は全員、銃殺した後心臓を抜き取られ、かわりにとばかりに、卵を、置かれている。

 当然町の住人はこの連続殺人事件を恐れ、すっかり住人の往来は鳴りを潜めている。飲食店を経営するジョセフにとっては恐ろしいだけでなく、頭の痛い話だった。

「パパ、イースター楽しみだね」

 そう笑う息子には悪いが、今年のイースターフェスティバルは親子二人で慎ましくやろう。エッグハントが楽しみなら、家や店でできるだけ、ルーカスが楽しめるようにやってみるのもいいだろう……。
 そう考えていると、店の扉が開く。青い顔でいかにもくたびれた風体でやってきたのはマシュー(役名)という若い刑事だ。勿論彼も、連続殺人事件の捜査に駆り出されている1人である。
 と、いうよりも、比較的静かなこの辺りで起きた凶悪な連続殺人事件の責任を取らされることを恐れた警察上部に責任を押し付けられている若く気の弱い刑事であった。
 マシューはよろよろとカウンターにすがりつくように座ると、顔を青くしたままとうとう隣の州で5人目の犠牲者が出たと告げる。
 驚くジョセフがマシューに暖かい飲み物を出してやると、礼を言いながらマシューは市民や上層部からだけでなくとうとう隣の州警察からもつつかれる身になったと自嘲する。
 ジョセフがマシューの言葉に同情していると、マシューは隣の州に被害が向かったのは犯人が逃げている、つまり犯人を追い詰めていると上層部は考えているが自分の考えは違うと話す。
 ジョセフがどういうことか尋ね返すと、マシューは最初に殺人事件が起こったこの町から次の殺人、3番目の殺人、4番目の殺人……と、場所が地図で言えば、この町を中心に直線上に交互に位置していることを指摘する。
 逃げているのならば最初の殺人現場である町から段々と離れていくはずだと考えたマシューは、犯人はこの町を拠点にしているのではないか?と思い付いたと話す。
 殺人鬼が同じ町に居るのかもしれない。そう話されたジョセフはぞっとする。

 マシューはジョセフにも十分気を付けるように、と告げると席を立つ。ジョセフは勿論、と答えながらふと、イースターフェスティバルを楽しみにする息子のことを思い出してマシューの考えは町や町の警察にも伝えるのかと尋ねる。
 マシューは未だ犯人の影も踏めていない自分の考えがどこまで受け入れられるかわからないが、そのつもりだと話す。

 ならば、当然イースターフェスティバルなど出来ないだろう。ルーカスは落ち込むだろうな。
 そう呟いたジョセフを、マシューは目を丸くして見る。

「ルーカスくんは」

「この事件の、第一被害者じゃないですか」

 ジョセフが気がついたとき。
 目の前にはマシューの死体が転がっていた。
 銃殺だ。

「パパ」

ジョセフは、全てを思い出していた。

「パパ、僕ね。エッグハントでたくさん卵を見つけるんだ。」

 一人息子のルーカスが、イカれた男、悪魔崇拝のイカれた殺人鬼に拉致され、悪魔の生け贄として殺されたことを。

「籠いっぱいに、卵を集めよう。」

 その現場には見る影もない一人息子のルーカスの遺体と、それ以上に大量の血があった。
 そして犯人の姿はなく、復讐の念にかられるジョセフの前に。 なぜか"ジョセフの目にだけ見える息子のルーカスのようなもの"がやってきたのだ。

 ジョセフは、今も見える、死んでしまったはずのルーカスに問いかける。

 お前は俺の息子なのか?
 それとも、悪魔なのか?

 ルーカスのようなものは答える。

「両方だよ。」

 ルーカス、いや、悪魔はいった。
 悪魔崇拝の男がジョセフの一人息子のルーカスを贄に行った悪魔召喚は成功したのだと。
 そうして召喚された悪魔こそが、今ジョセフの目に見えているルーカスの正体であった。
 悪魔は贄として残酷に殺されたルーカスの姿形をとって犯人の前に現れた。
 しかし、犯人は悪魔を召喚はできても制御する能力はなく、悪魔はすぐに罪無き幼子を生け贄に悪魔を呼び出した極悪人を殺して、その罪深き魂を自分のものにしたのだ。
 残ったのはルーカスの死体と犯人だったもの。
 現世に残った悪魔は、さて次に何をしようかと思ったところやってきたのがジョセフだったのだ。

 犯人は既に悪魔に平らげられたなど、夢にも思っていないジョセフは犯人を呪い、復讐を誓う。

 そう、悪魔に魂を売ってでも。

 そこで悪魔はジョセフの前に姿を表し、ジョセフにささやきかける。
 可哀想なルーカスを、生き返らせたくはないかと。
 ジョセフは悪魔の囁きにいちもにもなく頷きかけて、しかし、主の教えに背くことやルーカスが望まないと1度は躊躇する。
 しかし、悪魔は続ける。
 主はなにもしていないルーカスを救ったかと。
 それに言うとおりにすれば、ルーカスを生き返らせるだけでなく、自らが持つルーカスを殺した犯人の魂を好きにさせてやる、と。
 その悪魔の言葉に、誘惑に、ジョセフは抗えなかった。

 ジョセフはふらりと店の奥に入る。血塗れのイースター・バニーの首を被る。
 笑顔でついてきたルーカスが血塗れの布が敷かれたバスケットを持つ。
 ジョセフの手には真っ赤な卵と鉈が1本。
 マシューの胸元が鉈で裂かれる。真っ赤な心臓が取り出され、ルーカスが差し出すバスケットに置かれる。
 まだまだ足りないね、とルーカスが眉を下げる。
 バスケットの中の5つの心臓はまるで今とってきたかのように赤々としている。
 ジョセフはそうだな、籠いっぱいにしないとな、と返す。

「復活祭(イースター)楽しみだね。」
 そう笑うルーカスに、ジョセフはあぁ、楽しみだなと返すのであった。

 こっからジェ○ソンみたいに悪魔の力を得て怪物化した、元ジョセフのシリーズが2作くらい出てもよい。殺しても復活するぞ!復活祭楽しみだねパパ!

 ルーカスは「光」という意味の名前でジョセフはヨセフから来てるんですが、そういえばナザレのイエスの天のではない父はヨセフでしたねって話。「Hatch」は孵化です。何が生まれて来るんやろな。(何も生まれて来ない)(何故ならない映画なので)

 ルーカス殺しの犯人は悪魔が食べちゃったんですが、人間はそんなこと思ってもみないのでルーカスが第1被害者の犯人は未だ逃走中、と考えられています。

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