3億人が観るスーパーボウルの余韻より
“全米が震撼した”、”全米が泣いた”は間違いなく誇張表現だけど、大袈裟ではなく全米が最も注目する試合があります。
それはNFL(フットボール)の決勝戦。
通称スーパーボウル。
昨日、午後5時半(カンザスシティ時間/アメリカ中西部時間)から、今年のスーパーボウルが開催されました。
ラスベガスのスタジアムでは、チケットは最も安い席で120万円、高い席で3億円だとか。
多くのセレブやスターが観戦し、大掛かりなハーフタイムショーがあり、特別なCMがあり。
大いに盛り上がる試合展開の末、ここカンザスシティのChiefs(チーフス)が2年連続で優勝を勝ち取りました。
優勝が決まった瞬間、チームカラーの赤、黄色、白の紙吹雪が大量に(本当にすっごい量が)宙を舞いました。最大の歓喜ムードの中、口早にインタビューが進み、トロフィーの授与式まで10分あったかどうか。
その様子を私も夫も騒ぐでもなく、ビールを飲むでもなく、子供達が寝静まったあとに沸かしたあつあつのコーヒーを飲みながら黙々と見ていたのですが、その中でここで書き留めたいなと思う場面が映し出されました。
(以下の写真は全て我が家のリビングからお送りします。笑)
チーフスのQB(クォーターバック、つまり司令塔)のマホームズ選手が赤ちゃんを抱っこしているのが分かるでしょうか。
去年はこの子より少し大きい2、3歳の真っ赤なリボンをつけた女の子を抱っこしていました。
どちらもマホームズ選手のかわいいお子さんたちです。
この時のマホームズ選手の仕草や表情は選手ではなく完全にお父さんでした。
髪に付いた赤や黄色のちり紙をつまみとって赤ちゃんに見せてあげたり、観戦席の色んな場所を指さしてみたり。
試合中、彼は間違いなくMVPの活躍でした。
でもそういう威風は見せずに、1人のかっこいいお父さんとして表彰台に立っている感じ。
オーナーの話はたぶん聞いてなかったと思われます。背を向けちゃうんだって思ったけど、彼の様子にほっこり。背中越しにかわいい赤ちゃんの顔が見れてまたほっこり。
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選手は選手としての一面だけじゃなくて、「夫」、「父」、「息子」、「恋人」としての一面だってあることを試合後に思い出させてくれました。
それって当然だけど、なぜか当然じゃない気がしてしまう。大谷選手だって、息子だし、誰かの恋人かもしれないのに。
それを少なくとも3億人を前にさらけ出していることは私にとって単純に驚きであると同時に、とても素敵なことだと思いました。
公私に割と太めの線引きがある日本で生まれ育ったからこそ、プライベートを目の当たりにすることに驚くけど、アメリカでは普通のことだというのは日頃生活してても思うこと。
上司や同僚が家族の写真をデスクに飾っていたり、先生がオンライン授業で赤ちゃんを膝に載せていたり。「私ごとですが」という接頭辞は聞いたことがありません。
つまり公も私も明確な隔たりがなくて有機的につながっている。
“公私ともどもよろしく”じゃなくて、私があっての公、公があっての私。
それって心があっての体、体があっての心というのと似てると思う。双方の境界線は曖昧で2つで1つなところが。
だから公に家族や恋人が登場しても、私情を挟んでいるという風には全然見えない。
あぁそうだよね、いち早く大好きな人と喜びを分かち合いたいよね。むしろその場面を見せてもらってありがとう!とさえ思っちゃう。
とにかく画面越しに愛が溢れていて、幸せいっぱいなのがこちらの気持ちをほくほくさせてくれました。
私が選手だったら同じように愛を公に表現できるかって言われたら、それはまた違う話だけど。
プライベートはもちろん、公でも屈託のない愛情を表現できて、それを受け入れる環境があって、素敵な文化だなと思ったのでした。
トップ写真は去年の凱旋パレード。ものすごい人が集まりました。
今年も水曜日に優勝凱旋パレードがあります。
すでに学校は臨時休校が決まっています。
このときも、選手だけではなく、選手のお父さん、お母さん、奥さんや子供がみんなバスに同乗しました。きっと今年もそうなるでしょう。
テイラースイフトも乗るかな、楽しみです。
<ちなみに>
スーパーボウルといえば、中継間で流れるCMも注目されます。ハリウッドスターが出てきたり、グラミー賞歌手が登場したり。ジョーク系が多いのもお楽しみのポイント。
これは昨夜流れたダンキンドーナツのCMで、ジェニファーロペスやマットデイモンなどがコミカルに登場して笑いを誘いました。