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ばあちゃんとおはぎづくり

わたしとばあちゃんの物理的距離は、電車と車で約1時間半ほど。お正月ぶりだったので約3ヶ月が経っていた。前もって会いに行くねと連絡していたら、「おはぎを作るから早くおいで」と連絡が来た。

9時半ぐらいに着くと、ばあちゃんはすでに餅米を潰していた。わたしも急いで割烹着を借りて、あんこを丸めるのに取り掛かる。

ばあちゃんが「あんこ失敗したっちゃんね〜」と何度もつぶやく。ひとくちつまみ食いすると、確かにちょっと皮が残った感じがしたけれど、味は十分に美味しい。そんなに残念がらないでと思いながらばあちゃんに「そんなことないよ」と声をかける。

ばあちゃんは、昔からご飯で人を喜ばせるのが得意で、親戚や家族はみんなばあちゃんのご飯が大好きだ。(がめ煮も筍の煮物も争奪戦)だからこそ、失敗した時に自分を責めちゃうんだろうな...と心中を察した。ばあちゃんをぎゅっと抱きしめたくなった。

まずはひたすらあんこを丸めた。ばあちゃんがそのあんこを、伸ばしたもち米に入れて丸めていく。さいごに、ふわふわのきなこにドボンといれて、コロコロと動かしながらからめていく。

きなこは、手で触るとふわふわで気持ちがいい。掴む感覚は、まるで砂遊びをしていたあの頃のような、懐かしい感覚を思い出した。

あんこのおはぎは、きなことは反対で、もち米を丸めてからあんこでつつんでいく。今度は包む担当に。きなこはふわふわとしていて気持ちがいいけど、もち米は熱くてベタベタでむづかしい。

そうやって丸めたおはぎは、あたたかくて、柔らかくて、ふわふわ。「出来立てが一番美味しいから食べんね!」と言われ、作ったおはぎをそのまま頬張る。まだお米もあんこも暖かくて、ホワホワとしていた。冷えたおはぎの何倍も美味しくてびっくりした。

思い返せば、中学生以降はばあちゃんと何かを一緒に作ることはごく稀で、おはぎも完成したものをもらってばかりいた。出来立てがこんなに美味しくて、だけどこんなに手間がかかるなんて、すっかり忘れていた。

「毎年、今年が最後って言いながら作るっちゃんね〜。」と笑うばあちゃんを、素敵だなあと思った。体がきつくても、みんなが喜ぶことを分かっているから、大変だけど毎年作るんだろうなあ。

あいにくわたしが大雑把な性格なので、綺麗とは言えないおはぎたちが仕上がったが、ばあちゃんは、わたしのおかげで美味しそうなおはぎができたね、ありがとうと言った。ほとんどばあちゃんが作ってくれたのに、そう言ってくれる優しさに心が温かくなる。

手作りの美味しいおはぎを毎年楽しみにしていて、家族で頬張っていた時間は今でも思い出の一つだし、今回のように一緒に作りながら、完成したおはぎを食べる時間の中には、豊かだなと感じられる時間が確かに流れていた。

それは全て、ばあちゃんが作ってくれた時間で。そのことを忘れずにいたいなと思いながら、お土産のおはぎをバッグに詰め込んで、帰路についた。

帰宅し、おはぎのお裾分けをしていると、やっぱりみんな嬉しそう。おはぎの幸せの連鎖、恐るべし。わたしもおはぎ作り挑戦してみたいと思った。

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