用語集: 「生物濃縮」
今回は「生物濃縮」について見て行きましょう。
「生物濃縮」: 特定の物質が生態系の食物連鎖を経て生物体内に濃縮されていく現象を指します。具体的には、以下のポイントを理解していただければと思います。
生物の体内に特定の物質が蓄積されること:
生物濃縮は、特定の物質が生物の体内に高濃度で蓄積される現象です。
基本的に、生物は餌や水から取り入れる物質のほとんどを生きるために使い、不要な物質は体外に排出されます。
しかし、一部の不要物質は体内で分解や排出ができず、そのまま残ってしまいます。
他の生物がこれらの不要物質を摂取すると、それも同様に体内に蓄積され、生物濃縮が起こります。
生物濃縮の影響:
不要な物質が体内に残る状態は、生物の健康にさまざまな影響を及ぼします。
例えば、1956年に熊本県水俣湾周辺で発生した「水俣病」は、生物濃縮が引き起こした病気として有名です。
工場が水銀を含む廃水を海に流したため、周辺の魚介類の間で生物濃縮が起こり、その魚介類を食べた人に中毒症状が表れました。
近年は、海洋に流出したマイクロプラスチックが生物濃縮を引き起こす可能性が高いとされています。
生物濃縮の仕組み:
生物濃縮は食物連鎖によって起こります。
特定の物質は最初は空気中や水中を漂っていて、小さな生物(プランクトンなど)に取り込まれます。
このときは不要物質の濃度は低いですが、他の生物がこれらのプランクトンを捕食すると、不要物質が蓄積されます。
食物連鎖の上位であればあるほど不要物質の蓄積量が増え、濃度が高くなるのが生物濃縮の仕組みです。
濃縮される物質:
生物濃縮は、有害物質やマイクロプラスチックなどで起こります。
有害物質にはダイオキシン類やPCB、DDTなどが含まれます。
マイクロプラスチックは水や餌とともに生物の体内に取り込まれ、生物濃縮を引き起こす可能性が高いと言われています。
対策と国際的な取り組み:
国際的な協力のもとで生物濃縮の発生を防ぐ取り組みが進んでいます。
「POPs条約」などで規制や管理が行われています。
基本、恐ろしいはなしです。