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24シーズンの欧州年度代表馬を予想する

大変ご無沙汰しています。PENSKEです。最初の投稿以外を非公開にして、再出発します。
この夏から🇬🇧英国に滞在しており、週末等の機会をとらえて、英国内外の観光地を巡るのはもちろん、競馬場や牧場に足を運ぶことにしています。
このnoteでは、欧州の競馬やフットボール(※"サッカー"ではありません笑)に関する情報、その他徒然なる雑感を垂れ流すつもりです。

そんな再始動第一弾は標記のとおり、24シーズンの欧州年度代表馬の予想になります。あわせて欧州平地競馬の競走体系について、ウイポ知識で恐縮ですが紹介できればと考えています。


長い前置き

本題に入る前に、昨今の日本馬の海外での活躍はめざましいという前提を改めて共有する必要があります。
今週末に🇺🇸デルマー競馬場で開催されるBCクラシックにおいても、十分圏内と思われる日本調教馬が複数頭出走予定であり、我が国の馬産・調教技術がどの国にも引けをとらないことに疑問の余地はありません。
🇺🇸米国の年度末表彰であるエクリプス賞において、21シーズンの最優秀芝牝馬部門をラヴズオンリーユー号が受賞したことは、記憶に新しいでしょう。

そんな日本競馬にとっても、本場欧州のGIは高い壁になっています。🇯🇵🇺🇸🇦🇺といった他の競馬先進国で求められる能力とは全く異なる資質が求められる競馬場・馬場・ペースであること等様々な要因は挙げられますが、事情はともかくとして、結果が芳しくないことは事実です。
パートI国である、🇬🇧🇮🇪🇫🇷🇩🇪の中距離帯のGI競走について、日本馬が制したのは、🇬🇧ナッソーS(2019年/ディアドラ号/2000m)、🇫🇷サンクルー大賞(1999年/エルコンドルパサー号/2400m)、🇫🇷イスパーン賞(2016年/エイシンヒカリ号/1850m)の3例のみです。
特に、日本でもっとも有名な海外GIと断言できる、🇫🇷凱旋門賞については、1969年のスピードシンボリ号から、今年のシンエンペラー号まで述べ35頭(史上最強馬論争常連のディープインパクト号やオルフェーヴル号を含む)が挑戦し、未だに勝利を挙げられていません。
フットボール(サッカー)日本代表が、ホーム以外で南米勢に勝てないことに通ずるものがありますが、そんな鬼門となっている欧州競馬の競走体系について、理解を深める一助になればと考えています。

欧州年度代表馬の傾向

欧州競馬(平地に限る)は10月にシーズンが終わり、11月の上旬にはカルティエ賞年度代表馬が発表されてしまいます。
つまり、この投稿をご覧になられている方がもしいたとしても、その方にリーチした時点で既に結果が出ているころだと思います。そんな方にも少しでも実りある時間を過ごしていただくために、まずはカルティエ賞の傾向について分析したいと思います。
カルティエ賞年度代表馬は、1991年の創設以来、基本的に同年の最優秀3(旧4)歳牡馬若しくは牝馬又は最優秀古馬から選出されます。これら3部門受賞馬以外から年度代表馬が選ばれた例は最初期の3回(1991年/🇫🇷Arazi/最優秀3(現2)歳牡馬、1993年/🇬🇧Lochsong/最優秀スプリンター、2000年/🇮🇪Giant's Causeway/他部門選出なし)のみです。
最後の00シーズンのジャイアンツコーズウェイ号が、マイル~2000mの距離で活躍していたことも踏まえれば、(日本で重視される距離と全く同じですが、)基本的にマイル~中距離帯のレースでの活躍が年度代表馬予想のカギになると思われます。

直近10年間のカルティエ賞年度代表馬と勝鞍

上掲の図からも分かるように、🇬🇧🇮🇪🇫🇷で開催される1600〜2400mのGIを3勝以上した馬が順当に選ばれる傾向にあります。
特に注目すべきは、英国上半期の総決算と位置付けられる🇬🇧エクリプスSで、直近10年の年度代表馬のうち半数の5頭がその年の🇬🇧エクリプスS覇者です。
そのほか、お馴染みの🇫🇷凱旋門賞や、🇮🇪チャンピオンS、🇬🇧国際Sといった節目のGIが重要視されているようです。
対照的に、🇬🇧チャンピオンSの覇者は選外が続いていますが、これはカルティエ賞発表のタイミング(11月上旬)的に、🇬🇧チャンピオンS(10月下旬)の結果が反映されづらい、ということだと思われます。

24シーズンの欧州GI結果

そこで、24シーズンにおける、欧州GIの結果を概観します。

欧州マイル〜中距離路線における主なGIの勝ち馬とローテーションのイメージ(雑)

該当する競走を3回以上勝利している馬は、🇮🇪シティオブトロイ号(4戦3勝)、🇬🇧ブルーストッキング号(6戦4勝)、🇬🇧チャリン号(7戦5勝)ら5頭です。
ブルーストッキング号は、ご存知凱旋門賞の覇者で、牝馬限定GIを2勝したほか、KGVIQESでも2着に入るなど中距離路線で活躍しました。
シティオブトロイ号は3歳馬で、始動初戦の🇬🇧2000ギニーこそ敗れましたが、🇬🇧ダービー、🇬🇧エクリプスSと王道路線を歩み、8月の🇬🇧国際Sでは、前述のブルーストッキング号(4着)に8馬身差以上つけて勝っています(その2馬身後ろに昨年の菊花賞覇者ドゥレッツァ号がいました)。なお、カルティエ賞選考にどこまで影響するかは不明ですが、今週末のBCクラシックにも出走予定です。名伯楽・オブライエン師をして"最高傑作"と言わしめた逸材が、🇺🇸ダートとの二刀流を成し遂げられるか、という点でも注目を集めており、まさに24シーズンの欧州を代表する馬の一頭と言えるでしょう。
チャリン号は前二者とは異なりマイルで活躍した馬で、負けた2走もマイルGIの2着と、安定した戦績を残しています。なお、こちらは🇯🇵マイルCSへの参戦を予定しています。欧州一線級の来日は今日日珍しいので、淀近辺にお住いの皆さまは是非足をお運びください(関東在住の方はその翌週に府中で🇮🇪オーギュストロダン号を一目みていただければ。ディープインパクトのラストクロップの🇬🇧ダービー馬が、引退戦でJCを走ることほどロマンのある話はないでしょう)。

マイルCSに参戦するチャリン号@アスコット(10/19)

結論: エクリプス・ファースト

ほかに🇮🇪Porta Fortunaと🇫🇷Mqse De Sevigneが欧州GI3勝を挙げていますが、シティオブトロイ号ら3頭の実績・知名度と比較すると一歩劣ります。
ということで、既に書きぶりで察しているかと思いますが、私の年度代表馬の本命はシティオブトロイ号です。今年の欧州中距離戦線の主役はこの馬か、凱旋門賞馬のブルーストッキング号か、といったところで、その直接対決を制している点は軽視できません。クールモアらしく、3歳馬ながら今年限りで引退なのがさみしいですが、最終戦のBCクラシックで、そのさみしさも打ち消すほどのインパクトを与えられるか注目です。
来年からはオーギュストロダン号らとともにアイルランドの牧場で第二の馬生が始まります。彼の血が後代に続いていくことを期待しています。