エリオット波動の基本原則

エリオット波動は、相場の波のリズムを理論化したもので、テクニカル分析をする上で重要な考え方です。この理論は米国の経済哲学者であるラルフ・ネルソン・エリオット氏によって確立されました。エリオット波動を理解することで、相場の方向性を予測するための強力なツールとなります。


エリオット波動は、基本的には推進波と修正波のパターンで構成されています。推進波は上昇トレンドの場合には上昇し、下降トレンドの場合には下降します。修正波は推進波の後に現れ、逆方向に動くパターンです。

エリオット波動の基本原則

エリオット波動にはいくつかの基本原則があります。これらの原則を理解することで、エリオット波動のパターンをより正確に把握することができます。

原則①:推進波において3波は1波、3波、5波の中で最も短くはならない

推進波は、1波、3波、5波の3つの波から構成されています。これらの波の中で、3波は最も短くなることはありません。逆に言えば、1波と5波は3波よりも長くなることが一般的です。

原則②:推進波の中で2波が1波の始点を超えて修正することはない

推進波の中で、2波は1波の始点を超えることはありません。2波は1波の終点まで戻ることが一般的ですが、始点を超えることはありません。

原則③:推進波の中で4波が1波の高値を割り込むことはない

推進波の中で、4波は1波の高値を割り込むことはありません。4波は1波の高値近くで反転することが一般的です。

これらの原則に従ってエリオット波動のパターンを解析することで、相場の変動を予測することができます。

エリオット波動の波動パターン

エリオット波動には様々な波動パターンが存在します。これらのパターンは、チャート上に現れる形状や動きに基づいて分類されます。

I波動

I波動は、上昇もしくは下降のみを表す1本の線で表されるシンプルな波動です。I波動を形成した後にはV波動となる傾向があります。

V波動

V波動は、I波動が2つ連続して形成される波動です。V波動はI波動の後に形成され、N波動などに繋がるケースがしばしば見られます。

Y波動

Y波動は、逆三角形のペナントを形成する波動で、高値・安値を更新しながら拡大三角を形成していきます。エントリー難度が高く、上級者向けのトレードとされています。

P波動

P波動は、三角形のペナントを形成する波動で、N波動への繋がりが考えられます。P波動は、三角持ち合いと呼ばれる状況で出現します。

N波動

N波動は、上昇・下降の値幅が等しい波動のことです。N波動は最も基本的な波動であり、様々な波動が形成されるパターンが殆どです。

S波動

S波動は、高値(安値)更新した後に修正波が入った場合に、前回の高値(安値)がサポート・レジスタンスとして機能し再び反発後、高値(安値)をつけにいく波動です。

これらの波動パターンが相互作用し、チャートパターンを形成しています。

エリオット波動のチャートパターン

エリオット波動の波動パターンがチャート上で相互作用することで、様々なチャートパターンが形成されます。これらのパターンは、相場の方向性や転換点を予測するための重要な情報となります。

トライアングル

トライアングルは、上昇もしくは下降の値幅が次第に狭くなるチャートパターンで、三角形を描きながら横ばいの波動となっていきます。複数の種類に分類されます。

ブロードニングフォーメーション

ブロードニングフォーメーションは、最高値更新と最安値更新を交互に繰り返して拡大していく波動です。逆三角形の形状をしており、取引量・取引参加者が徐々に増えていくシチュエーションで形成されます。

ペナント

ペナントは、高値同士と安値同士を結んだ長方形内で価格が上下し、均衡状態を保っている様子です。上昇もしくは下降方向に進行していることが特徴です。

ウェッジ

ウェッジは、値幅の小さな状態が長く続いている波動で、トライアングルやペナントの進行方向がより鋭利な角度で形成されています。

これらのチャートパターンを理解し、エリオット波動と組み合わせることで、相場の変動をより正確に予測することができます。

エリオット波動の基本原則とチャートパターンを理解することで、相場の波のリズムを読み解く力を身につけることができます。エリオット波動はテクニカル分析の重要なツールの一つであり、トレーダーにとって有益な情報源となるでしょう。是非、エリオット波動を学び、トレードに活かしてみてください。

ここから先は

0字

¥ 550

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?