最悪な父親
それは僕。
僕は知っている。母の産みの苦しみを、僕が1ミリも肩代わりできないことを。
僕は知っている。妊娠すると、初期に吐き気やだるさがあることを。
僕は知っている。子どもへの影響のために、大好きなお酒やお寿司を避けていることを。
僕は知っている。おなかの中で子どもが動くと、突然で驚いたり、夜中に起こされたり、そして痛みがあることを。
うちの奥さんは、夜寝るとき、おなかの下に手を差し込んでくれと僕にねだる。おなかが重いから、手があった方が支えられて楽らしい。いつも10分くらいそうしてる。
おなかの中のそやつは、僕が手を差し込むと寝心地が変わるのかいつももぞもぞ動く。
で、やっぱり痛いらしい。
奥さんが「いてて…」というと、僕は決まってこう言う。
「そうか!元気なんだね!良いことだね」って。
僕は知っている。母という生き物が、子どもの成長を自分の痛み以上に大切にしていることを。
痛みに共感もせず、あまつさえ「良いこと」と告げる、僕は最悪の夫。
いずれ生まれてくるあなたへ。
君の大切なお母さんに、わかっていてそんなひどいことを言う僕を、どうか許しておくれ。あなたのお母さんは、あなたが動くことを、痛みながら喜んでいます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?