クソババアに憧れて。
子どもの成長はあっという間だ。
この前生まれたばかりだと思っていたのに、ひとりじゃ何もできなかったのに、いつの間にか自分で歩き、服を着替えてごはんを食べ、気がついたら私の背丈にぐんぐん追いつこうとしている。
あんなに抱っこを求めていたのに、今では手をつなぐどころか少し距離を開けて歩く始末。あの可愛げどこ行った。
それでも、身につけているスキルはぜんぶ子どもたちにシェアしたいと思っている私なので、子育てにワークショップを取り入れることがある。消しゴムはんこ、水彩画、飛び出すカード、バルーンアートなどなど。100パーセント文系でアート好きな母親講師のレッスンは若干偏りがあるのだが、ものづくりが大好きな子どもたちは控えめに言っても完全に母親ラバーだ。今のところは。夫よ、ごめん。
そんな複雑なお年頃且つマザコン気味な子どもたちなので、ママ友の悩みに共感したくてもできないことがある。
母親が耳にしたくないパワーワード。
それが、「クソババア問題」だ。
子どもは時として残酷なセリフを放つ。
私自身に経験がないのでよく理解できないのだが、親に向かって「クソババア」「死ね」と罵ることがあるそうなのだ。
ほんの数年前まで「ママおててつなごう♡」って可愛く甘えていたあの子が。
幼稚園に行きたくないと母親にしがみついて泣いていたあの子が。
どこで覚えてくるのか、こともあろうに「クソババア」。
おむつを替えてもらっていたくせに「死ね」。
ママ友の前では聞き捨てならないとプンスカ腹を立てつつも、実は私はひそかに「クソババア」に憧れていたりする。
うちのマザコンキッズは、一体いつになったらそう呼んでくるのだろう。
ハードルの高い大喜利に、私はどう返そうか。考えただけでわくわくしちゃう♡
ある時、試しにおねだりしてみた。
「ねえねえ、ちょっとクソババアって呼んでよ」
「そんなことを言うような人間に育てられていない」
「なんで?意味わかんない」
「お母さんはお姉さんだよ」
...三者三様のありがたいリアクション。お世辞まで言えるいい子たちに育ってくれて心底泣ける。
もはやどっちが無邪気な子どもかわからない。
夢のショートコントができる日はもう少し先の未来か、諦めた方がいいようだ。